第32話黒巫女召喚士と武術家の休息時間

 今はとある小屋の中にいる。


「近くに小屋が会って良かったね」

「そうですね。ここで警戒しながら休みましょう」

「まずはセカイちゃんが休んでね!私よりも消耗が激しいから」

「よろしんですか?」

「良いんだよ。ほら」


 私はセカイちゃんの頭を私の太ももに乗っける。


「少しの間寝て休んでね」

「⋯⋯分かりました。甘えさせて頂きます」


 にこりと笑ったセカイちゃんは目を閉じる。


「ハクちゃん、召喚サモンネマちゃん、イサちゃん」


 私はMP10使ってネマちゃんとイサちゃんを召喚し、ハクちゃんを呼び出す。


「一緒に警戒しようね」

「にゃ」

「わん」

「きゅん」


 ハクちゃんは毛玉になってセカイちゃんのお腹を温めるように乗り、イサちゃんは扉の前で伏せをして目を細める。ネマちゃんは私の隣で丸まって体を上下させる。⋯⋯寝たのかな?


 小屋の屋根の隙間から太陽が覗き、小屋の中を照らしていく。

 洞窟の出口の光を見つけ時のような光が小屋の中を全体的に明るくしている。


「⋯⋯」


 私は風の音を聞いて、心が緩み寝そうになってしまう。


「にゃ」

「痛、目、覚めました」


 ネマちゃんに頬を爪で引っ掻かれて目が覚めた。

 攻撃された事によって覚めたよりもネマちゃんに攻撃された自体に心を痛め⋯⋯


「にゃ〜(ぺろぺろ)」


 頬を舐めてくれたネマちゃんに私の心のライフは全回復し、眠気も覚めたので壁にもたれてながらセカイちゃんのおでこを前髪を下ろすように撫でながら小屋に空いている穴を覗く。

 足音は聞こえないが、そいゆうスキルを持っている人がいるかもしれない。

 忍者みたいに足音を消して接近しているかもしれないのできちんと目で確認したい。

 イサちゃんが臭いを感じてくれるかもしれない。


「こちょこちょ」


 私はずくに警戒に飽きてネマちゃんの腹を指を動かしてこちょこちょする。

 ネマちゃんは目を細めて肉球で私の指を弾く為に指に重ねて来る。


「えへへ」


 私はニマニマと笑ってしまう。

 今のゲームは凄い。

 このように五感も完全に再現されて居て、触った事が無いから分からないけどきっとこんな感じの毛並みなんだろうと思いながらこちょこちょして行く。

 私はこのゲームに来て良かったと思う。


 現実では色々な方法を試して動物に触ろうとしたが、警戒されたり怯えられたり威嚇されたり嫌がられたり、⋯⋯それでも無理に触るとゆう考えは無かった。

 私は同意合ってこそだと思うからだ。

 1度捨てられた子猫を見つけた事があった。

 私は子猫に手を伸ばすと子猫は全身をブルブル震わせていた。

 その日は夏で暑かった。だから寒さに震える事は無いはずだ。

 その時は貴美ちゃんと桃ちゃんとお出掛けの帰りだったので動物病院に行った。その時は桃ちゃんが抱えていた。

 動物病院に入る際は私は入らずに外に居た。

 変な目で通行人に見られたのは言うまでもない。

 結果はなんともなく、少し弱っているとの事。

 貴美ちゃんが一時的に世話をする事になり、後に里親が見つかった。

 別れに私も参加したのだが、子猫が私の事を見る事は無かった。

 子猫の里親は優しいそうな目付きで顔に傷が少しありスキンヘッドで後ろの黒塗りの車で帰って行った。

 通行人の目は見て見ぬふりをするような感じだったが、車の中の人に『組長』と呼ばれていたので問題ないだろう。それにあの人は優しい人だ。

 前にその子猫の様子を見に行った。

 元気そうに大きな家の部屋で走り回りながら数匹の犬猫と亀と戯れていた。

 私に取って素晴らしい光景を見た気がする(映像)。

 なので今では子猫の心配はしていない。


「モフリさん」

「フェ?」

「フェ、じゃありませんよ。そろそろ移動しますよ」

「あ、私は寝てたんだ。うん、分かった」

「フフ」

「え、何?」

「いえ、寝言を思い出しただけです」

「え、私なんて言っていたの?ね、ねぇ!あ、ネマちゃん、イサちゃん、私なんて言っていたの?」

「「⋯⋯」」

「ハクちゃん!」

「⋯⋯」


 3匹とも顔を逸らす。しかし、口元が緩んでいる(ハクちゃんは見えない)ようだ。

 私は皆に嫌われるような事は言っていないようだが、なんて言ったのか物凄く気になる。

 移動中何回も聞き出そうとしたのは仕方が無いのかもしれない。


 移動した理由は安全地帯の外が近いからでは無く同じ所に居座るのは危険だとゆう事だ。

 それにあれは小屋で遠距離からの魔法から逃げるのには適さない。

 私達の場所はマップの中心に近いのだが、安全地帯が中心に向かって狭く成る訳では無い。

 一気に狭くなる時は安全地帯の狭くなった後の線が見えるようだ。通知も来るようだ。

 NPCは居ないようなので人イコールプレイヤーイコール敵って認識だ。

 だが、モンスターは居るようだ。使役用のモンスターをマップに配置されているようで、倒す事は可能だが経験値は手に入らない。

 熟練度は手に入るようなのでスキルLv上げようだね。無駄になるのでやらないが。


「場所はこの崖がある森です」


 セカイちゃんがマップを出して拡大して崖のある場所を指さす。

 そこに場所を決定した理由は高所を取る事は有利であり、上からの攻撃を警戒する必要が無いからだ。

 見渡しも良いのでその場所を選ぶ。

 デメリットとしては真下が見にくく、逃げにくいとゆう所だ。

 そこはセカイちゃんの【跳躍】と【空力】私の【風足】を組み合わせて逃げるようにする。

 妖術では自分にしか使えない【風足】だが霊符の場合は霊符を張った相手に使用可能である。

【風足】も【跳躍】で脚力を上げて【空力】で距離を伸ばしていく。

 その際【衝撃波】を使えばさらに伸びる。

【衝撃波】は基本攻撃スキルなのだが足で使うとその発生させた衝撃波の反動で距離が伸ばせるのだ。

 セカイちゃんの基本コンボの1つに使われるし汎用性の高いスキルだ。私も欲しい。


「そう考えると私って特徴って特徴無いね」

「そんな事ありませんよ。巫女服とゆう最大の特徴がありますよ」

「ぬ?馬鹿にしているなァ〜」

「そんな事ありませんよ」


 そんな楽しげな会話しながら目的に向かう。

 戦闘は極力避けて生き残る事を優先すると決めた今回のイベント。

 イベント終了後の第二階層では桃ちゃん達と合流予定である。


「わんわん」

「どうしたのイサちゃん?」


 特に焦っている訳でも無いイサちゃんに私達は疑問符を浮かべる。

 そして、イサちゃんは私達の注目を集めたと感じ、そして場所を変え始める。

 イサちゃんの突然の行動に戸惑ったが付いて行く事にする。

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