第82話 領民手続きとダンジョン町に出発
日の出と共に、起床していつものルーティンである、ジョギング、素振り、剣の稽古を終わらせて、食堂に行き朝食を済ませて部屋に
戻り、冒険者仕様の身支度を済ませて、エントランスに降りると、家宰ジェルダンが平たい小箱を持って待っていた。
「ヴァルグード様、おはようございます。
こちらの小箱に身分証と申請書類を入れておきましたのでお持ちになってください。
子供達の移籍届のために、申請書類には私のサインと領印を押しておきました。これを持って冒険者ギルドに行けばスムーズに移籍出来ると思います。
これからダンジョンですね。
充分お気を付けて無事にお帰り下さい。
行ってらっしゃいませ。」
「身分証ありがとう。申請書類も気を使って貰って、ダンジョンは無理をしないで頑張ってきます。
それじゃ、行ってきます。」
玄関を出ると、エーデルトと騎士2名が待っていた。
エーデルトが彼らを紹介してくれる。
「ダンジョンの護衛として同行する2名です。 ヴァルグード様に自己紹介を。」
「護衛騎士小隊のウェルウィン・ツー・ナミュールです。冒険者の等級はC級になります。宜しくお願い致します。」
「同じく小隊のムスカーノ・ツー・ラヴァルです。C級冒険者です。宜しくお願い致します。」
「こちらこそ宜しく。 君達は僕の作った剣を貰っていないよね。これを渡しておくよ。」
と言って剣を2振りとマジックポーチを2つ出して2人に渡す。
「こっ、これは……。ありがとうございます。」
「っ……。このポーチは……。ありがとうございます。」
「エーデルトに渡している剣と同じものだよ。多分何でも切れると思う。
ゴーストでもね。それとマジックポーチはドロップアイテムを無駄にしたくないからね。
それじゃ馬車に乗って出発しよう。」
こうして、私と護衛3名で馬車に乗り込み西門に向けて出発した。
「そのマジックポーチは使用者登録をしないと使えないからポーチに手を入れて魔力を流して登録をしてね。」
私は後部の仕切りをスライドさせて拡張した部分に椅子2脚とテーブルを作り、書類が書けるようにセットした。
そして、結界プレートを全て父ティモンに渡してしまっている事を思い出し、8m✕8m✕3mの箱型結界の出来る結界プレートをレッドアントの魔石を使い2個作成した。
そうしているうちに西門の外に辿り着いた様で、馬車が停止した。
サイエン達と母親らしき女性が3人居て、3人の中の一人は小さい女の子と手を握って城門から5m程離れた城壁の脇で立ってい待っていた。
「お待たせさせたかな。」
「その、昨日子供達から仕事が貰えると聞いて……。食べ物を頂き感謝しますが……。」
「あぁ。その前に自己紹介を僕はリートゥス伯爵家次男のヴァルグード・フォン・リートゥスと云います。E級冒険者をしています。
この3人は伯爵家の騎士で僕の護衛ですが、3人共、C級冒険者でもあります。
先ずは、皆さんに我が領の領民になりませんか?と云う提案です。
それに同意をしたら子供達は僕達とダンジョンに行きポーターの仕事して貰おうと思っています。報酬は1日一人銀貨1枚です。
ダンジョン内で子供達が討伐して得たドロップアイテや採取した素材はそのまま子供達のモノとします。
以上がこちらの提案と仕事内容です。
因みに、我が領内には整備の済んでいる開拓村があります。そこに住んで頂ければ住居と畑を提供することになっています。」
「自己紹介とご説明ありがとうございます。
身分証を剥奪された私達には願ってもない事です。 私は、ウルティアとアミエルの母親でエターシャ申します。領民にして下さい。」
「私は、ティナの母親のニーシャといいます。宜しくお願いします。」
「あっ、あのこの子まだ2歳なんですが、この子も良いですか? あっ、私はコニスの母親でメイリンといいます。この子はユーリシアといいます。是非、お願いします。」
「かーしゃん、わたち、もう、さんしゃいよ~。 ゆーりしあです。さんしゃいですぅ」
「はい、ユーリシアちゃん宜しくね。
それでは馬車で手続きをします。ウルティアさんから馬車へどうぞ。」
そうしてウルティアを馬車に引き入れて奥のテーブルに申請書類と身分証を出す。
それと小箱に入っていたインクとペンをテーブルに置く。
「ご自分の名前は書けますか?無理なら代筆しますが。」
「名前は書けます。」
「これでは、申請書類のこの部分に名前を書いて下さい。はい結構です。では身分証に魔力を流して下さい。はい、もう良いですよ。これで晴れてリートゥス伯爵領民です。これから宜しく。」
「……うっ。」
ウルティアは身分証を両手で大事に握りしめ嗚咽を漏らして泣いた。
泣き止むのを待って、偽装のカバンから昨日作っておいたアイテム袋と銀貨10枚。小銀貨5枚。銅貨10枚を出した。
「これはアイテム袋です2m³の大きさになります。このアイテム袋は領民になったあなた達への僕からのお祝い品です。
それとこのお金は支度金です。これで出発まで生活してください。
宿は別で確保しますから安心して下さい。
では、以上となりますので、馬車を出てニーシャさんを呼んで貰えますか?」
「…っ!分かりました。すぐ呼びます。」
そうして、ニーシャ、メイリンと手続きを済ませると2人にも号泣されて、ユーリシアがもらい泣きからの本気泣きに移って何で泣いているのか分からなかったのかピタッと泣き止んで、
「わたち、にゃんでにゃいてたのかーしゃん。」
って言っていた。
そして、西門に向かい渡しは貴族の門から入場し、サイエン達と母親たちは一般用の通用門から入場した。
そして、母親たちはダンジョン町で待っていたいとの事なので、先ず、子供達は私の馬車で移動をする事を伝えて、母親達は乗合馬車で向かって欲しい旨を伝えた。
そして馬車の拡張部分の椅子と机をインベントリに回収して、コの字にベンチシートを設置してしてから、サイエン達に
「仕事をするメンバーは、僕達の馬車でダンジョン町まで向かうから、こちらに乗って待ってて。お母さん達は乗合馬車でダンジョン町まで向かって貰うから。」
と伝え、母親たちはダンジョン町行きの乗り合い馬車でむかって貰う事になった。
最終の乗合馬車が間に合ったので料金を支払い母親たちを乗せた。
こうして各々乗り合わせてダンジョンに向けて出発した。
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