第73話黒巫女召喚士と暴食之悪魔 ②

 まずは相手の羽を切り落とす。

 同じ土壌に立って貰わないと私達が戦い難い。

 私達の基本的な近接攻撃は地上に居る時が1番扱いやすい。

 私も飛びたいよ。


 まずはマナちゃんにベルゼブブの真上に飛んで貰う。


『ふむ、【ダークナイツ】』


 ベルゼブブが私達の方に手を向けて斬撃を手から放って来る。

 マナちゃんが前に加速して躱したり時には止まったり後ろに飛んだりして斬撃を躱しベルゼブブの真上へと飛んで行った。

 そしてマナちゃんの背中がベルゼブブに向く。つまり私が落ちる体制となっているのだ。

 ネマちゃんにはマナちゃんにしがみついて貰う。

 私が落下してマナちゃんはすぐに回転してネマちゃんは体制を立て直す。

 私は落下に合わせて回転して遠心力を乗せてそのベクトルを全て攻撃に移し、ベルゼブブの羽の付け根を狙って振り下ろす。


『ふん、狙いが分かりやすい』


 ベルゼブブは半回転して右腕を振るう。

 私は鎌を横にして腕を防ぎ私は飛ばされてマナちゃんに回収される。


「ダメージは⋯⋯無い」


 このゲームでの防御行動には2種類ある。

 完全防御パーフェクトブロック防御ブロックだ。

 完全防御の場合は完全に相手のダメージを無くせるが、防御では少しだけダメージが通る。

 だが、その守る形でも受けるダメージが変わる。

 盾はその完全防御に長けている。


 ダメージを無くせる方法は受け流しもある。

 だが、高度な技術が必要だからこのゲームのスキルでの受け流しか技術だ。

 受け流しが失敗すると諸に攻撃を受ける可能性がある。


 マナちゃんの上に乗って相手に攻撃を与えられるタイミングを考える。

 ベルゼブブの出した技は【ダークスフィアドライブ】【ダークナイツ】だけだ。

 2つだけの魔法だがどれも強力だ。

 弱点は分かるのにそこに攻撃が与えられない。

 魔法や妖術は意味を成さない。


 私は飛びながら次の攻撃を考える。


「⋯⋯間があるね」


 ベルゼブブが魔法を放つには一定の感覚があると分かった。

 2種類の魔法を複数使われてそれをマナちゃんに躱して貰い観察した所、だいたい20秒の間が、ある事が分かった。

 だからまずは魔法を使わて魔法が使えない時にマナちゃんと一緒に攻める。

 ネマちゃんにはベルゼブブが無視出来ないように弱点を攻撃して貰いマナちゃんには回復したMPを使って貰い再び突進用の魔法を使って貰い攻撃して貰う。

 私は相手の羽を斬り飛ばす事だけを考える。


 それにはタイミングを合わせる事が必要だ。

 だけど、私達には問題ないと思う。

 以心伝心の感覚の共有はそれだけ強いのだ。

 無くなったがマナちゃんの【共有】があったらさらに確率は増すと思う。

 無い物ねだりだけどね。


『執拗い蚊だな』

「いや、蚊は貴方でしょ!」


 マナちゃんを蚊呼ばわりした事を絶対に後悔させてやる。

 ベルゼブブの真上へと移動するマナちゃんの進行方向に合わせて偏差撃ちをするベルゼブブ。


『【ダークフレア】』


 黒紫の名前的に炎の魔法がベルゼブブから放たれた。

 マナちゃんは【加速】を使ってそれを流れるように躱してベルゼブブの真上へと移動。

 私は【風足】を使って高く跳んだ。

 理由としては落下の加速をより多く乗せる為とマナちゃんの加速を稼ぐ為だ。

 マナちゃんが虹色の光に包まれてベルゼブブに向かって突進する。

 タイミングを見てネマちゃんは飛び出て相手のもろ出しの弱点にの攻撃を仕掛ける。

 マナちゃんの突進、ネマちゃんの攻撃、私の回転して遠心力を出来るだけ乗せた鎌の攻撃が完璧に同時のタイミングで放たれた。


『【ダークブロックシールド】【パーフェクトキューブ】』


 黒紫の結界が一瞬で展開されその形がベルゼブブを中に入れて立方体の形になった。


「そんな!」

「ギャラー!」「ニャー!」


 皆の攻撃もその全てを防がれて私はキューブの上に乗り、ネマちゃんはマナちゃんが回収した。


「どうして⋯⋯」

『クク、チョロいの?馬鹿だなお前は?あれはただのフェイクだよ。我が魔法を使うのに一定の間隔があると思わせたのだ。まあ、お前らの無駄に完璧な阿吽あうんは賞賛してやろう。だが、無駄なのだよ。我のように最高クラスの悪魔に対してお前らのような脆弱なお前らではな』

「ペラペラとっ!」


 私は跳躍して落下、回転して足を地面に向けてその下にマナちゃんが来て私はマナちゃんの上に着地する。


『逃げるのだけは上手いから我も飽きる。ここで1つ良い事を教えてやろう。悪魔は階級制でな。下の者は上の者に逆らえない⋯⋯』

「舐めるな!」


 マナちゃんにベルゼブブの真下に移動して貰い私は【風足】を使って高く跳躍した。

 今は結界の盾も無い。私は下から鎌を振り上げた。


『【ダークブロックシールド】【パーフェクトキューブ】』

「竜巻、展開!霊符、風槍、解」


 形代を消費して【竜巻】を2つ、霊符を取り出して【風槍】を4つ使った。

 吹き荒れる竜巻に私は【風走】で乗ってその場に留まり結界に対して鎌を振るう。

 風の槍も結界を破ろうと前進している。

 そして回避に少し専念してMPを回復させたマナちゃんは1度ハクちゃん達の所に行って魔法バフを掛けて貰いINTを少し上げて魔法を使って貰う。

 この状態では食べる能力は使えないようだ。


「マナちゃん、全力で行くよ!」

「ギャラー!」

「マナちゃん、虹の伊吹レインボー・スーフル


 マナちゃんの口に虹色の光が集まりベルゼブブに向かって放つ、上と下からの攻撃に少しだけ結界にヒビが入る。


「まだ!霊符、風槍、風刀、風弾、風連弾、全解!」


 ベルゼブブの結界にさらにヒビが入り、全体に亀裂が広がり砕ける。

 そしてすぐに竜巻の上昇を使いベルゼブブに接近する。

 そして下から竜巻の上昇効果を乗せて振り上げた。


『ぬるいと、何回言ったら学習する?』


 ベルゼブブは横に高速で動いて右手からヘドロのような物を出した。


「別に、私が攻撃する事に固執した事は無いよ?」


 ベルゼブブは倒せると1番確信出来る部分、自己再生が無い。

 だから1度破損させれば二度と、回復さえ使わなければ地面で戦える。

 そしてMPが少し回復して44になっているマナちゃんは【加速】して嘴に加えている霊符をベルゼブブの上で離した。


「斬れ無くても、ダメージは与える!」


 攻撃用霊符【爆符】をマナちゃんは離した。


「解!」


 小規模な爆発がベルゼブブを包み込む。

 小規模でも数があればそこそこの爆発は起こる。

 それでも、ベルゼブブのHPバーは1割を切る事は無かった。


「体力が多いよ」

『この程度の妖術では我には到底及ばんな』


 削れているし、何千、何万と当てれば勝てるのでは?

 ま、そんな霊符持って無いけどね。

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