第61話黒巫女召喚士と死霊の帝王 弐
私は駆け出して杖の方の大鎌、つまりは相手の左側に移動して鎌を回転を使って振るう。
シールドを展開してそれを防がれ相手は私に向き直り右手の鎌を縦に振り下ろす。
そこに相手の大鎌の鉄心に入り込んで【堅牢】を使ったイサちゃんが防いだ。
「イサちゃん!」
「ワン!」
イサちゃんは私の方を向かずに一声吠える。
それだけでイサちゃんは問題無いと分かり私は自分の事を集中しろと言われた。
私は再び相手に向かって走り出した。
地面から噴水のようにマグマのような炎が上り、空からは氷の槍が降り注ぐ。
不規則なマグマのせいでなかなかネマちゃんが近づけないが、マグマが出る前には地面が赤くなるのでその事を意思疎通から進化した以心伝心で心を通わせてネマちゃん及び皆に教える。
マナちゃんは進化してからレベルを上げれていないので戦闘には参加出来ない。更にMPは7だ。
マグマの出る場所をネマちゃんとマナちゃんが【共有】して貰いネマちゃんが慣れるまではそれを継続、私はネマちゃんよりも視覚は良いので見て、即座に判断してそれを避けて氷の槍を鎌で砕いて、正面から攻めてもなんの意味も無いので左か右に回り込んで攻撃をしたい。
だけど相手もそれが分かっているようで私の進行方向妨害だけでは無く自分の左右に行かせないようにマグマの柱を生成する。
「近づけない!」
私は相手から距離を取り先程までの戦闘を脳裏に思い浮かべる。
──氷の槍の同時生成は最大で20、連続して放つ事が可能。遠隔操作は不可能のようで直線的にしか来ない。向きを見れば躱すのは容易。
──マグマの柱、最大10で相手の左右に2つ、私の進行方向妨害に5つ、ネマちゃんに3つ、発生させる時にその場所の地面がピンポイントで赤くなる。
現状把握出来るのはこのくらいであり、この予想は的確であって欲しいと祈る。
(マナちゃんは飛びながら赤くなった場所の上に飛んで鳴いて)
「カァー」
マグマの柱の高さは5メートルと相手と同じ高さにしか伸びない。
私達の体の関係で地面にいては相手の足としかに攻撃出来ない。
狙うは相手の核!相手はスケルトンであり体の中央に見える球体型の紫色の光がある。あそこを狙う。
私は駆け出した。ネマちゃんも走る。
マナちゃんは頑張って飛び回りカーカーと鳴いている。
その鳴いた声の位置と地面を脳内で構成してそこを避ける。私の目のには氷の槍と相手しか居ない。
ネマちゃんは私の隣に並ぶ。
「合わせて」
ただ、そう短く呟いた。
私が走るな合わせてネマちゃんが走りネマちゃんは私の後ろを追いかける。
私が動いた場所を的確に移動している。
そして私は形代をインベントリから即座に数枚取り出して1枚相手に向かって飛ばす。
《条件を満たしました。スキル──》
だいたいどんなスキルかは分かるし今は見ている暇が無い。
形代に込めた術式を展開する。
「竜巻!」
小規模の竜巻が起こり相手の体を微妙に削る。
ネマちゃんは私の肩に飛び乗る。
そして私は竜巻に使ってジャンプして妖術を使う。
「展開、風走!」
竜巻に身を任せるように回転しながら天井まで吹き飛ばされた。
そして天井に足を付けて飛ばされた勢いを利用して体が天井に引っ張られるような感覚に陥り、そして足に力を込めて地面に向かって跳躍した。
落下の加速、回転して遠心力を乗せて、ネマちゃんは私の肩から離れている。
【竜巻】が消えたのを確認した。
私は多分今出せる最高威力を相手に向かって放つ。
「妖術合体【風刀】、霊符、風刀、風槍、風弾、妖火、解!」
20本の風の刀と槍、30個の風の塊と火の塊が飛んで行く。
更に鎌の刃には斬るのに特化した風が纏われている。
「風断流大鎌術、反風上り」
本来は攻撃用の技を使い火力を上げる。
相手の核であろう球体型は相手の心臓部分にある。簡単に言えば骨に守られている。
だが、相手は骨、隙間がある。その隙間に鎌を入れてこちら側に引っ張るように斬って抉る!
骨を少し斬り落とす事には成功した。
地面に【風玉】を放って落下ダメージを無くし地面に着地して相手の残りHPを確認。
HPは1割も減っていなかった。更に相手は自分の斬られた骨に手を当てて何かを呟くと骨が回復する。
「嘘でしょ」
そんなんありですか?
私は相手から離れているハクちゃんの元に戻り相手から距離を取りそしてエリア全体を回るように走り出す。
それに合わせて相手はこちらに体を向けて来る。
「近接攻撃は体をこちらに向けないとして来ない。氷の槍も、ならそれを利用する!」
私は【縮地】を使って相手の氷の槍を躱して近づく。
「ハァ!」
気迫と共に私は鎌を振るい相手にダメージを少量だが与えて、縦に振り下ろした鎌の遠心力のままに私は体を回転させて相手を足場にして跳躍して離れる。
『ガカガガガガ』
核と思われる物に連続攻撃するネマちゃん。
相手が大きい分体の小さいネマちゃんは体内に侵入しやすい。
私が相手の視線をこちらに誘導している間にネマちゃんは相手の体内に侵入、そして核と思われる物に対して連続攻撃を仕掛けた。
結果、2割のHPを削る事に成功した。
「やった!やっぱりあれが答えなんだ!」
ならば勝機はある!骨を削って回復される前にあの核に対して最大火力を一気に叩き込む。
私はイベンのスキルのお掛けでINTが200を超えているんだ。
それなりのダメージは期待していいだろ。
もしも進化してレベル上げもあまりして無くてここに挑戦したと考えたら背筋が寒くなる。
ま、コレが理由で進化していない訳じゃないし、この後も皆が進化するまでは私は進化するつもりは無い。
2割を削って相手が自分の核のある場所に手を当てたのを確認した私はすぐにネマちゃんを離脱させて私の背後に隠れさせる。
ネマちゃん、ハクちゃんは動かない。動くタイミングを見計らっているのだ。
マグマの柱も止んだ事によってマナちゃんも壁のへこみに足を着けて相手を見ている。
相手は回復しない。
「もしかして」
──核への攻撃は回復出来ない?
そう予想付けた私はニヤリと笑う。
勝てないかもしれないと思ったけどここまできちんと勝てるようになっているのなら、勝つ。
だが、相手のHPが減ったと言う事は攻撃パターンが変わる。
相手は魔法の鎌を上に掲げ、攻撃の鎌を下に下げる。
そして円を描く様に動かす。
嫌な感じがした。
「霊符、風壁、解!」
数枚の風の壁を生成し、手に残っている形代を全て使って【竜巻】を展開する。
これでMPが3になったのでもうこれ以上の妖術は使えない。回復を待つか、残りの霊符だけだ。
そして、アレは放たれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます