第163話黒巫女召喚士と深紅の魔神その4
オウガへと接近してフランは手を伸ばす。
オウガはさっきのフランの攻撃に警戒したようで、バックステップで距離をとる。
「
黒い風がオウガを包み込み、動きを制限する。
レイシアがオウガの隣まで瞬間的に移動して剣を振るう。
「桜よ舞え!」
横薙ぎに振るわれた剣から桜の花びらが散り、オウガがこちらに向かって吹き飛ぶ。
「ガル!」
イサのドーム状の盾がオウガを包み込み、私が妖術式魔法を展開する。
「【ダークカオスレインボーキャノン】」
黒が混ざった虹色の大きな球体がイサのドーム状の盾を包み込む。
その中に私は突っ込む。
『クズ共が。ハアアアアアア!』
「チッ【レインボーシュート】」
足から虹のレーザーを放ってバックする。
オウガを中心に広がるドーム状の赤色の空間。
「【異空間断絶】」
レイシアがソレを横薙ぎに切り飛ばして消失させた。
ほんと、魔法を使える奴って色々と芸が出来るよな。
イサのMPがどんくらいあるか分からないけど、手助けはありがたいな。
オウガはさっきの場所に仁王立ちしていた。
そして、グリっと顔だけを動かして私、フランを見ている。
そして、オウガはフランに向けて右手を伸ばす。
背筋に感ずるゾワっとした感じ。
「クッソ」
「うぐっ」
フランが苦しみだし、横に大きくステップすると収まる。
フランに対しては遠距離からも攻撃可能と、しかも目に見える物は手を握るモーションだけか。
オウガの手の線上にフランを入れないように気をつけないと。
「大丈夫か?」
「うん。大丈夫」
全くそう見えないのは私だけじゃないだろうな。
「
私の上に魔法陣が展開され、その中から虹色の大きい鳥が出て来る。
マナを元に作り出した魔法型の鳥である。
能力は突撃のみ、属性は虹である。
レインボーバード、マナをオウガの方へと放つ。
レイシアもタイミングを合わせてオウガへと接近した。
オウガの左側をマナから、右側をレイシアが攻撃する。
『爆ぜろ!』
再び赤色のドームがオウガを中心に広がろうとする。
「【異空間断絶】」
レイシアが剣を振るい切り裂いて、左右から攻撃を受けたオウガは後ろに飛ばされる。
数回バウンドして、地面に足を着けるオウガ。
「フラン!」
「うん。【ブレイク】」
『クソ!』
3割減ったオウガのHP、残り7割!
オウガは跳躍して離れた場所に移動した。
「
私とフランが複数人にブレ、瞬間的にオウガの背後へと移動する。
私の中にはネマの力もある。
『クソ!』
体全体から魔法を放出をするオウガだが暴食の力を使って魔法を食らって防ぐ。
さっきの強化魔法はかなりのMPを使うので、ちょうどいい。
MPを良い感じに回復させて貰おう。
レイシアが魔法の隙間をムニンやオレンのような回避能力で躱し、オウガに高速連撃を放つ。
オウガの魔法排出が止まり、私達の方へと吹き飛んで来る。
フランが手を伸ばすが、それを制して横にステップする。
「え?」
『⋯⋯クソ』
ボソリとこぼす愚痴。
オウガは隙を見せてフランの手をもぎ取ろうとでもしたんだろうな。
右手がないオウガは左側で戦うしかない。
ただ、徐々に生えている気がするので、勝負を急ごうか。
『ハーハー、ガアアアアアアア!』
む? なんだ。
オウガの纏う雰囲気と言うかオーラも言うか、そのような感じの何かが変わった。
赤い目は更に赤く、漏れ出る光も増している。
「⋯⋯ッ!」
腹の細胞を金属細胞に変更し、防御体勢⋯⋯は間に合わない!
「くっ」
本能的に体に風穴を空けて避ける行動を取らず受けを取った。
結論から言うと、それが正しかった。
細胞を変えるとステータスも変動する。
DEXとSTRの数値をVITとMNDに振り分けた事により、難を逃れたのだ。
オウガの左拳は私を遠くに吹き飛ばし、腹に察してある魔法は大きな爆発を生んで私とフランを包み込んだ。
驚愕するのは超越者以外の人達。
妹2人は特に心配そうな顔をしている。
混沌の世界を見て、感じる事の出来る今の状態でも全く見えなかったオウガの動き。
だけど、攻撃する時のちょっとした隙で何とか防御は取れた。
私は、フランは生きている!
背中にいたフランを翼を広げて盾にして守ったのだ。
更に、咄嗟に使ったような杜撰な魔法だが、イサの盾の魔法もあった。
生き残っている。
私は生きていればマナの生命力の力もあり、数秒でHPは全開する。
何が起こったのか分からない。
ただ、強くなった。そして、相手は言葉を発しなくなった。
レイシアに向かって突進して左拳を振るい、魔法を放つ。
師匠やレミリアのバックアップを受けているレイシアを翻弄出来る速度では魔法を使えている。
理性を犠牲に能力値を上昇させたと考えるのが妥当だろう。
なら、考えられるのは【
厄介だな。
レイシアなら多分アレならまだ余裕で躱せるだろう。
だが、それは相手に考えがあって理性がある場合だ。
本能のままに動くモナのような戦い方は動きが読み難いのだ。
だが、逆に言えば扱いやすい可能性もある。
何故なら、古い性能の低いAI、BOTと同じような感じなのだ。
動きをある程度の陽動する事は可能の筈だ。
「リマちゃん、オウガの目」
「ん? は、もう効果切れたのかよ。誘導する為にいくつかのパターンを考えていたんだが、判断が遅かったか。行くぞフラン!」
「ふん。準備万端だよ」
翼をしまい、タイミングを見て地を蹴る。
理性を取り戻したオウガはレイシアの攻撃をしっかりと判断して躱し、魔法を放っている。
お陰で、レイシアは余裕の笑みを浮かべてオウガをフルボッコにしている。
ずっと狂戦士化しておけば勝てる可能性はあるかもしれない。いや、レイシアならそれも突破しそうだな。
「そろそろか。
一直線に私の残像が現れるように進む。
さっきの【カオス・キャット・ステップ・ムーブ】よりもスピードは速くなるが、直線的にしか進めず、消費MPが多い。
それに、ブレているので読まれ易い。
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