第120話クランマスター:アルとの出会い
3層の最初の国の正門へと来た。
「ほへ〜なんか騎士もアップグレードされてるね」
騎士の鎧が2層や1層の最初の国と比べて鎧の質や見た目が全く違い、強そうに見える。
さらにレベルも見えるように成っている。
「523」
それが騎士のレベルだった。
プレイヤーで表すと5次進化して23レベルとなっている。
通常プレイヤーレベルの限界を余裕で超えているのは気にしなくて良いのだろうか。
マップ内のモンスターも全体的に強く成っているんだろうね。
そろそろ出る頃に差し掛かるとHPバーの左下にバフのマークで出て来る。
意識を集中すると詳細が現れる。
「無敵時間、残り54秒」
国を出たら1分間の無敵時間があるみたい。
ムニンちゃん曰く出待ち狩り対策らしいけど、短くない?
ま、良いか。
いざと成ればマナちゃんで飛んで逃げるし。
無敵時間が切れると同時に茂みに隠れていたであろう数人の人が飛び出て来る。
「初心者ご来場!」
「久しぶりのPKだぜぇ!」
「え?」
「まさかまだこんな事をする人が居るのはね。フェン、【
「クォォン!」
青白いレーザーが私の目の前を通過して目の前の人を呑み込み、急カーブして他の人も巻き込む。
レーザーが終わると氷漬けにされた人達⋯⋯刹那、一瞬で粉砕してデスマークが現れる。
やられても意識だけが1分間その場に残るらしい。
「まさか未だに正々堂々正門から真っ直ぐ進む人が居たとは⋯⋯初心者かな? ここまで来たんだからそこそこのレベルはあると思うしパーティもいるだろうから、パーティを常時組むことをオススメするよ」
「あなたは?」
「私? 私はクラン、
「クォン」
銀色の毛並みを風になびかせながら凛々しい顔立ちの大きな狼、フェンリルらしい。
と、私も自己紹介しなとね。
「私はクラン、
「ユグドラシル? 同じ北欧神話の題材の1部のクラン名として仲良くしようか。あんまり聞かないクランだけど。小規模かな?」
すみません。私もヴァルハラの事知りません。
皆知っているくらいには凄いのかな?
「まぁ、ここに来て間も無い人らしいし色々と教えてあげるよ。暇だし」
「あ、ありがとうございます」
「狐の仮面は外してくれたりする?」
「⋯⋯それは、ちょっと」
今は仮面を付けて身分を少し偽っている。
ムニンちゃんとオレンちゃんから私の種族はあまり知られない方が良いと言われたからだ。
最終進化なんてまだ判明されて無いし、何次進化か分からないしね。
「そうか、まぁ良いよ。出来れば君のパートナーは教えて欲しい」
「あ、それなら」
相手が狼ならこっちは犬である。
「イサちゃん」
「ガル」
背後に紫色のゲートが開いて中から紫色の大きな犬が現れる。尻尾にはだるそうな蛇が付いている。
「⋯⋯」
「イサちゃんです。オルトロスです」
「頭が1つのようだけど?」
「不完全なんです」
「そっか。⋯⋯犬、なんだよね」
「はい」
イサちゃんの見た目はフェンさんよりも怖い。
第三層には山が多く、その1つの山に入りてっぺんまで来た。
最初の国からそこそこ離れている山で互いに召喚獣に乗っている。
色々と話して分かった事はフェンさんの進化情報だった。
私が他の召喚獣を見せて欲しいと言ったのがきっかけだ。
教えてくれたのは二度と出来ないかららしい。
アルさんは最初に3匹の子犬を選択したようで、最初の進化はすぐに終わらせた。
しかし、とあるダンジョンボスとの戦いで2匹の子犬がやられてしまった。
復活まで待てば復活出来るが、それは出来なかったらしい。
3匹だけでどれだけやれるのか、自分のプレイヤースキルを過信して挑んだ結果で2匹の仲間を犠牲にしてしまった。
その2匹が復活出来ない理由がフェンリルの進化の理由らしい。
残った最後の犬が2匹の犬の魂を吸収して進化した、それがフェンリルのようだ。
【狼王】のスキルがあるらしい。
神狼は自分で名ずけているらしい。
目的に到着したのでイサちゃんから降りる。
そこには湯気を出すお湯があった。
「温泉ですか?」
「そう。服ごと入れるから安心してね」
「暖かい⋯⋯」
回復能力向上のバフがあるようだ。
「イサを触っても良いかな?」
私はイサちゃんの方を向くと肯定の意を示してくれたので問題無いと答える。
「ありがと〜」
撫でる、乗る、抱き着く、様々な所を撫で回す。
私も許可を得てからフェンさんを撫でようと近づくと、真顔で警戒剥き出しの瞳を向けて来る。
「あ、はい」
ちなみにイサちゃんとは仲良さそうに尻尾を触り合っている。
私の体質は現在のようだ。⋯⋯畜生。
「何時もは人懐っこいのに」
「あはは、それよりどうして最初の3匹を子犬にしたんですか?」
「それは私が犬を好きだからだよ! 現実では重度の犬アレルギーで触れないから」
「成程」
私と違う形で好きなモノに触れないのか。
しかも重度はきついね。
「私も動物は好きです。相手が嫌がっている事はしたく無いから触った事ないんだ」
「嫌がる?」
「そう。私って動物嫌われ体質なんだよね」
「あはは、私の友達の娘に同じ体質の人がいるんだよね」
「そうなんですね。凄い偶然」
「そうだね」
ちなみにアルさんはフェンさんを手にしてからは新たな契約は意図的にしていないようだ。
「私はこの
「カッコイイですね」
「ありがと。モフリは他にどんな子がいるの?」
「⋯⋯」
「あ、あぁ、次のイベントはクラン絡むみたいだしそれがチーム戦かも分からないし教えられないよね。ごめんね」
「い、いえ! 色々と教えて頂けましたので少しお見せします」
と、言ってもマナちゃんは辞めておこうかな。
ハクちゃんとクロちゃんは召喚獣じゃなくて式神だしな〜そうなるとハムちゃんかネマちゃん、カルちゃんだね。
ネマちゃんを見せるのは今後に1番関わるので辞めて、残りはハムちゃんとカルちゃん。
戦闘面で考えると1番安心なのはハムちゃんだけど、ここはいっそ2人にしますか。
最近ハムちゃん出してあげれて無いしね。
空中に穴が相手大きなハムスターとメカメカしい亀が落ちてくる。
「思ったんだけど、これってわざと?」
「え」
「いや、だって魔法陣出てないから【召喚】とはまた違うよね?」
しまったぁぁぁああ!
そうだよ!
【召喚】すると魔法陣が最初に現れるんだよ!
虚空に穴が空いてそこから出て来る演出にしかこだわっていなかった!
「言いたくなかったら良いよ。それよりも他にも居そうだけど、見せれるのはこの2人って訳ね」
「はい」
「可愛いし、カッコイイ」
「クォン!」
「フェンも可愛いよ」
「クォ〜ン」
互いに好きなモノには触れないから本来の感触は分からないけど、それでもこの世界の感覚を楽しめるのは本当に嬉しい。
改めて、ゲームを初めて良かったと思う。
「ま、イベントであったらまたよろしくね」
「はい。こちらこそ。お手柔らかにお願いしますね」
「先輩としてそこは妥協しないよ」
「左様ですか」
そして翌日のイベント告知の日となった。
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