第13話 ガルチ村

SIDE:ミレイ

宿営地が荒らされていた事で、女性の私とトレシアはロスランに引き返す事にした。

オイゲン達は、ガルチ村に向かった。

夕陽も消えかかっている、これからは時間との戦いになるが歩みを止める訳にはいかない。


すっかり日も沈み真っ暗な夜の道を2人共無言で進む。

喋ると気力が抜けそうで怖くなる。

休めると気持ちが落ちてからの行進は酷く疲れる。して夜の道だ。

足が痛くなってくる。


弱音が出てきそうになった時、トレシアが

「街の灯りが見えて来たわ!」

それを聞いて顔を上げると確かにロスランの街の灯りが薄っすらと見えて来た。

兎に角進んで門までは来たが、真夜中なので当然門は閉まっている。


「ドン!ドン!ドン!ドン!緊急事態です。

私はC級冒険者パーティー[黒鉄の牙]のミレイとトレシアです。

宿営地が襲撃されています。

冒険者ギルドを呼んで下さい」

小さい方の門の扉を強く叩きながら叫んだ。


門の上から見張り番の兵士が、

「ちょっと待ってろ。」

と声がかかる。

暫くすると門の扉が開かれ兵士が

「街に入れることは出来ないからここの応接室で滞在してくれ、今ギルドに人を遣っているからそれから事情を説明して欲しい。

何か欲しいものはあるか?」

「水を下さい。」

「おぉ、そうだな。今持ってくる。」

と言って、兵士は応接室を出た。


暫くすると、先程の兵士ともう一人の兵士それとギルドの職員が入ってきた。

「とりあえず、水だ、飲みなさい」

と木のジョッキを私達に渡して来た。

それを受け取りゴクゴクと飲む。

「私は、ギルドの受付チーフをしているクリスだ。

疲れているだろうが話を聞かせてくれ」


水をくれた兵士が、

「私は、南門の隊長をしているイースという、話しに立ち会わせて貰う。」

「はい、先ず今日の・・・というか日付が変わっていれば昨日の早朝に指名依頼が私達[黒鉄の牙]に発注されていたので、冒険者ギルドで依頼書を受け取り、昼前に南門からガルチ村に向かいました。

途中の宿営地で夜営しようと思って宿営地に辿り着くと、木塀は引き倒され、井戸は駄目にされていました。

私達の依頼が人形ひとがた魔物の存在調査でしたから、リーダーのオイゲンが危険と判断し、女性の私達を宿営地の報告と云う名目で引き返させたのが今の現状です。

パーティーは私達とリーダーのオイゲン、闘士のバリアン、斥候のヤノックの5名ですが、男性3人は魔物の確認の為に、ガルチ村ヘ向かいました。以上です。」


「分かりました。

今日はもう遅いのでこの辺りで終了します。

お疲れ様でした。

私はギルド戻ります。」

「今日は応接室で休みなさい。

日が登れば街に入れるから)

と言って、隊長と兵士は出て行った。

私とトレシアはソファをベット代わりに眠った。


SIDE:オイゲン

女共と別れて、日のあるうちに距離を稼ぎやすいたいので、ガルチ村に向かって速歩はたあしで進む。

途中で道を外れて藪の中を進んでしばらくすると、日は沈み真っ暗になった。


それでもガルチ村の方角は薄っすらと、明るかったので、その明かりに向かって、ゆっくりと進んで行く。


ガルチ村が見えてくると、民家が燃えていた。村の出入り口に2匹のゴブリンが棍棒を持って立っている。更に藪から木々の生い茂っている方角に進み、ヤノックに囁くように「右手の大木分かるか?」

と聞くとヤノックに頭を縦に頷く。


「大木に登れば村の内部が見えてくると思う。中を見て来てくれないか?」

「分かりやした。行ってきます。」

ヤノックは気配遮断スキルを発動して移動した為、直ぐに見えなくなった。


俺達もゆっくりと呼吸して、その場を動かず気配を消していた。

しばらくすると、ヤノックが戻って来たので、何も言わずに来た道をゆっくりと戻って行く。

ある程度ガルチ村から離れたので駆け足で宿営地まで休憩も取らず走った。


宿営地と辿り着くと、その場にへたり込み背負い袋から干し肉とパンをを取り出しバリアンとヤノックに渡す。

自分の分も取り出して無理矢理食べて水で流し込む、二人も同じ様に食べて水で流し込む。


暫しの休憩していると朝日が出てきそうになった、このままでは寝てしまいそうになるので、無理矢理立ち上がり歩き出し速歩はやあしとなって駆け出した。


お昼前にはロスランの南門が見えて来た。

南門の前まで辿り着くと、兵士と副ギルド長、ミレイとトレシアが駆け寄ってきた。


俺は、

「ゴブリンだ。俺よりもヤノックが詳細を知っている。

ヤノックを休ませてやってくれ。」

ミレイとトレシアが涙ぐ見ながら

「「良かった〜生きてた。」」

って泣き笑いをしてきたので、

「泣き顔がブッサイクだなあ」

俺は心の声のつもりだったが、口からも心の声を発していたらしい。

2人の般若から顔面パンチとボディブローを食らってしまって俺は気絶した。


その後、冒険者ギルドは非常事態を宣言してD級以上の冒険者を強制参加させる、強権依頼を発動した。

これは、参加を拒否するには

D級で10万ダラ C級で100万ダラ

B級で500万ダラ A級で1000万ダラ払えば免除になる。


その代わり強権依頼の報酬は高く設定されているので、死ななければ良い稼ぎにはなる死ななければ。

ロスラン所属及び滞在冒険者は冒険者ギルドに集められた。


冒険者ギルド長がカウンターの後ろから

「今回の非常事態は対象はゴブリン。

ガルチ村で確認されたのはゴブリン100匹

レッドキャップが20匹。

ゴブリンライダーが10匹と騎乗していたのはフォレストウルフ10体。

ホブゴブリンが4体

ゴブリンメイジ2体

ゴブリンジェネラルが1体確認された。

ガルチ村の住人は全滅と思われる。

女性の生存者が居たとしても苗床になってしまえば精神は崩壊している事だろう。

今回の冒険者の役割は街の防衛が主になる。

討伐は領軍と領主お呼び騎士団が行うことになった。

掃討戦になれば参加は自由になる。

討伐決行は3日後、3日後またギルドに集合してくれ。

魔法の使える者は此の後残って欲しい。

話しは以上。解散」

魔法使いへの話しは。南門の閉鎖を土壁で行うというモノだった。

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