第15話 魔物との前哨戦

SIDE:ティモン

領都からロスランまでは馬車で5日早馬でも2日かかる。

どうなっているか気が逸るが騎士達の体調も気を配ら無いと戦いに万全で望めなくなってしまう。

村には入らないで近くで夜営する。


翌朝、身支度を整えて村からの差し入れスープを貰い干し肉とパンを差し入れスープで流し込む、皆も食事が終わり、出立しようとしていると、北から早馬に乗った騎士が向かって来た。


「アグウェル様からの伝言をお伝えに参りました。

『ガルチ村の住民は未だ誰も発見出来ず。

ガルチ村に居座るゴブリンの移動も確認出来ず。

村の食料を食べ尽くす迄は、移動は無いものと考える。

との事です。

ガルチ村の監視はB級冒険者盗賊スキル持ち12名をローテーションさせて監視しています。

魔物の移動が始まったら、狼煙をあげて引き上げる段取りにしています。

南門は土壁で完全に閉鎖しています。

街に入るには北門からお願い致します。」


「了解した。

君は、村で休憩を取ってからゆっくりと後を追ってきなさい。」

「皆んな準備は出来たか!問題なければ出発する。」

「出発」

騎士団長の掛け声と共に皆が移動を始める。


「騎士団長、速歩はやあしで進むぞ。

少しでも距離を稼ぎたい。」

「畏まりました。傾注!移動を速歩はやあし。」

『復唱!移動を速歩はやあし。』

「騎士団長、次の休憩地点で斥候を2組4名出してくれ。

他の魔物の気配が無いか探りたい。」

「畏まりました。後で選抜しておきます。」

昼にはロスラン迄は1日半の所までやって来た。


ここで、長めの休憩を取り馬の体調も整える。

「領主様、斥候は第2小隊から4名選抜しました」

「任務は索敵のみ。

戦闘も追跡も必要無い。

魔物に遭遇したら直ぐに、本体に報告に来る事、何も無ければ次の野営地に待機。宜しいか!」

「「「「畏まりました」」」」

「では、暫し休憩ののち、先行せよ。」

「「「「はっ!」」」」


しばらく休憩を取った後で斥候の4名様を先行させる。

残りの騎士たちを整列させてから出立する。

「出立する。」「出発!」

暫くして丘が見えて来る。

「騎士団長、この先の丘を登ると森が見えて来る。

警戒しながら常歩なみあしで進むぞ。」

「畏まりました。傾注!移動は常歩なみあし森に注意せよ。」

『復唱!移動は常歩なみあし森に警戒を。』

村の手前は丘になっているため、登りきらないと村は見えて来ない。


丘を登り切ると、一騎の先行した騎馬がかなりのスピードでコチラに向かって来る。

「どうした!!」

と尋ねると。

馬から飛び降りて、

「森の中でゴブリンを発見しました。

残りの3騎は村に向かわせました。」

ここで、前の村で休んでいた早馬の騎士が、

「私も、森は警戒しながら移動をしていましたが、その時は、ゴブリンの姿はみておりません。」

「騎士団長。」

声を掛けると、騎士団長は頷く。


「傾注!森でゴブリンが見つかった。

これから、討伐を開始する。

第1小隊は領主様の警護及び傘下として領主様の指示に、第2小隊と第6小隊は、村に、

第7〜第10小隊は村の前面で森の魔物に対応出来る土壁を肩の高さで作成。

第3〜第5小隊は私と一緒に先行討伐いいか!」

『了解』

「では参る! 抜剣!!吶喊!!」

『ウォ〜〜っ!!』

「騎士団長達が引き付けている間に、土壁の野戦陣地を構築する。


村までの移動は、襲歩しゅうほ

『復唱!移動は襲歩しゅうほ

「移動開始!」

掛け声と共に皆が、村に向かって進む。

村の囲いに近づくと、

第7と第8小隊は、右側から2列になって2重の土壁を作成し始めた。

第9と第10は左側から同じように土壁を作成し始めた。


護衛をしている第1小隊の騎士に、

「代官を呼んできてくれ。

第6小隊には俺が代官屋敷の周囲に土壁を作成する様に指示を出したと伝令を頼む。」

「畏まりました! 行って参ります。」

「残りの者は周囲の経過怠るな!」

『はっ!』

 森の中では、騎士団長率いる騎士達がゴブリンを蹂躙していた。

騎士達は全員、身体強化が使えるため半日戦っても疲れる事はないし、ゴブリンの攻撃程度では傷も付かない。


レッドキャップゴブリンを見つけると

「隊長!レッドキャップです。」

「わかった、コッチと交代」

「はっ!」

騎士達はレッドキャップが出れば隊長が対応する、そう云う戦い方で無難に捌いていく。

ホブゴブリンは隊長2名騎士2名で対応し最終的には騎士団長に任していた。

ゴブリンを粗方片付けた騎士団は森から出てきた。


村からは代官のグロッシーがやって来た。

「領主様、魔物討伐ご苦労様でございます。

土壁の作成もありがとうございます。」

「グロッシー、食料の備蓄はどうだ。

それと分かっていると思うが土壁は魔力が抜けると崩れて来るから残すのなら補強作業を致せ、資金は領の予算から出す。」


「でしたら農作業も粗方終わりますので、村人達の賃金労働として秋口迄従事させて頂きます。

食料も地下に備蓄している分が未だまだありますので、収穫迄は大丈夫です。」

代官とそんな話しを終える頃、森から騎士団が戻ってきた。


「領主様、魔物を片付けて戻って参りました。」

「ご苦労、魔物は殲滅出来たか。」

「目の届く範囲に居た魔物は殲滅出来たと思います。

死骸はそのままですから一度休憩を入れて後片付けの作業を始めようと思います。」


「そうだな、死骸にまた魔物が寄って来ないとも限らない。

森の外に集め焼却する様に。

今日はここで夜営するから準備の指示もしてくれ。」

「畏まりました。」

「グロッシー、村人に夕食を作らせてくれまいか? 食材はこちらで提供するし少ないが賃金も出そう。」

「畏まりました。

早速、夕食を作らせましょう。」

夜営の準備や魔物の死骸の焼却作業を終わらせて夕食を取る。


明日にはロスランに到着するがここの村にもゴブリンが見つかったということは広範囲に魔物が分布していると、考えなければいけない。

(取り敢えずは明日だなぁ)

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