第17話 ロスラン攻防戦

SIDE:ギルド長 キール

漁業ギルドに到着して、漁業長のガンリックに連れられ奥にある船のドックに行き着く。

そこには4人の職員がいた。


「お〜い!ちょっと来てくれ。』

ガンリックの呼び掛けに4人は集まってくる。

「コイツの事は知っていると思うが、冒険者ギルド長のキールだ。

コイツらは、右からこの船の船長のレスター

機関士のマニック、航海士のグレン、操舵士のクレスタ。

実は、ガルチ村の事件は知っているな。

アレの原因調査でボロッカー山地に船で海辺を調査したいそうだ。

今すぐ船を出せるか?」


船長のレスターが

「何時でも、行けますよ。」

と答える。漁業長が

「そうか、じゃぁ、行くか。」

と船に向かい乗り込んだ。

船は全長が30m程。幅が4m程あり、真中から後方に掛けて船楼が有る。

4人が乗り込み、最後におれが乗り込むと係留しているロープをグレンとクレスタが外して、船が離岸する。


船楼に入ると優れ操舵室があり、機関士のマニックは下へと降りていって、残りの者は操舵室に、俺は船長席の後ろに有るベンチに腰掛けた。

漁業長は船長席の横にいる。

「ブ~ン」と船から何やら音がしだすと船が動き出す。


中々のスピードで、移動をしていたが、

「おい!そろそろ出るぞ!」

「何が?」

「魔物だよ。」

そう言って漁業長が外に出る。

俺も立ち上がり外に出て海面を覗くとシャークの背ビレが見えた。俺は、

【火よ、槍となりて、顕現せよ ファイアランス】

魔法を行使して、シャークの魔物を撃退して行く。

漁業長も、

【雷よ 無数の矢となりて 顕現せよ サンダーアロー】

無数のカミナリがシャークに当たり、海面が赤く染まる。


そうして、魔物を撃退しながら進んでいくと、ボロッカー山地の山々が見えて来た。

ボロッカー山地の海側は崖になっていて、船を付けれる場所などはない。

暗礁もあるようで所々海が黒く見える。

ゆっくりと陸地の方角へ向かって貰うと、

未だ遠いが海面から4m上に洞窟が見える。


すると漁業長が

「キールよ。アレ中で何か動いてないか?」

「ガンリック、オマエにもそう見えるか?」

暫く見ていると、ゴブリンが出てきて麓へと降りて行く。


「キール、こりゃ決まりだなぁ。」

「あぁ、決まりだな。」

「良し! 撤収。 引き返すぞ!」

そうして帰りもシャークを撃退しながら市場の船着き場に船を止めて貰い、船を降りた。

市場を突き抜け、急いで冒険者ギルドに戻り受付でチーフのクリスに

「ダンジョンを見つけた。

今から、東門に行って先代に会ってくる。」


クリスは、

「ダンジョンですか!」

「そうだ、ダンジョンだ。

領都の冒険者ギルドに連絡しておいてくれ」

「分かりました。

連絡をいれておきます。」


東門に向かうと、門の上から

「お~い!ギルド長!!」

と声を掛けられた。

「先代!どうしてそこに?」

「喋りづらいから、今降りてくから待っとれ。」

暫く待つと先代が出てきた。


「南門に行っておった。

あそこだと進捗が分かりやすいんだが今は南門から上がれんのでな、城壁伝いに行って来た帰りなんじゃ。

で、ギルド長はどうした。

漁業ギルドに行っとんたんだろ。」

「実は、ボロッカー山地まで漁業長に船を出して貰って、海側のボロッカー山地に異変が無いか確認に向かった所、ダンジョンを見つけました。」

「そうか、やっぱりダンジョンブレイクか。」


夕暮れになり作業を止めようと、先代と共に野戦陣地のを確認しながら南門の作業場所に行くが誰も居らず、西門の方に向かうと、西門で騎士団がいた。


領都からの騎士団が合流した様だ。

領主様がコチラに気付き向かって来る。

「父上、今、到着致しました。」

「ご苦労さん、道中どうであった。」

「実は、デルクト村の近くの森でゴブリンに遭遇しまして、こちらは被害無くゴブリンは殲滅致しました。」

「そうか、そっちまで行った群れがいたか。

此奴は、ロスランの冒険者ギルド長キール

先程、ダンジョンを見つけたと報告を受けたところだ。」

「ダンジョン・・・」

「カン。カン。カン。カン。」

南門から4回鐘が鳴った。


南から冒険者達が走ってコチラに向かって来る。

監視していた冒険者達だ。

「スタンピードだ。数は1000を超えてる。」

「先代、指揮はどうしますか?」

「領都騎士団はティモン。野戦陣地の1層を

ロスランの騎士団とB級冒険者は儂が指揮で

2層に、残りの者はギルド長が指揮して3層戸城壁に、兵士は城壁と内部で治安維持、指揮は兵士調に取らせろ。」

「はっ!」

「了解した。」

「騎士団長!南の1層土壁に散会。

ギルド長、馬をお願いして良いか。」

「畏まりました。 皆んな、続け!」


「分かりました。冒険者はこっちに集まれ!!騎士団の馬を受け取り、待ちに運んでくれ!副ギルド長はどこだ!」

手を挙げて、副ギルド長がこっちに来る

「あ~。ハイハイ。」

「馬と魔法使いを連れて街に入れ、魔法使いは城壁から攻撃させろ。」

「分かりました。

魔法使いの皆さん、チャッチャと移動しますよ。

馬を忘れずにお願いしますね。」

「良し、残りは3層に散れ。」

『おう』


「監視してた冒険者達は街に入って休憩しておけ。 お前らは休憩が済んだら副ギルド長の護衛をしてろ。」

「あぁ、了解だ。」

「今のうちに魔法で石を作っとけ。

し石だったら魔力が少ないやつでも作れるだろ。 戦闘になったらこの石を投げろ。投げる時は塀に上がれよ。

じゃないと味方に当たるからな。

殺傷能力が無くても、ゴブリンの隙は作れるからな。」


1層 領都騎士団 100名

2層ロスラン騎士団45名とB級冒険者10チーム40名

3層C級冒険者85名 D級冒険者145名

城壁 B級魔法使い10名 C級魔法使い22名 D級魔法使い26名

この布陣で戦闘が始まる。


「領都騎士団はフレイムウェイブを放つ。

発現を合わせろ。

ロスラン騎士団はブラストを頼む。

一拍送らせて発現してくれ。 準備は良いか?

【熾烈なる炎よ 波立つ様に 灼熱の炎を解き放て フレイムウェイブ】」

「【躍動する風よ 龍の様に舞い上がり 風の翼を解き放て ウィンドブラスト】」

(こりゃ、何と言うか100名の火魔法と45名の風魔法が融合しちゃうと、凄い事になるんだなぁ。)

100名が放った魔法使いが1日に一回しか打てないフレイムウェイブが1000匹のゴブリンを巻き込んで更に45名が放ったウィンドブラストでフレイムウェイブの炎が竜巻となって森の方角に進んでいった。

2km程進んで魔法は消えた。


「ギルド長、石要らなかったすね。」

「あぁ、要らんかったな。」

一面焼け野原だった。

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