第36話 ダンジョン探索

ダンジョンに入る時に膜のようなものの抵抗があった気がしたが害はなさそうなので無視して進むと巣窟のようなところから一変して広大な草原が拡がっていた。


1階層は遠くの方に森が見えているが一面エーデル、之腰の高さの草が生い茂っていた。

所々に草を刈り込んだ様な膝ほどの草の群生地がある。そこに向かって辿り着くとエーデルトが、


「これ薬草ですよ!!」

(鑑定 名前:オトギリ草)


「採取!葉っぱで良いの?」


「根の上辺りで採取して下さい」


「分かった!」


インベントリを発現して、薬草を見える範囲の全てを採取した。

この辺りの薬草を取り切ると別の群生地に

向うその途中で、ホーンラビットが突進してきたがエーデルトが一閃して頭と胴体が真っ二つになった。

血も出ず、角とパチンコ玉のサイズの魔石を残して消えた。


「本当に死骸が消えるんだな。」


「はい、そうしてドロップ品と魔石が残ります。」


「外にいるホーンラビットは魔石はありませんが、死骸は残るので食用で売買されていますよ。」


「なるほどな。 それよりあそこの背の低い群生地に行こう。」


「折角、説明していたのに~。……行きましょう。」


群生地に着くとまたエーデルトが


「これは!!ポーションに使う薬草ですよ!

こんなに!素晴らしい。」

(鑑定 名前:チドメ草)


「これもか!バンバン採ろう。」


「ダンジョンは根さえ抜かなければすぐ生えてきますからね。根から採らないと本当は薬効が抜けるのでマジックポーチかアイテムバックを持って採取しないと行けないのですがヴァルグード様が異次元収納を使えるのでどんなに採っても、劣化しないから取り放題ですね。」


未だまだ群生地は有りそうで、二人でテンション上げながら採取に勤しんでいたら、森の方からゴブリンが、数を増やしてこっちに向かってきたので、

「〝光線レーザー〟」を唱えて指を左右に振りゴブリンを殲滅した。

するとエーデルとから注意を受けた。


「ヴァルグード様!なんて勿体ない事をなさるんです! ダンジョンではゴブリンでも魔石がドロップするのですよ!」


とお叱りを受けてしまった。

すっかり忘れていたがダンジョンはどんな魔物でも魔石が取れるのだった。


「申し訳ない。」


「以後、ダンジョンでは、光属性魔術を禁止とします。」


「分かった。」


こうしてゴブリンの件は無かったことにして、群生地をひたすら徘徊した。

何時までも草摘みばかりしていても進まないので、近づいた森に入る。

すると大きな木々の隙間にトゲの有る低木が道を塞ぐように生えている。迷路を形作っているようだ。

ここらには草は生えておらずトゲの低木と大きな木の連続で採取するものは無かった。

遭遇するのもゴブリンのみで、偶にレッドキャップゴブリンが、襲撃してくる位で、恐れる魔物は現れず、下へ続く階段を見つけた。

森に入ってからゴブリン35匹レッドキャップ8匹討伐して魔石を収集した。


階段を降りて2階層に入るここも草原が拡がっているが森のほうが大きい様だ。

草原はベリー種が生えていて、その実をせっせと採取しているとホーンラビットが複数群れて襲ってきた。

私は風刃で向かい討ち、エーデルトは剣でさばいていた。

スライムも出て来て、酸を飛ばしてくる。

スライムは物理攻撃に耐性があり剣では倒しにくい為、私は「〝火矢〟」でスライムの核を撃ち抜いた。

そうしてホーンラビットはエーデルト。

スライムは私が〝火矢〟で殲滅した。

暫く進むと木々が間隔は広いが草原に生えている。

上を見ると果樹の木で果物狩が実っていた。

一つもいで貰って食べた……桃だった。

色は黄緑色をしているのに味は桃なので違和感があるがとても美味しい。

エーデルトに頼んで、採れるだけ取ってもらった。

更に進むとキラービーが飛んでいた。

握り拳ほどの本体にオシリからは釘の太さの針が出ていた。


「ヴァルグード様、キラービーは口から麻痺毒も飛ばします。

針の攻撃を受けると神経毒に侵されて、生きながら食べられます。

かなり危険ですが、防御は薄いので一撃で殺せます。火に弱いので、火の魔術をお使い下さい。」


「分かった。」


キラービーはまだ遠いので我々には気づいていない。

エーデルトが詠唱を始めた。

【火よ 矢となりて 顕現せよ ファイヤアロー】

それに続いて「〝火矢〟」「火矢〟」「〝火矢〟」

と3発連続して飛ばした。

10匹と対戦となったが、落ち着いて火矢を飛ばす。

エーデルとの火矢も私の火矢も全弾命中した。それでも6匹居るので、今回はエーデルトにはフォローに回って貰う

詠唱していては間に合わなくなるから。

「〝火矢〟」「〝火矢〟」「〝火矢〟」「〝火矢〟」「〝火矢〟」「火矢〟」6本の火矢を順番に狙いを付けて飛ばす。

5本はどこかしらに当たって墜落させたが1匹だけ躱された。

エーデルトが

【火よ 矢になりて 顕現せよ ファイヤアロー】

と唱えて50cm手前まで来ていたキラービーを仕留めた。

その途中で私は風刃を使い墜落しいるキラービーを仕留めた。

ピンポン玉程の魔石が取れた。


「キラービーは初動の遅さと紙装甲以外は強敵ですのでそこそこ魔石は大きいですよ。

ヴァルグード様、楽しかったので未だまだ探索したいところですが、そろそろお時間になっております。引き上げましょう。」


「分かった。明日は村に帰還する。」


「畏まりました。」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る