第31話黒巫女召喚士と武術家の戦闘 弍
急いで走ったりすると【地鳴らし】に私も行動がし難くなる。
それと、1度でも体制を崩されると元に戻れない。
だからと言ってもゆっくりしているとセカイちゃんのMPが無くなってしまう。
「くっそ、どうしてあいつは動けんだよ!」
「う、動くな!止まっていれば問題ない!」
そんな訳も無く止まっていると足が離れてしまったりして体制を崩される。
そろそろ射程内である。
「展開、風弾」
「ぬあ」
赤じぃを少し飛ばし、止まらないように動いて鷹の攻撃を躱しながらモスコプスに近づく。
「ネマちゃん、お願い」
「にゃ〜」
ネマちゃんを抱いてモスコプスに突き出す。
モスコプスも攻撃する為にブレスを放って来るが体制が無茶苦茶で私の方には飛んでこない。
私はモスコプスの周りを動きながらネマちゃんを時々突き出して、ネマちゃんが攻撃していく。
そろそろセカイちゃんには【地鳴らし】を切って貰う。
さぁ、逆転だ!
「セカイちゃん!」
「⋯⋯」
セカイちゃんからの返事はない。だが、分かっているセカイちゃんはきちんと【地鳴らし】を解除する。
「「お?」」
おじさんペアがそんな呟きをしている間に私はネマちゃんとハクちゃんを地上に下ろしてモスコプスを集中砲火で倒す。
「畜生、タッカー殺れ!お前が最後の希望だァ!」
「そう、それは残念でしたね」
セカイちゃんは鷹に近づき、その羽を掴む。
そして、宙返りして地面に向かって投げる。
そして、【空力】を使って空を蹴って加速し、地面に落ちた鷹に向かって拳を放つ。
「【スタンプ】!」
落下の遠心力、そしてスキルの【スタンプ】でパンチの威力を上げる。
そして、鷹を倒して残りは鷹一体とモスコプス一体、おじさんペアである。
「ここは不利だ逃げるぞ」
「そうだな。リベンジしてやるからな待っておけよ!」
おじさんペアは踵を返して、そして逃げるためにモスコプスと鷹を仕掛けてきた。
だが、襲って来たのはそっちだし私達は逃がすつもりは毛頭無かった。
「解」
「な、なんだ?体が妙に重い」
「なんだこのデバフ、全ステータスダウン⋯⋯だと?」
「これが黒巫女の力だよ!
イサちゃんを召喚しダメージ効率を上げてステータスの下がったモスコプスにネマちゃん、イサちゃん、ハクちゃんに攻撃して貰い、鷹にはセカイちゃんが、おじさんペアには私が相手をする。
MP節約の為に霊符を使う。さっきの【呪魔】は皆に使った。
使った枚数は10枚である。
「問題ない逃げるぞ!」
「おう!」
「逃がすもんか!」
私はケースから霊符を取り出し、おじさんペアの近くに飛ばして貼り付ける。
「呪縛、解」
「な、なんだこの紫色の鎖は!」
「だ、だが、簡単に壊れそうだな」
「解」
「う、腕が動かせん」
「どうなっている?」
まずは腕やふくろはぎに【呪縛】を使って動きを封じ、2回目の【呪縛】で関節部分を捕まえる。
使った枚数合計10枚である。
私は2枚の【風刀】の霊符を取り出して斬撃を飛ばすように霊符を振るいながら解放する。
「解」
「ぐな」
「く、かなりのダメージが」
この霊符にはMP30が込められている。
と、ゆうかそれ以上込める事が現段階では出来なかった。
黒巫女Lv2の時にやっているから今ではもう少しMPを込めた霊符に出来るかもしれない。
「と、解けそうだ」
「そうだな」
いや、遅いよ。
モスコプスをハクちゃんの攻撃バフと速度バフを受けたネマちゃんが遠心力を付けて攻撃を繰り返し、ブレスや牙の攻撃を【堅牢】とハクちゃんの攻撃バスを受けたネマちゃんが耐える。
全体の指揮をハクちゃんが行う。
指揮がハクちゃん、攻撃がネマちゃん、防御がイサちゃんとゆうバランスの良いポジションを取っている。
セカイちゃんは鷹を捕まえて宙返りしながら鷹を地面に投げ飛ばし、再び拳で沈める。
私もセカイちゃんもMPの消費が激しい。
だが、その勝負も終わりである。
「コーン!」
最後のMPを使ってハクちゃんは速度バフをセカイちゃんに掛ける。
「【跳躍】【俊足】【衝撃波】!」
【跳躍】で脚力を上げて、【俊足】でスピードを上げて、【衝撃波】で勢いを上げて、一気におじさんペアに距離を詰める。
「終わらせるよ!」
「ええ」
「後、ちょっとぉお!」
「くっそぉー初心者だと思ったのに!なんだよ畜生!まだだ!」
「いや、終わりだよ。戻って、来てハクちゃん!」
「な、なんで一瞬でっ!」
「ば、バグか?」
召喚士では【応召】と【召喚】を連続でやると数秒のタイムラグが存在する。
だから本来ネマちゃん達の距離感なら走って来て貰った方が速い。
それに視界に居ないとダメだ。
だが、召喚獣でも召喚士も関係ない式神のハクちゃんは違う。
形式に戻して、戻したら重力無視で形式が私の元に戻ってくる。
そしたら再び呼び出すだけである。
スキル使用のタイムラグなど存在しない。
確かに【召喚】スキルの中に式神の召喚が含まれた。
だが、名前は同じでも中身は違うのだ。
MPが回復する訳では無いけどね。
「行っけぇぇぇぇ!」
「コーン!」
セカイちゃんはこちらに来た時の勢いをそのままにおじさんペアに肉薄し、赤じぃに向かって連撃を無防備な赤じぃに容赦なく繰り出す。
私は残り少ないMPを使って【風弾】を使ってハクちゃんを素早く放つ。
「コーン!」
「な、なんだ?ま、前が見えんぞぉ!」
青じぃの顔面に付いたハクちゃんは毛玉モードである。
ひたすら視界を奪う⋯⋯だけなんて無く。
実はアレものすっごく息がし難くのだ。
骨格を感じさせない柔らかさとモフモフのある毛玉モードのハクちゃんだが、顔を埋めると息が出来なくなる。
だから、ああやってひたすら叫ぶとすぐに息切れとなり『酸素不足』の状態異常に掛かりHPが減り続ける。
後は私も青じぃの頭に向かってお祓い棒でぶん殴る。
ネマちゃん、イサちゃんはこちらに向かって走って来ている。
MP節約の為ネマちゃんは【俊足】を使用してない。
後はただの一方的なタコ殴り⋯⋯では終わらなかった。
【呪縛】の効果が切れたのだ。
「うっしゃあああ!」
青じぃだけの歓喜が響き、青じぃは短剣を抜いて片手でハクちゃんを投げ、着いて来ていたネマちゃん達を蹴り、お祓い棒を短剣で弾いた。
「なぬ?」
そう、赤じぃの歓喜は聞こえなかった。
何故なら全てに赤じぃのHPは0でゲームオーバーとなっているからだ。
「なんだよ。終わってんのか」
青じぃは諦めたように短剣を手から滑り落とし、背後に回ったセカイちゃんの正拳突きによってHPを0にする。
こっちの被害は数枚の霊符とMPである。
後は、私のHPが残り4割で1番危険な事であろうか?
私はネマちゃん、イサちゃんを【応召】してハクちゃんを形式に戻してインベントリにしまい、『漁夫の利』を経過してすぐさまこの場を離れる。
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