第90話 6階層の洞窟と7階層
洞窟に入ると天井は其れなりに高く10m程の高さがあり、壁も天井も岩肌で至る所にボンヤリと光る岩が有るため、それ程暗くは無かった。
道は真っ直ぐ、坑道になっており奥に続いていた。道を進むと背負子を背負った冒険者と行き違った。
「どんな、鉱物が産出されるのだろうね。」
「この階層ぐらいだと鉄鉱石では無いですか? 含有量はそれ程期待出来ないと思いますよ。」
「そうだよね。まだ低階層なんだから魔鉱石ととか期待出来ないよね。ガルチ村のダンジョンが異常だったという事か。」
「ガルチ村のダンジョンはダンジョブレイクを゙起こした程の魔物が溢れるダンジョンでしたから異質だったんです。」
ダンジョンの話をして歩いていると坑道が2手分かれていた。 〝遠見〟を使って先の状況を確認する。左は採掘場で右手が階段部屋に続く道の様だ。
直ぐに、右の坑道を選択して移動を始める。
移動をしているとコウモリの魔物4体に遭遇する。
「
ブラックバットは、魔石に変わったので、魔石を回収した。
「今まで、魔物が出てこなかったのに急に出てきたね。」
「そうですね。あっちは採掘と搬出する為に、冒険者が間引いていたんでしょうね。」
「それじゃ、さっさと移動して下層に降りよう。」
移動を初めて、魔物の襲撃も無く階段のある部屋に辿り着いたのでそのまま下に降りた。
7階層に降りるとそこは既に、洞窟の中になっていた。
「7階層は階段を出ても洞窟なんだ。」
「そうですね。確か、この階層以降は罠もあったと思います。ウェルウィンやムスカーノだったら情報もあったと思いますが、私は、領内の勤務が長いので失念しておりました。」
「罠解除は出来るの?」
「罠の解除は見付けて魔法で強制的に作動させるって感じの解除は出来ます。が、深い階層にあると云われる魔法陣罠は、解除出来ません。 ですから、壁や床の色違いを見つけたら無闇に触らないで下さい。壁は基本、接触しなければ罠が有っても作動しませんから。接近戦の戦闘がが一番気を付けなければなりません。」
「充分注意するよ。」
注意事項を聞いて、駆け足ぎみに移動を始める。〝地図〟〝感知〟〝遠見〟を駆使しながら、冒険者や魔物の位置を確認して先を進む。この7階層でも採掘をしている冒険者が居るみたいで、魔物の反応が無かった。
奥へズンズン進むと分かれ道に差し掛かった。
右は採掘場があり左が奥へと続く道で、右には採掘場に向かう路の途中に部屋らしき空間があり、その奥に採掘している冒険者の反応があった。
「右に行くと採掘場で左が奥へと続く道見たい何だけど、右の採掘場の手前に大きな空間が在るんだよ。そこをちょっと覗いてみたい。良いかな。」
「ヴァルグード様のお好きなようにして頂いて結構なのですが、冒険者が近くにいるのであればトラブルになる可能性もありますので、気を付けて下さい。」
「分かった。充分気を付けるよ。」
右側の坑道を進んでいると「カンッ、カンッジャラ〜。」と採掘する音が聞こえて来る。
進むと採掘する冒険者と見張りの冒険者8名が見えてきた。
見張りをしている冒険者がこちらに声を掛けてきた。
「おいっ、ここは俺達、月下の団が作業しているんだ。採掘したけりゃ余所行きな!」
するとエーデルトが、
「そっちに興味は無いから勝手に掘ってろ。」
っと言い返して剣に手をかけて、冒険者を威圧している。
声を掛けてきた冒険者は、萎縮して
「採掘じゃないなら勝手にしろ」
と言って目を逸らした。
私は、部屋があるはずの場所に行くも出入り口らしきモノが見当たらないので、壁や床を何か無いか探すが何も見当たらない。 地図では壁の向こうに部屋がある事を表示している。
「エーデルト、この壁の先に部屋があるはずなのだけど、罠のスイッチってどんな感じ?」
「罠が発動するスイッチのハッキリとした情報はありませんが聞いた話では色がびみょうに違うとしか聞いていません。」
「そうなんだ。色違いかぁ。難しい。」
再度、じっくり床と壁を見て見ると壁の足元部分、
それをつま先で蹴っ飛ばしてみると、「ゴゴッ」っと音がして壁の一角がヘコみスライドして部屋に入れるスペースが出来た。
「「おぉ~。」」
私とエーデルトはその仕組みに感嘆していた。そして、2人で部屋に入ってみると真っ暗。
何も見えないので「光球」を唱えてライトボールを宙に浮かせて部屋を照らしたが、何も無い広い空間だった。
「何もないですね。」
「残念、隠し部屋っぽいから、宝箱期待したんだけどなぁ〜。」
そんな事を言って突き当りまで進むと、突然、
「ゴゴゴ、ゴ〜。」
と入口が音を立てて閉まって仕舞った。
そして入口だった所から黒い煙が溢れ、それが渦を巻き出し形を作って行く。
「あれは、魔物が出現する前兆です。
ここはモンスターハウストラップの部屋ですよ!」
エーデルトの言葉を聞いていると、黒い煙の渦はロックゴーレムになっていた。数は10体。
「エーデルトその剣でも戦えると思うけどウィンドカッターの短杖を使って遠距離攻撃から足止めを始めて。僕は核を見つけながら〝
「了解です。」
エーデルトは返事をすると右手に剣を持ち左手の短杖でロックゴーレムの足を攻撃し始めた。10体が一声に動き出す。
最前にいるゴーレムに(スクリーンオープン〝透視〟)を使って生命核を探して見つけては〝
エーデルトはウィンドカッターでロックゴーレムの片足を切断する。
私は、向かって来るロックゴーレムを核を見つけ攻撃し倒す。向かってくるロックゴーレムを斃し終わると、エーデルトが攻撃して転倒しているロックゴーレムを攻撃して、全てが倒し終わる。
「取り敢えず、終わったね。魔石とドロップしたインゴットを回収しよう。」
「そうですね。」
私とエーデルトは魔石と真鉄のインゴットを回収した。
「今回は、魔鋼ではなくて、真鉄でしたね。それにしても入口が開きませんね。」
入口付近で開くのを待っていると、部屋中央の床に魔法陣が現れその後に床から宝箱が出て来た。
「おっ、宝箱だ!」
私は直ぐに宝箱に向かった。
宝箱を開けようと手をかけたその時、床の魔法陣から目が眩む光を発した。
私は、眩しすぎて目を瞑った。
再び、目を開けるとそこにはエーデルトは居なかった。
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