第103話 ロデムラート砦の奴隷奪取
港の倉庫に到着するとそこには15の倉庫が並んでいた。しかも王国砦の倉庫より1,5倍の大きさがあった。
先ずは、穀物類の入った麻袋をどんどん出して行く。7つの倉庫を隙間無く積んで埋めた。次に野菜の入った木箱を4つ倉庫に隙間なく積んで埋める。次に、肉類の入った木箱を2つの倉庫に万遍なく詰み込み、残りの倉庫には酒の入った木箱を1つの倉庫に詰めて入れて、最後の倉庫には調味料やハーブ、それとタバコなどの嗜好品の入った木箱を万遍無く詰めて満載にした。それを見ていた代官は
「凄いですねこれ全て鹵獲品ですか、ここまで倉庫が満載になるのを見るのは初めてです。これを頂いて宜しいのですか?」
「構いません。まだまだありますから。これから領主連合軍も滞在しますからこのぐらい無いと持ちませんよね」
「十分です。5万人が5ヶ月籠城しても持ちますよ」
渡した分はインベントリに入っていた物資の6割だった。
ロデムラート砦で分捕った分の武器類は一切出していない。それとは別で物資が4割残っている。これは、私の戦利品として持ち帰ることにする。代官が、
「それでは、城門に戻りましょう」
と言ってきたので、
「はい」
と
城門に引き返すと父ティモンが方面長と話をしていた。そこには、縄で縛られた王国軍幹部達が並ばされていた。俺は、
「父上、こいつ等があの作戦を指揮した悪党共ですか?」
「おう、ヴァルグードその通りだ。こいつ等が自爆攻撃を仕掛けていた張本人達だ」
そんな会話に王国軍の司令官らしき人物が割って入ってきた。
「はんっ。獣人族など人類では無い。魔獣と同じではないか、貴様らだってオークやコボルトを退治するだろ。それとどこが違うというのだ。綺麗事を抜かすでないわ」
私は、思わず身体金剛を発動しながらそいつの左脇腹に右フックを打ち込んでいた。
〈ボスッ〉
「ウゲェ〜ッ」
王国の司令官は嘔吐して
「お前!スキル使って殴るなんて、気持ちは分かるが殺してしまっては、価値が無くなる。気を付けろ」
「すいません。言い草がついカッとなってしまいました」
やり取りをしていると、丘から下って来ている領主連合軍が見えて来た。
「父上、僕とエーデルトは一旦みんなの待つ街にに戻ります」
父ティモンに断りを入れて、ダンジョン町の宿屋へエーデルトと〝転移〟して戻る。
部屋には誰もいなかったので、エーデルトに
「ちょっと疲れたから、休むね」
「お疲れ様でした。ごゆっくりお休み下さい」
私は、ベッドに倒れ込み眠った。
目が覚めると、エーデルト、ウェルウィン、ムスカーノが何やら話し合っていた。私は3人に声を掛ける。
「皆んなおはよう?なのかな。」
「ヴァルグード様、そこまで時間は経っていません。今は丁度夕食の時間です。食べに行きますか?」
「お腹減ってきた。食べに行こう」
宿屋の食堂に来てみると、子供達が全員集合していた。なので私は護衛組も合わせた皆んなに、
「取り敢えず、もうすぐ戦争は終わるから、安心して待ってて欲しい。僕もあと少し手伝ったら帰って来るからね」
「「「「「「「畏まりました」」」」」」」
皆んなで食事をして、部屋に戻ると、ウェルウィンとムスカーノに引き続き子供達の世話をお願いして、父ティモンを居場所を〝遠視〟で探っているとダビン港町は解放祝いで町を挙げてのドンチャン騒ぎ中だった。
仕方ないので兵舎の私達が使っていた寝所にエーデルトを連れて転移した。私はエーデルトに、
「僕はここで待っているから、父上と騎士団長を見つけてここに連れてきて欲しい」
「畏まりました。速やかに見つけて参ります」
と言ってエーデルトは外に出て行った。私は、隠密行動の為に姿を消せる魔導具の腕輪を作ろうと考えた、ドレイクの鱗とキラービーの魔石を取り出して、〝創造〟を使って加工していく。何かに使えると思い10個程作っておく。2cm幅の輪っか状に加工して、それにキラービーの魔石を半円に細長く加工した物と接合させる。
腕輪の裏側には闇属性とサイズ調整の魔法陣を刻み、魔石には魔素吸収の魔法陣を刻む。
それを作り終えたところで、自分には必要無い事に気付いたが、私の護衛には必要と考え直して、残りは父ティモンに渡すことにした。そんな事を考えているとエーデルトが父ティモンと騎士団長を連れて戻って来た。
