第72話激突!黒巫女召喚士と暴食之悪魔 ①
ベルゼブブの身長は私と近い。だが人間の顔ではなく蚊なので口が少し長い。
相手に意味が無いので無駄になってしまうから使わない妖術が多い。
【風足】等の自分を強化してくれる妖術なら使える。
ベルゼブブと私とでは相性が悪い。
私のステータス的には妖術をメインにしていた。
だから、近接戦闘はさほど上手く無いし火力も低い。
更に言えば私達の中で1番の火力持ちであるマナちゃんも魔法攻撃が専門的な面がある。
STRの数値はネマちゃんよりもマナちゃんの方が大きいが、スキルの影響でネマちゃんの引っ掻くがスキル判定になればネマちゃんの方が火力が出る。
イサちゃんはタンクの役割を持っているが私自身があまりイサちゃんにダメージを貰って欲しくない。
イサちゃんがダメージエフェクトを出すと最初のダンジョンでイサちゃんが一撃でやられた思い出が蘇るのだ。
今更だけどあの石像の人今頃何しているんだろ?
て、今はそれどころじゃない。
相手との距離は70メートル程。そして飛んでいる。
攻撃するには【風足】等を使って上昇して攻撃するかマナちゃんに乗って攻撃する。
だけど騎乗しながらの戦闘はした事が無いし、それだけでは無くマナちゃんにも攻撃に参加して欲しい。私が乗ると邪魔になる。
だからマナちゃんにはネマちゃんを乗せて貰う。
マナちゃんの近接攻撃は足での蹴りと体当たりだ。
マナちゃんの使う魔法で自分の強化が可能なのが少しあった筈だ。
きちんと使って貰う。
そしてハクちゃんにもバフを与えられる距離が決まっている。
だから最初にバフを貰ったら今後は貰い時に近づくかハクちゃんの自由意志に任せる。
命令のままに動くよりも自由意志によって動いた方が動きに迷いが無くなる。
そして私が持っているベルゼブブに対する最後の情報。それは相手の弱点。
弱点はベルゼブブの胴体の中央にある紫色の水晶のような物と、内部にある7つの心臓だ。
ゲームで心臓が再現されているのかと疑問も勿論ある。寧ろ合ってはリアル過ぎるような気がする。
ま、良いだろう。
メインアタッカーは私とネマちゃん、マナちゃんだ。
【挑発】は効かないと思うのでイサちゃんには基本的にハクちゃんの傍に居て貰い守って貰う。
「わ〜うぅ」
「ごめんね。それでも、皆にデスして貰いたくないんだよ」
私はイサちゃんの頭を撫でてベルゼブブに集中する。
ハクちゃんは私、ネマちゃんマナちゃんに攻撃バフを掛けてくれる。
コレで少しはSTRの数値が上昇した。
『作戦会議は終わったか?ならばかかって来い。すぐに終わらせてやる』
「いや、勝つよ」
勝てないならそもそもこんなクエストは出ない。
一定の強さに達したからこのクエストが出たのだろう。
あぁ、師匠に妖術教えて貰ってから来るべきだったかも。
いや、食べられるし意味無いかもだけど。
「あれ、ベルゼブブって120レベルが推奨レベルなの?」
それだとだいぶ弱い部類だと思うけど。
現在周知されているのは4次進化まで、400レベルだ。
だから、初期の方の推奨レベルであるベルゼブブは実は大した実力は無いのかもしれない。
「違う」
『?来んのか?ならば、我からゆくぞ!』
元々のクエストは再封印だ。
つまり、討伐不可能なレベルのクエストが骸骨さんとの出会いによって変わったんだ。
だから、本来の推奨レベルは分からない。
HPがあるので倒せる事は確かだけど、強さは未知数だ。
ベルゼブブが動き出したのに合わせて私達も行動を始める。
私に向かって飛んで来たベルゼブブに対して後ろに走って逃げるハクちゃんとイサちゃん。
そして私とネマちゃんはマナちゃんの上に乗り飛び立つ。
ベルゼブブがどこまで飛べるか分からないけど、その距離によっては私の跳躍力では届かない可能性もあるね。
現在の【風足】は私のステータス等の跳躍力に黒巫女のレベルが12なので12メートル跳べる。
なので私の跳躍力は12メートル以上には絶対に成れるという事。
跳躍力はAGIとSTRの数値によって変わる。
まずは近づく事を考えよう。相手から来た所を反撃で攻撃を与えるようにしようかな?
『我が闇に呑まれろ【ダークスフィアドライブ】』
ベルゼブブの右手から放たれた黒紫のレーザーが飛んで来る。
「マナちゃん!
「ギャラー!」
上空にオーラや虹が掛かる。
「ギャラー!」
そして虹が輪になった物が目の前に出て来る。
魔法だけなら確かに魔法で防げる。マナちゃんが使える防御魔法の1つ。
MPの消費も今のマナちゃんならこの程度の魔法ならさほど問題ない。
自己再生で素早くMPが回復するので60なら4秒あれば回復する。
そして私も【風壁】を使って成る可く分厚くする。
相手は小手調べの魔法を使っているのでここで全力防御は良くない。
小手調べとはあくまで私の予想に過ぎないが、きっとそうだろう。
相手は傲慢では無いけど、悪魔だしね。
虹と風で出来た盾とベルゼブブが放った黒紫のレーザーが衝突し火花を散らし、風の壁は霧散され、虹の盾が割れるのとレーザーが止まるのは同時だった。
『ふむ、そこそこやるようだな』
「次はこっちの番だよ!マナちゃん!」
「ギャラー!」
マナちゃんを包む複数の色に輝く光、MP200を消費して自分のAGIとSTRを一時的に上昇させて速度をそのまま攻撃に移せる魔法である。
そして体当たりの純粋な威力も上昇する。さらに、【加速】を使って速度も上げる。
【俊足】は足での移動の際のスピード上昇だが、【加速】は全体の動きのスピード上昇をさせる。
加速したマナちゃんはベルゼブブに突撃する。
ベルゼブブはマナちゃんの位置に合わせて腕をクロスして防ぐ。
ベルゼブブの腕とマナちゃんを包む光がぶつかり合う。
マナちゃんが惜しみなくMPを使用出来るのは高速で回復するからだ。
そして、それはHPも。
ベルゼブブのHPがほんの僅かに削れる。
「ネマちゃん!」
「ニャ!」
ネマちゃんはジャンプしてベルゼブブの腹の球体に近づくと爪を振るう。
『させぬ』
「同じ意見だよ!」
この状態では妖術は食べれないよね?
「風槍、展開!」
『ぬるい!』
口から放たれたヘドロのような物に妖術が呑み込まれて、それはベルゼブブの口の中に入って行く。
あんな細い口からあの量のヘドロを一瞬で出すって普通に不気味。
だけどネマちゃんの攻撃は諸に受けて貰う。
私はベルゼブブの首目掛けて鎌を振るう。
『ぬるいと言っているだろ!』
口で防ぎ、マナちゃんを包む光が消えたのと同時にマナちゃんを弾き飛ばして私も飛ばされる。
ネマちゃんもすぐに地面に着地して私達の方へと移動する。
ネマちゃんが弱点に連続で攻撃しても1割も減っていない。
「⋯⋯思って居た以上にきついかも」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます