第62話黒巫女召喚士と死霊の帝王 参
『死符の風蘭』
渦巻く竜巻が私に直線的に放たれた。
風の壁も竜巻もソレとぶつかり合い激しい押し合いになる。
私はただ妖術の維持に自分の意識を集中させる。
長く感じた時間は実際には数秒だろう。
現在の私のHPは残り5割となっている。
何とか耐えた。そして相手の残りHPは8割、大技連発は無いと信じて核を集中して攻撃したいが1度行った戦法は取れない可能性が高い。
それに私のMPではもう妖術は使えないので霊符しか意味が無い。
かと言ってクロちゃんのデバフが意味無かったので霊符専用の呪いデバフ妖術も意味が無いだろう。
炎の剣に槍、氷の剣に槍を空中に顕現させて、1辺1メートルはあると思われる立方体も数個、更に床も赤くなっている。
炎や氷の剣や槍は合計で80、立方体は5、赤くなった箇所は見えている範囲で20。
こんなのどうやったら勝てるの?誰か攻略法を教えてください。
「行くよ!」
一気に息を吐いて集中してさっき見た赤くなった箇所を思い出して道を思い出しその道に沿って走る。
ネマちゃんは再び私の肩にしがみつく。
四方八方から迫って来る立方体を跳躍で回避、出て来るタイミングを見て体を捻り炎の柱を躱す。
そして一斉に放たれた剣や槍は炎は霊符の【風壁】で防ぎ、氷は鎌で薙ぎ払う。
地面に着地して記憶だけで攻撃を回避してインベントリを操作して巫者の大鎌からお祓い棒に変更する。
こっちは近接攻撃力は落ちるが妖術の威力が上がる。
そして霊符【風足】を使って高く跳び3つほど迫り来る立方体を躱す。
空中に身を投げた私に向かって迫り来る火の剣や槍には霊符【風壁】で防ぎ、氷版に対してお祓い棒で砕く。
「焦れったい」
私は方向性を変える。
「ハクちゃん!」
ハクちゃんは私の一声で察して敏捷バフを私に掛けてくれる。
そして私は最速の準備をする。
【風足】を使い足の裏に【風槍】の霊符を貼り付ける。
【風槍】は私の妖術の中で1番推進力が強い。
その反動を利用しての加速を使う。
「解」
足の裏から放たれた風の槍の反動を利用して一気に加速し【風足】の跳躍距離を伸ばせる力を前方のみに集中して速度を落とさずに迫る。
炎の柱は出る前に越え、迫り来る魔法の剣や槍は私の居た場所に真っ直ぐ来るので逃げれば普通に当たらない。
立方体はギリギリまで速度を落として私に攻撃を仕掛けて来る時に全速力に戻して躱す。
そして相手に肉薄した私は先端に霊符を貼り付けたお祓い棒を肋の隙間に突き刺して核に向かって突き立てる。
「解」
放たれたのは突き刺す能力に長けた【風槍】だ。
風の槍が数本刺さり大ダメージを与えてネマちゃんも中に入り爪で攻撃して行く。
だが、すぐにネマちゃんを回収して相手を足蹴にして跳躍して空中でバク転、体の体制を直して着地。
さっきので相手の残りHPは6割となった。
何とか勝てるかもしれない。
私は再び駆け出した。
もしもまたアレをやられたら対処出来ないかもだし、アレは直線のみにしか攻撃出来ない用だったら走っていれば当たらない。
だけど、その全てが違った。
「ッ!」
一瞬で私の目の前に相手が現れて右の鎌を振り下ろす。
私はお祓い棒を横に向けて防ぐ。
木と金属と思わしき物体のぶつかり合いによって生み出されたのは火花のエフェクト。
そして、力自体は相手の方が上手である。
押し切られてしまう可能性が高い。
だけど私は1人ではない。
ネマちゃんが相手の中に侵入して核に攻撃を仕掛ける。
相手は苦しみ出して激しく動く。その時にネマちゃんは脱出する。
「残り、半分!」
私のMPは10になった。1回分の妖術分には回復したがそれでも足りない。
念の為に【竜巻】が使えるくらいには回復したい。
MP回復ポーションもいくつか買ってはいるが使えるタイミングは分からない。
飲む動作と言う隙が生まれて、その隙は私の敗北に直結する可能性が高いからだ。
半分HPを減らせた相手に私は警戒する。
半分HPを削ったら大きく攻撃パターンが変化する場合が多いとお父さん手作りゲーム基本本に会った。
『カカカラララコココラララロロロラララスススラララ』
「完全にイカれてるね!」
相手は鎌を上方でクロスさせるように掲げて何かを呟くと相手のローブの色が赤色に変化した。
そして、私に高速で接近して来る。
相手は5メートルの巨体だ。その迫力はここまで近くに来られると改めて感じてしまう。
私は全身して振り下ろされる鎌を回避、そして横から地面をスライドさせるように横薙ぎで迫り来る鎌を跳躍、バク転、着地で躱す。
2回攻撃された。
「⋯⋯」
つまり、両方とも近接攻撃用の鎌になっている。
完全近接格闘モード、略して近モー状態なのだろう。
私は霊符【風足】を使って大きくバックステップをして距離を取る。
ネマちゃんはターゲットに入って居ないと確認して私は相手の股を潜るように全身する。
鎌なので股の下を通して攻撃して来る事はないだろう。
ならば魔法ならどうだろうか?
答えは普通に危険だ。
相手のローブの色が青色に変化する。そして私の前方に60本の氷の槍が顕現した。
その全てが一斉に私に向かって放たれた。
完全魔法戦闘モード、略して魔モーだろう。
器用貧乏から特化型にしたようだ。
さて、私はこれをどうやって回避したら良いだろうか?
ま、何とかやるしか無い。
「霊符、風玉、風走、風足、解」
【風玉】は上昇気流を生み出す妖術だ。
その上昇気流に身を任せて流れて上に上がり、上の方に来たら【風足】を使った足で跳ぶ。
だけど、まだ足りない。
「霊符、呪縛、解」
私の腕に【呪縛】の鎖を巻き付ける。
鎖はただ相手を拘束する事しか出来ない。そして腕に巻き付けるだけでは本来意味は無い。だけど今回は別だ。
【呪縛】の出ている霊符をお祓い棒に貼り付けて、更に【風槍】も貼り付ける。
「解」
解放してお祓い棒は加速して天井に向かって上がる。
風の槍は私にぶつかり消滅し、更に味方に当てると反射するゲームの仕様を利用して更に反動を加えてお祓い棒を加速させたのだ。
そして氷の槍地獄を躱したが安堵している暇なんて存在しない。
腕を引っ張りお祓い棒を自分の手元に戻して半バク転して天井に足を付けて力を込めて跳躍と落下をする。
その際にも氷の槍を放たれるが空中で体を捻ったりお祓い棒で受け流したりする。
そして相手の核がお祓い棒は無理でも【風槍】の射程範囲になったので放つ。
核に命中、だけどダメージは無かった。
「え」
唖然、しかし致命的な隙。
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