「ヴァルグード様、ご領主様と騎士団長をお連れしました」
「ヴァルグード、戻ってきたのか。それで話というのは?」
「ロデムラート砦の奪回で使えないかと、姿が消せる魔道具の腕輪作りましたのでお渡します。ところで前線にいた奴隷兵はみんな男でしたが、彼らの家族はどうしているのでしょう?」
「指揮官どもを締め上げて聞いた話では、女子供はロデムラートで仕事をさせているらしい。領都にもかなりの数が人質兼労働者として働かされているという。領都に行っている見目の良い奴隷は、慰み者にされているみたいだ」
それを聞いた俺は、血が逆流しているのではないと思うほど激高して、
「父上、王国の連中はこの世から抹消すべきと考えますが」
と、思いの丈をぶち撒け鼻息を荒くしていると、父ティモンが
「まあ、落ち着け。我が国の民も奴隷や人質になっているんだ領主連合軍の皆んながお前と同じ気持ちだ。しかし、我々は主力では無い。あくまで帝国軍の援軍なのだ。ロデムラートの奪回までは我等だけでも問題無いが、領都奪回や逆侵攻は我々の仕事では無い。
いつかは、王国を滅ぼすと思うがその憤りは成人するまで取って置いてくれ」
父ティモンの話を聞いて、少し冷静なって、
「分かりました、しかし今晩の嫌がらせはやらせて貰います。今からエーデルトとロデムラートに向かい、食料奪取と人質解放に動きます。人質はそのまま、ガルチ村に転移させます。宜しいですか?」
「良いだろう、それについては俺が責任を持つ。暴れてこい」
「はい!エーデルトこの腕輪を嵌めておいてくれ。向こうについたら魔力を流して起動させろ」
「畏まりました」
俺はエーデルトと手を繋ぎ、直接ロデムラートの備蓄倉庫へ転移した。
ロデムラートの備蓄倉庫はそれなりにかき集めたのか倉庫の半分程食料が備蓄されていた。それを全てインベントリに収納して、
「エーデルト、隠密の魔道具に魔力を流して、起動させてくれ」
「了解です」
私は隠密のスキルを発動させて、エーデルトは隠密の魔道具で姿を消す。そして〝透視〟を使って自爆兵の有無と奴隷兵の所在地を確認する。大体は地下牢屋に閉じ込めらられて居たので、そちらに転移した。
牢屋には子供、女性、年配男性と分けられて収容されている。女子供の首には隷属の首輪が、そして年配の男性には自爆の首輪が嵌められていた。
牢の中は沢山の人達が押し込められている為に、皆んなその場にしゃがんで肩を寄せ合いながら眠っている。
私は先ず、自爆の首輪に触れて魔力と神力を2:8の割合で混ぜ合わせ〝解除〟と唱えると触れていた自爆の首輪が2つに分かれて外れた。その首輪をインベントリに収納して、次の男性へと自爆の首輪を解除して行く。
様子を見ていたエーデルトが小声で
「ヴァルグード様、それでは手前の人しか解除出来ませんね」
「そうなんだよね。上手く僕の魔力が行き渡って呪文を唱える事が出来れば……。」
私は首輪を外した人達を〝転移〟させて牢屋から出し自分が牢屋に入って〝結界〟を高さは1,5m程にして牢屋全体に張る。その中に魔力と神力を混ぜ込んで結界内に放出、充満させると〝解除〟を唱えてみると、年配男性全てに嵌っていた首輪が2つに分かれて解除された。
「エーデルト、僕はこのままガルチ村にこの人達と転移するね。代官屋敷前のロータリーに行ってくる」
「畏まりました」
私は近くにいる男性に触れながらガルチ村に〝転移〟した。
結界を張ったままガルチ村のロータリーに転移した私は結界を解除して、転移した人々をそのままにロデムラートの牢屋へと戻る。
牢屋に戻ると、牢屋内に落ちている自爆の首輪を回収し、女性達が収容されている牢屋前に転移して手の届く女性の首に装着されている隷属の首輪を同じ解除方法で解除を試みると〝バチッ〟と音がして隷属の首輪が外れた。
3名の女性から隷属の首輪を外すと、その女性達を転移で牢屋から出し、私が入れ替わりに牢屋に入ると〝結界〟を張り、同じ様に魔力と神力を充満させて隷属の首輪を〝解除〟させると、そのまま女性に触れてガルチ村へと転移した。
子供達も同じ要領で隷属の首輪を解除して、ガルチ村へと転移させると、残りのスペースを空ける為に牢屋から出した人々とエーデルトと共にガルチ村へと転移した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます