第11話 魔術の研究

お披露目会が無事終わりスクリーンウィンドウに幾つかの項目を登録した。

私は、朝のジョギングを終わらし朝食を食べると、勉強もそこそこにして、エーデルトには魔術の勉強をするからと退出させ、昨日の続きで肉体強化魔術の開発を始める。


ベットに横になり枕を肩甲骨の辺りに置き、

お腹が見える体勢を取り、魔臓が有るであろう辺りを見つめて

(スクリーンオープン。多重発動 透視。)

お腹の中に集中する様に意識を向けると徐々に透けて来て内臓が視えて来た。

胆嚢たんのうの辺りに魔臓はあった。


意識を魔臓に向けて透視を続けながら、

(顕微)

を発動させる。

そうして魔臓を見ていく乳白色のモヤと黄色のモヤと黄金のモヤがあり圧倒的に黄色のモヤが多い。


乳白色のモヤが魔力なのだろう小麦の粒程しかスペースが無いようだ。

魔臓は拳大の大きさでその7割は黄色のモヤが3割近くは黄金のモヤだった。

スクリーンは黄金のモヤを使っている様だ。

先ずは乳白色のモヤ多分これが魔力でこれに意識を向けて動かしてみる。


すんなり動き指先まですぐに移動出来たが広げる事は出来なかった。

魔力を元に戻して、黄色のモヤこれが練気力だと思う。

これを動かしてみる。


練気力に意識を向けて魔臓からリンパ腺を使って全身に広げるイメージで、

(おぉ!一気に全身に行き渡った!!)

練気力をを纏わせたままベットから起き上がって扉に向かって力を込めて1歩だけ歩いてみる。


「シュン。ドカッ。ドン。」

一瞬で扉にぶつかり尻もちを付いたが衝撃があっただけで、身体に痛みは無かった。

(«ピロン。»縮地を取得しました。)

(«ピロン。»身体強化を取得しました。)

(終了)

先ずは全て終わらせてから、移動したい扉の前に視線を向けて、(縮地)と頭の中で唱えながら足を踏み出す。


すると一瞬で目的地に移動出来た。

そこで(身体強化)と唱えると魔臓に意識を向けなくても練気力が身体中に満遍なく広がった。

縮地と身体強化はスキルになった様だ。


またベットに横になり同じ様に

(スクリーンオープン、透視、顕微)

今度は指先に練気力を集めておいて細胞が見える迄、拡大してみると細胞を周りを練気力がおおっていた。


細胞に練気力が浸潤しないか挑戦してみる。

すると練気力が指先の表皮全体の細胞に浸潤していって、指先が肌色からオレンジ色に変色した。


指先を歯で噛んでみたが、鉄のように硬い。

一度解除するために練気力から意識を逸らすと指先の硬さが無くなった。

今度は、身体中の表皮に練気力を巡らせて表皮の細胞に練気力を浸潤させてみると皮膚がオレンジ色になり硬くなったのが解る。

(«ピロン。»身体金剛を取得しました。)

終了シャットダウン


午後になっていた。

部屋の扉がノックされ、声を掛けると護衛騎士のエーデルトが入ってきた。

「ヴァルグード様、剣術の鍛錬のお時間です。」

「分かった。」

エーデルトと一緒に訓練場に向かう。


素振りだけの鍛錬を終わらせて林に向かう予定をしていたが、エーデルトが

「どちらに向われるのですか?

お屋敷はそちらではありませんよ。」

「裏の林に行こうと思って・・・」

「それではお供します。」

「えっ。敷地内の裏の林だよ。

エーデルトは来なくて良いよ。一人で行くよ。」

「そうはいきません。

護衛騎士としてお供させて頂きます。」

「分かったよ、時間が惜しいから一緒に来て。」

2人で裏の林に向かう。


道中無言で林の中央付近まで来た。

ここで私は、(検索 魔術の発動方法)

(〝真言にほんご〟を唱える事で魔法と同じ効果が発揮します。)

(成る程、詠唱無しで呪文キーワードだけで良いのか。

火は危ないから、水でやってみよう)

「〝水球〟」

手を伸ばし日本語で唱えると手先の上にウォーターボールが出来てきた。

(スクリーン 顕微)

ウォーターボールを凝視して顕微を掛けると

核があり、そこに私の身体から出たであろう魔力と練気力があり、空気中の魔素と水分を取り込んでいた。


唖然としているエーデルトに

「エーデルト、ウォーターボール作れる。」

「はい。

【水よ。球となりて、顕現せよ。ウォーターボール】」

自分が発現したウォーターボールを手の上から地面に落とし、エーデルトの出したウォーターボールを凝視する。


エーデルトから出たであろう魔力の核があるそれが空気中の魔素と水分を補給していた。

「これは、消えないの?」

「魔法で、物質が出来て元になる物が存在しますから、放った後も物質は存在します。

火は魔力という燃料が無くなりますから消えます。

水は蒸発しますし風は何かとぶつかれば勢いを無くし消えます。

土は粉々になりますが全くなくなるわけではありません。」

私も魔法の発現を試してみる。

「【水よ。球となりて、顕現せよ。ウォーターボール】」

核が不安定で上手く球にならない。

属性転換する魔力が少ない様だ。


「魔法使いと魔術士の違いが分かったよ。

エーデルトの職業はなに?」

「魔法騎士です。」

「成る程ね、屋敷に戻ろう。」

「ヴァルグード様、最初のウォーターボールはどうやって発現させたのですか?

詠唱無しで聞いたことのない言語の呪文を喋ったと思ったら綺麗なウォーターボールが出現してましたよね。」

「それはナイショ。」

と誤魔化して全速力で屋敷に戻った。



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