第117話 領都への物資奪取作戦②

第1陣を送り返して屋上に私だけが戻ると、エーデルトが、


「ヴァルグード様だけですか?先に行かれた騎士爵の皆さんはどうされたのですか?」


「ここに戻っても仕方無いと思って、ダビン港町に送って来た。では皆さん次に行きましょう」


第2陣の騎士爵の皆さんが私に触れて、倉庫に転移すると直ぐに〝光球〟を出して、周囲を明るくする。第1陣の当主達と同じ様にその物量に暫し固まっていたが私が、


「さあ皆さん取り放題です。さっさと詰めて帰りましょう」


と言って作業を促すと、我先にと手前にある小麦の入った麻袋をアイテムバックに詰め込み始めた。その間私は、領主城の貨幣金庫を見付けて、その金庫内に転移して、積み上げられた皮袋を全て、インベントリに収納し、皆が作業している倉庫へと戻った。戻ると既に騎士爵の皆さんは作業を終えており元の位置で待機していた。


「お待たせしました。それでは、ダビン港町へと戻りますので、僕に触れて下さい」


こうして、第2陣の騎士爵当主達を集合場所であったダビン港町の鍛錬所に転移して送り返すと直ぐに、領主城の屋上へと戻り残りの騎士爵当主達を物資のある倉庫へと転移して連れて行く。

第3陣の作業中に私は地下にある広大な貯蔵庫を見付けて転移し、木箱に入った野菜類を見付けて木箱ごとインベントリに収納して時間を見計らって倉庫へと転移して戻る。

倉庫で作業を終わらせた第3陣の当主達をダビン港町へ送り返し、屋上に戻ると、


「次は、男爵家の方々ですが、2回に別けて転移しますので、2グループ別れてください」


男爵家の当主の皆さんが話し合って、2グループに別れて貰い、第1陣の8名を倉庫に転移させると、光球は未だ残っていた為、


「次のグループを迎えに行ってきますので、僕は転移しますが直ぐに戻って来ますので作業を始めて下さい」


そう告げると皆さんは頷き、各々麻袋のある場所に移動して作業を始める。それを見届けて第2陣の待つ屋上へと転移し、


「それでは、第2陣の男爵家の方々、僕に触れて下さい。物資は未だまだありますから、取り放題ですよ」


そう告げると、第2陣の方々が私に触れたのを確認して倉庫に転移した。男爵家全てを倉庫に転移すると、直ぐに屋上へと戻り、


「次はノルトハイム子爵家、ヴュルテンベルク子爵家、ホーエンローエ子爵の皆さん。出発しますので僕に触れて下さい」


と言って子爵家の皆さんを集めて、倉庫へと転移する。そして子爵家の皆さんが作業の為に散って行くと、男爵家の第1陣が戻って来たので、第1陣をダビン港町へと送り返す。

そして領主城の屋上に転移して戻ると、


「皆さん、ちょっと相談がありますので集まってください」


少し離れて固まっていた伯爵家、辺境伯家、帝国軍の皆さんを私の側に集めて、


「実は、小麦の集積された倉庫は今まで送ったグループによって全て取り切ってしまいますので、もう一つの穀物倉庫に転移したいと思っています。それとも地下の備蓄倉庫には野菜類、肉類、酒樽、酒瓶が貯蔵されています。帝国軍の方々には武器倉庫をお願いしたいのですが。そして、ダビン港町に戻られた時に、物々交換をして頂ければと思いますが如何でしょうか?」


「帝国軍はそれで問題無い」


「ヴァイマル伯爵家に異論はありません」


「シェーンブルク伯爵家も構いません」


「ラウジッツ辺境伯家も当然それで結構です。リートゥス伯爵家の意向に従います」


「皆さんありがとうございます。それでは伯爵家の皆さん、備蓄倉庫へと送りますので僕に触れて下さい。それと帝国軍の皆さんは武器倉庫なので最後の移動になります。申し訳ありませんが今しばらくお待ち下さい」


そう断りを入れると、伯爵家の皆さんを連れて地下の備蓄倉庫に転移した。地下の備蓄倉庫に到着すると〝光球〟を出して、


「では皆さん、マジックバックに詰めれるだけ詰めて下さい。僕は、倉庫にいる皆さんを送ってきます」


そう言うと地下の備蓄倉庫から小麦の倉庫に転移すると、男爵家の第2陣が待っていたので、


「お待たせしました。ダビン港町へとお送りします。僕に触れて下さい」


第2陣の男爵家の人々を送り返して直ぐに小麦の集積倉庫へと戻ると、子爵家の人々も作業を終わらせて、私のいる所に集まって来る。


「終了で宜しいでしょうか?」


声を掛けると集まった方々は満足した顔で頷く。


「では、ダビン港町へと戻りましょう。僕に触れて下さい」


10人の子爵家の人々を連れて、ダビン港町へと転移して送り返す。そして私は小麦の倉庫に戻り、端に残っている麻袋を全てインベントリに収納して、屋上へ転移する。


「ではラウジッツ家の皆さん。備蓄倉庫へとお送りしますので僕に触れて下さい」


辺境伯家の皆さんを地下の備蓄倉庫に送り届けると直ぐに屋上へと戻り、


「では皆、穀物倉庫へと送るから頑張ってそこにある物。、回収してね。〝転移〟」


リートゥス家の皆にはもう一つある穀物倉庫へと転移して〝光球〟を出して、


「アイテムバックやマジックポーチに入れれるだけ入れて、残ったら僕の方で回収するから。後で迎えに来るから。終わったらここで待ってて」


リートゥス家の面々を穀物倉庫に残し、帝国軍の皆さんが待つ屋上へと転移した。


「お待たせしました。これから城の正面側に武器倉庫に転移しますが、武器倉庫前には見張りの兵士がいますので、声を出したり大きな音が出る様な事は厳に慎んで行動して下さい。第一は見た事の無い武器の収集です。アイテムバックに余裕があれば残りの武器を持ち去りましょう。そして自爆の首輪や魔石のついた武器は必ず回収して下さい。では僕に触れて下さい」


こうして、帝国軍の皆さんと敵の武器倉庫へと転移した。




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