第94話 身体金剛の魔道具

宿屋に戻ってきて、日の出と共に目を覚ます。

何時ものルーティンでジョギング、素振り、型稽古をしていると護衛組も参加して、撃ち合い稽古や組み討ち稽古をみっちり行った。

それを終わらせて、部屋に戻り、服を着替えて朝食に向かう、食事を終わらせるとエーデルトから、


「今日は、どう致しますか。」


「今日は、作りたい物があるから外出はしない。」


「でしたら昨日の夜の続きでドレイクを出して見せてくれませんか。」


「そうしたら、鱗剥がすの手伝って。」


「無論です。」


こうして人目につかない東側の空き地に護衛組を伴って移動して空き地にドレイク外皮を取り出した。


「凄い!」 「デカい」


「素晴らしい。」


「剣で皮から鱗を剥せるかな。」


その言葉にエーデルトが、


「やってみます。」


と答えて、剣を抜き鱗をめくって根本に剣を差し入れる。鱗をひっくり返す勢いで押し、剣を押し下げるとポロッと取れた。


「鱗をめくると根本の真ん中に凹みがあるのが解るか。あれ、あそこだ。そこに剣先を差し入れて、鱗をこう目繰り上げると剣も起きて来るだろ、そうしたら、剣をこう云う風に押し下げると、「ポロッ」と取れる。」


「「おぉ〜。」」


「やってみろ。」


そして二人は実演通りにやってみせ鱗を剥がした。要領が分かったらしく作業がどんどん速くなった。

10枚程剥がれたので。鱗で直径5cmのペンダントトップを作ろうを加工を始めた。

一つ一つの細胞が頑強で魔力を帯びている為に私の魔力だけでは弾かれて何も出来ない。

練気力と神力を混ぜて練り込んで鱗に浸潤させ帯びている魔力を飛ばす。

そして「分解」で粉々のパウダー状にした。

外した鱗は200枚程になっていた。


鱗のパウダーで「創造」を唱えて

正八角形のペンダントトップを作り、彫刻針で魔法陣を刻む。輪間に〝身体金剛〟〝常時発動〟と刻む。次に半円にしたゴブリンの魔石に彫刻針で魔法陣を刻む。輪間に〝魔素吸収〟〝魔力変換〟〝魔力補填〟〝魔力供給〟と刻む。それをペンダントトップと魔石を「創造」で接着させて完成。 それをエーデルトに渡して、


「それに魔力を流して起動させて持っていて。」


「了解です。」


エーデルトが魔力を流すと体の表面が青白く光って消える。


「ムスカーノ、ウィンドカッターの短杖でエーデルト攻撃して。足元にしてね‥エーデルトは動かずじっとしていて。」


ムスカーノが短杖からウィンドカッターを飛ばして、膝に当てるが傷は付いていなかった。何度も当てても傷つかない。

その間もどんどん作って行った。

鱗のパウダーが無くなれば鱗を分解して補充する。そうして、ウェルウィンとムスカーノにも渡して、作り上げた500個ペンダントトップをインベントリにしまい。

外した200枚のうち使用した残りの150枚も収納最後にまだ鱗が外れ切れていない皮も収納して部屋に戻って来た。


「皆んな、これからどうする。僕はこのペンダントトップにチェーンを付ける作業をするから、部屋に籠もるから、外には行かない。

明日は、この魔法具を転移を使って父上に届けに行こうと思う。 それでエーデルト、明日ちょっとマスタールームまで転移の練習に付き合ってくれない。」


「ちょっと怖いですが、畏まりました。」


「私とムスカーノは子供達の相手をしておきます。」


「それは助かる。宜しく頼むよ。」


そして、魔鉄をチェーンにひたすら作った。夕食になっても200個しか作れなかった。5mm大の楕円をひたすら作って繋ぐ。

夕食を終わらした後もひたすら。

400個全て作り終えたのは深夜になってからだった。


それでも翌朝、日の出と共に起きて朝のルーティンを終わらせて、朝食を取り部屋に戻ってエーデルトに声を掛ける。


「エーデルト、準備は良い。」


「はい、覚悟を決めました。」


「それじゃ、僕の両手をしっかりと掴んで。

〝転移〟」


転移した先は、マスタールーム。同行人も転移する事に成功した。ドラゴンさんに、


「ドラゴンさん、僕の護衛のエーデルトです。同行してこちらに来る機会がありますので、紹介しておきます。

エーデルト、こちらがダンジョンマスターのエンシェントホーリードラゴンさん」


「ヴァルグード様の護衛を仰せつかっております。エーデルトと申します。以後お見知り置き下さい。」


「ワシはこのダンジョンのダンジョンコアでありダンジョンマスターのエンシェントホーリードラゴンじゃ。ヴァルグードとは良き隣人として今後も宜しく。」


「勿体ない、こちらこそ宜しくお願い申し上げます。」


「挨拶もそこそこで申し訳ないけど、もう行くね。今日はちょっと忙しいから。また今度ゆっくり。」


「了解じゃ。」


「エーデルト、もう一度両手をしっかり握って。〝転移〟」


そして、宿屋に戻って来た。


「エーデルト、体に不調はない?」


「ちょっとふらつきますが大丈夫です。」


「それで、父上達は今どの辺りだと思う。」


「既に8日経過していますから辺境伯領の手前ロアン伯爵領ではないかと思われます。

西の街道は海岸線に近いですからそちらを探索されれば宜しいかと思われます。」


「分かった。」


(スクリーンオープン 〝地図〟〝探索ティモン〟〝遠見〟)


地図上で父ティモンを探しに遠見を飛ばす。

西の街道に沿って飛ばしていると軍団の行列を見つける。行進の最中なので野営した時に転移する。

最前線がどうなっているか確認する為に遠見を飛ばす。


「あぁ。辺境伯領都は陥落してる。」


「なんですって!それじゃ、戦略を練り直さないと、闇雲に進んでは格好の餌食ですよ。」


「そうだよね。 今晩、父上の下に転移しよう。」


こうして装備を万全にして、夜に備えた。

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