第63話 ロデムラート砦攻防戦

SIDE:西方面長 ノルダン

翌朝、西方面軍の幹部を招集した。

集まったメンバーは、

私、西方面長 ノルダン・スヴレ・アルヴレ

副官 ハーミル・バロレ・セギュール

参謀長 フリント・バロレ・スミュール

兵団参謀 モルキス・ツー・ジラール

騎士団参謀 ノルエル・ツー・タシェ

魔法兵団参謀 カルビン・ツー・ネール

兵団長 ドルダン・ツー・ダーマル

騎士団長 ジャックス・バロレ・ノアイユ

魔法兵団長 ジェイコス・バロレ・キーズ

副参謀と副団長達はダビン港に派遣している。


「今回、王国軍が砦まで侵攻して来た。

海にも王国軍が国境付近まで来ている。

そして、今回の侵攻で今までと大きく違う点は森側にも王国軍が出現したことだ。

それと、船に車輪を付けて船体を鉄板で覆う

船が居るという点で、王国軍は3方面から侵攻して来ている。

皆の意見を聞きたい。 参謀長どうか?」


「意見具申致します。

先ずは、海ですがこちらはその船種の分からない船以外はいつもの船団ですので、こちらは本命ではないでしょう。

森側の侵攻も陽動と思われます。

本命は正面の王国軍でしょう。」


「伝令、王国軍が動き出しました。」

「副官!急ぎ防壁魔道具を起動しろ。」

「伝令は警報を鳴らすように伝えろ」

「「はっ」」

2人が出て行って暫くすると警報が鳴った。

「ジリリリリ」

「今は、人数が少ない海側には増援せず、森側から本館に兵達の配置をしてくれ。

騎士団は魔法兵団員の護衛をする様に。

移動は常に城壁内での移動とする事。

各参謀は所属団長に付け。

兵団長!城壁の上に居る兵士達を城壁に入れろ。監視は城壁内の覗き窓から行う様に。」

「「「了解致しました。」」」

「参謀長、伝令隊を増員して左右の監視塔に絶えず送ってくれ。

些細なことでも、イヤ!何も無くても報告する様に、伝えて送りだせ!」

「畏まりました」

参謀長が出て行くと、「ブオンッ」と建物から音が響いた。 防壁魔道具が起動した様だ。

防壁魔道具は本館に1つ城壁には5ブロックに別れて設置されている。

それに魔力を流して起動させる。

起動すると渓谷側に魔力の壁が城壁に沿って出来上がる。

これで、魔法攻撃耐性、物理攻撃耐性が城壁に付与される。

大概の攻撃には耐えるが7日間で魔道具を交換しないといけない。魔道具のストックは50個全部で13箇所あるので、全ての場所は28日間保持出来る。

それまで頑張れば、援軍も到達するだろう。

昨日、伝令は送っているので十分間に合うはず。


「報告します。 王国軍が対岸で布陣を始めました。攻撃しますか?という魔法兵団長の言伝です。」

「こちらからは始めるなと伝えろ」

「了解です。」

「報告します。 布陣は盾部隊500を前衛にて置き、重装兵2000 バリスタ20基 大型魔道具30基は用途不明、工兵隊1000、魔法師2000 弓隊2000 騎兵2000 歩兵10000という布陣です。」

約2万か、厳しいな。

「報告します。 森側の布陣が判明しました。盾部隊500 バリスタが50基 魔法師が2000 歩兵が5000 工兵隊が1000です。」

伝令兵の報告を聞き終えると、

「ギガガッガーン。」

と削れる様な音が響いた。

「何事だ!」

「王国軍からの魔法攻撃です。風魔法のウィンドブラストようです。」

参謀長が戻って来て報告してきた。

副官も戻って来て、

「防壁魔道具は全て起動いたしました。」

と報告を受ける。

「参謀長、ハーミル、反撃は出来るか?」

と聞くと参謀長が、

「難しいですね。 バリスタは風魔法の攻撃を受けているので、矢がマトモに飛びませんし城壁内では防壁魔道具で飛ばせません。

屋外に出たくても。ウィンドブラストでは切り刻まれるか吹き飛ばされてしまいます。」

それを聞いていた副官は、

「大型魔道具は何かしらの特殊攻撃と思われますがそれを使わず、風魔法攻撃というのはどうしてでしょうね。

しかも、攻城戦に必要な梯子や破城槌も見当たりません。これでは砦の攻略は出来ません。」

「うむ、峡谷側には城門が無いから、意図は解らないが取り敢えずこの攻撃を凌いでおけば援軍が来る。 その時に反撃開始だ。」


そうして、亀の様に閉じ籠もって反撃機会を待ったが、王国軍は3日間絶えずウィンドブラストを打ってくる。

そして4日目の朝、正面に居る王国軍の大型魔道具から何かが飛び出し城壁にぶつかった。

「ドッカーン!」

「何事か!」

「王国軍の攻撃です。

大型魔道具から岩弾が発射されて城壁に当たった音です。」

「城壁は無事か。」

「城壁は無事です。」

「ドッカーン!」「ドッカーン!」

「ドッカーン!」「ドッカーン!」

王国軍の大型魔道具30基からの攻撃が始まった。その間もウィンドブラストは打ち込まれている。

「参謀長、何かしら反撃手段は無いか?」

「何も出来ません。森側に王国軍が居なければ森側に迂回して側面攻撃が出来るのですが、あの別働隊のせいで、側面攻撃も封じられていますし、海側は対岸に渡れる箇所が有りません。海戦の戦況次第では海からの上陸攻撃も出来なくは無いでしょうが、上陸地点の選定も行っていない現状では難しいでしょうね。」

「そうなると、この侵攻は嫌がらせか実験のたぐいなのか?」

「今後の

に向けて魔道具の試射実験という可能性も……」

と参謀長の話の途中で、

「ドッカーン!」「ガッシャーン。」

何かが割れる音がした。

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