第98話 ダビン港町へと向かう

父ティモンが天幕に戻って来たので結果を確認する。


「父上、どうなりましたか?」


「別動が許可されたぞ。これで自由に動けるが行き先はダビン港町の救出に限定される」


「良いではありませんか。先ずは、ダビン港町の開放はこの戦争において1番重要と僕は考えていました。先ずは、我々、リートゥス領軍だけで威力偵察を行いましょう。当然、僕とエーデルトも参戦します」


「それは助かるが良いのか?」


「あの様な、鬼畜共には鉄槌を下さなければ、気が済みません」


「では早速出発しよう。騎士団長!出陣だ!」


「はっ!畏まりました。お前たち、騎士と兵を集合させろ」


「「「「はっ!」」」」


父ティモンの出陣の号令を受けて、騎士団長以下隊長が部下たちを集合させるべく天幕を出て行った。


「作戦はどうする?」


と父ティモンが聞いてきたので、


「先ずは、潜入班を組織したいので騎士を5名程お借りできませんか?」


「それは、構わないが何処に潜入するつもりなのだ?」


「それは勿論、ダビン港町ですよ。そこで救援の知らせとあの馬鹿げた自爆装置無力化をします。何なら、ダビン港町を開放します。

ここからだと移動に何日かかりますか?」


「街道で移動しても3日はかかると思う」


「では、それまでは王国軍を釘付けにしておきましょう。食料はありますか?」


「一ヶ月分は確保している」


「無くなる様でしたら言って下さい。調達して来ますので」


「分かった。それで、街道を進むか、ヴァルグードが道を作るって進むかどうする?」


「先ずは、街道を進んでおいて下さい。」


「そうなると、村を通過する事になるが良いのか?」


「構いません。今は、ダビン港町の死守が大事ですから」


こうして、父ティモンが天幕を出ると、私はその天幕をインベントリに収納する。これで何時でも出掛けられる。

兵達や騎士達は何時でも出発出来る様に準備が整って父が到着した時点で、皆んなが整列をして待っていた。父ティモンの指示が飛ぶ、


「これから、領都では無く、ダビン港町へと進軍する。このコルマンド辺境伯領は既に王国軍が占領している状態と言っても過言では無い!周囲の村々には王国軍が駐屯している事は確認されている。

良いか!ここから先は戦場である。

決して油断してはならん! 騎士団長!」


「はっ。では出発!」



領兵が進軍を始めるなか、父ティモンが騎士のグループに声をかける。


「ダドリオ隊、こっちに来てくれ」


「「「「「はっ」」」」」


5人の騎士が父ティモンの前に横列で並ぶ。


「俺の息子のヴァルグードだ。皆んな知ってるよな。コイツに付いていろいろやってもらう事が有るのでエーデルトと一緒に動いてくれ」


「「「「「了解です」」」」」


「ヴァルグード、それじゃ手はず通りにな」


「父上、お気を付けて」


こうして、父ティモンと別れて動き出す。

預かった騎士は皆若かった。


「先ずは、僕はヴァルグードです。皆さんの名前を教えてください」


「では、この偵察班の班長ダドリオです。」


「レックソンです。」


「ベネテッドといいます」


「アーミックです」


「マーティンです」


「ありがとうございます。僕の横にいるのは、皆さんご存知かと思いますので省略します。僕は、転移魔法が使えますのでこのままダビン港町まで転移します。そして王国軍を攻撃から町を守ります。では皆で手を繋いで下さい。」


スクリーンを起動させて遠見を使い、転移場所を城壁の上に設定して転移した。


「シュン」


ダビン港町に転移すると、戦闘が始まっていた。


「皆んな!渡したペンダントトップに魔力を込めて起動させて!それで大概の攻撃は防御出来るから。起動させたら移動するよ」


連れて来た騎士達とエーデルトが首に下げているペンダントトップに魔力を流して元に戻す。それを確認して攻撃されている、北側に向かって進む。エーデルトが大声をあげる。


「リートゥス伯爵家家臣エーデルトだ。至急指揮官に会いたい。指揮官は何処だ!」


魔法攻撃と大砲の様な砲撃の攻撃を受けて城壁の防御魔法が解かれかかっている。

危ないので、結界の魔道具を発動させながら城壁の外にばら撒いて行く。

これ以上城壁が壊れることは無いだろう。


防御魔法を掛けていた魔法使いが、


「城門の上で指揮されいる方が、ノルダン方面長です」


それを聞いた、エーデルトが、


「分かった。君は魔力を使いすぎている少し休みなさい」


その魔法使いを休ませて、私達は城門へと進む、進む間も結界の魔道具を起動させてばら撒く。城門の上に陣取っている一団にエーデルトが声を掛ける。


「ノルダン方面長はいらっしゃるか!」


一団の全員がこちらを見る。


「私はリートゥス伯爵家家臣エーデルトだ。ノルダン方面長に面談したい。いらっしゃるか!」


皆んなの顔が一人の人に向く。


「私が、ノルダンだがリートゥスと云えば東側の伯爵家であったはず。貴殿らはどの様にして、ここに来られた」


「お初にお目に掛かります閣下。僕はリートゥス伯爵家次男のヴァルグードと申します。以後お見知りおきを、こちらには僕の転移魔法で来ました。

そして、帝国軍2万と全国から集められた領主連合軍が3万がこの領内に入っています。

我ら東側領主連合軍がこのダビン港町を開放するべく進軍をしている事をお伝えに来ました」


「おぉっ。援軍が来るのか!」


「はい。それをお知らせして、物資の調達もお引き受けしようと思いまして、食料はいかほど有りますか?」


「小麦が全然足りない。塩と海鮮はいくらでもあるが、小麦が少ししか無い為、主食のパンがもう残り少なくなっている。どうにか出来ないだろうか?それと水だ。魔法士達に水を出して貰っているが、それもこの長い籠城で、魔力回復が追い付いていない。贅沢を言わせて貰えば、肉と野菜も欲しい」


「分かりました。今晩調達してきましょう」


「宜しく頼む。取り敢えず、この城壁を降りると宿舎があるからそこを使って休んでいてくれ。エーデルト卿ちょっと相談があるのだが」


「分かりました。ヴァルグード様、どうなさいますか?」


「ちょっと別行動して良い?」


「それなら、ダドリオ。ヴァルグード様の警護に着いてくれ、後は俺について来てくれ」


「「「「「了解です」」」」」


こうしてエーデルトとは別行動で私はある仕込みをする事にした。





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