第59話 6歳になりました。

村に職人がやって来て 、新しい年を迎え、

建物が次々と出来ていく中、副代官のオデットが、

「完成報酬金が足りないかも知れません。」

と急に言い出した。

「なんだって~!不味いじゃないか。」

「契約は後15日ありますので、今から領都に出向いてアイテムバックとマジックポーチを売ってきます。」

「あっ!そう云えば結界の魔道具作ったの忘れてた。 コレ売れるかな?50個あるけど。 売れるなら持っていって欲しい。」

「結界の魔道具ですか! 当然持って行きます。 それで、性能はどのぐらいですか。」

「渡せるのは3m角でゴーレムのパンチを防げる。」

「なかなかの性能ですが、少し結界の範囲が小さいですが、使用回数はどのぐらい保ちますか?」

「魔石が壊されない限りずっとだけど。」

「魔石の魔力が抜けて自壊しないのですか?」

「しないよ。 普通に売り出されている結界の魔道具は自壊するの? 僕の造った結界の魔道具は魔力を自動供給するから、魔道具自体を攻撃されない限り壊れないよ。」

「そんな……魔力を自動供給する結界魔道具なんて聞いたことがありません。」

「それで、売れるかな。」

「売れます。金額次第ですが値段はお任せ頂けますか?」

「うん。オデットの納得行く金額で良いよ。」

「それでは、お預かり致します。」

こうして副代官のオデットは、馭者にテリーとハンス、騎士2人を連れて領都に向け出発した。

副代官のオデットが領都に向かったタイミングで第10小隊の隊長であるベリックが、

「ヴァルグード様、お願いがございます。」

「どうしたの?」

「ダンジョンの様子を偵察しておきたいのですが、ヴァルグード様達が戻って、日にちが経っておりますので、魔物の湧きがないか確認しておきたいと思います。 4名を派遣し1週間を目処に見廻りさせたいと思います。

宜しいですか?」

「それじゃ、この結界の魔道具とアイテムバックを渡しておくよ。 深い階層には行かないように、魔道具は有効に使って。」

「ありがとうございます。 それでは失礼します。」


私は、彼を見送り終わると石材造りとガラス板製作を西側の建築現場で行う。

資材製作を終わらして屋敷に戻ると、トイレで使う浄化の魔道具作成に取り掛かる。

今のままではにおいもするし不衛生なので、喫緊の課題となっていた。


先ず、鉄鉱石を取り出して半分を神気鉄にしてもう半分を炭と混ぜながら神気鋼のインゴットを製作し、神気鋼は使わないでインベントリにしまい、神気鉄を10cm角厚さ3mm四隅には釘で縫い付けれるように孔を開けた。

こうしてプレートを作り終わり魔法陣を刻む、彫刻針を取り出して出力を最大に下げて「〝光線レーザー〟」と唱えて、二重丸を刻みその内輪の中に四角を刻み、四角の中に12芒星を刻む。

そしてインベントリにC100-001とスペースを作成して、魔法陣の輪間に〝浄化済み収納〟〝インベントリC100−001〟〝空間認識〟〝出し入れ自由〟〝登録魔力(ヴァルグード)〟〝登録者限定〟〝魔力供給〟と刻む。

次は四角のすみに〝加熱殺菌〟〝上限120℃〟〝水分蒸発〟と刻んだ。

最後に、12芒星の中心に〝浄化〟〝発動キー(浄化)〟〝停止キー(終了)と刻んで浄化魔法陣は終了。

魔力供給の魔石を作るためゴブリンの魔石を取り出して二重丸の内輪に合わせるように、魔石を加工するが小さくて12芒星の中で

までしか広げられなかった。

仕方無いので、それに〝魔素吸収〟〝魔力変換〟〝魔力補填〟〝魔力供給〟と魔石の中にと彫刻針を使い「〝光線レーザー〟」と唱え刻んだ。

神気鉄と魔石を合わせて「創造」と唱え繋げる。

これで浄化の魔道具は完成した。

それを持ってトイレに向かう。

トイレにはにおい防止に木の蓋を取付ているので蓋の裏側に浄化の魔道具を釘で縫い付ける。

蓋を戻して、「浄化」と唱えると蓋から光が少し漏れては消えた。

その後、蓋の隙間から湯気が出て来た。

湯気が止まるの見届けて「終了」と唱え魔道具の作動を止めた。

蓋を取り、中を覗くと綺麗になって臭わなくなった。

成功したので、部屋に戻り浄化の魔道具の製作に取り掛かった。

ゴブリンの魔石はインベントリに500個程あるので、鉄鉱石を「分解」して純鉄を取り出し、練気力と神力を純鉄に限界まで流し込んで、神気鉄を作り、500枚の10cm角プレートを作った頃には夕食となっていた。


夕食を食べ終え部屋に戻ると、ひたすら浄化の魔道具を作ったが20枚で、寝落ちしてしまった。


翌朝、ジョギングをして、朝食を取り終えると直ぐ様、部屋に戻り浄化の魔道具の製作を始めた。夕食を摂った後も続けた。

終日没頭して製作しているが、丸一日で120個が限界だった。


500個の浄化の魔道具が出来上がったのは4日後だった。

それを一軒一軒取り付けて行く。

途中、騎士達に分担してもらって、建設中の建物には座席型の蓋付き便器を木のパウダーで制作してその蓋に浄化の魔道具を取付て、大工に渡した。

それを騎士達に見咎められ、全てのトイレを座席型の便器に変える事になった。

新築用の便器は90個作り終えているので、

明日からは便器の製作の1日になりそうだ。

便器を作っては浄化の魔道具を取り付けて騎士達に渡す。

それを1日中続けて2日目の昼に副代官のオデットが乗る馬車が南門から帰って来た。

玄関に回って出迎えると馬車から父ティモンが出てきた。

「父上、お久しぶりです。 今日はまたどうしました?」

「ヴァルグード、久しいなお前の顔を見に来たのと村の復興具合の確認に来てみた。」

「そうでしたか。 現在、西側から民家の建築を始めて東側に向かって建築中です。

後、1週間もすれば建築目標の90軒に到達します。」

「おう!それは、順調ではないか。

ダンジョンの方は大丈夫か?」

「ダンジョンには騎士4名を向かわせています。低層のみ進む様に指示しています。

明日には戻って来るでしょう。」

「建築が終わる頃はヴァルグードも6歳だな。」

「そうでした。」

そして、建築が終了した日は私の6歳の誕生日だった。

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