第42話クエスト

 私はログインした。


「さて、まずは神社に行こうかな?」


 かなり広いようだし地図も無いからまずは地図を確保する為にギルドに向かい地図を見て神社に行こうかな?

 師匠曰く鳥居さえあれば問題無いようだしね。

 さて、まずは真っ直ぐ進んで行く。

 曲がったりと繰り返して行くと、


「あれ?」


 同じ場所に戻って来る。

 再び今度は違う方向に進んで行く、また戻って来る。


「ありゃ、迷子になっちゃった」


 迷子と言って良いのか謎だけどね。

 今度はひたすら真っ直ぐ進んで行く。

 戻って来る。


「いやいやいや、これ迷子ちゃうやん!なんかのイベントじゃん!」


 辺りを見渡すと、今更だが人が1人しか居なかった。

 1人は居た。


「あ、あのー」


 その人、おばさんに私は話し掛ける。


「すみませぬがソナタは巫女さんか?」

「ん〜そうだと思うよ。サブだけど」

「おぉ、こんな時に巡り会えるとは⋯⋯お願いします。わたしゃの孫を、孫をお助けくだされ」

「ん〜」


 多分抜け出せないよね。


《謎のお婆さんの依頼クエストを受けますか?YES/NO》


 クエスト⋯⋯勿論YESだよね!



 お婆さんに案内されて来たのは他の立派な家とは違い木製のボロボロの家だった。


「こちらに」

「お邪魔します」


 中に入ると布団に1人の男の子が寝転んでいた。

 そして、その男の子には黒色の模様があった。

 ただの模様と言う訳では無いだろう。


「巫女様、お願いします。私の孫を、孫をお助けください」

「うぅ、でも私は回復系の妖術持ってないし⋯⋯」

「実は家に代々伝わる物があります。これにヒントが⋯⋯」


 古い本を貰った。

 中を開くと1枚の紙が出て来る。


【上位霊符】


 なんか分かって来たかも。これってこの本に霊符用の妖術があるって事だよね。


 色々と読んで、他はシミなどで分からないが一つだけ、周りと浮く程くっきりと分かる術式があった。

 つまり、これがこの孫息子を治す鍵であり、このクエストクリアのヒントなのだろう。

 だが、霊符は1枚。チャンスは1回。

 助けて師匠。


「フーーあの、私の仲間を召喚していいですか?」

「す、すみません。私も孫もその、アレルギーで⋯⋯」

「犬と猫とハムスターと狐ですよ?」

「その、動物アレルギーで」

「そうですか」


 そんなアレルギーあるのかな?

 ま、召喚してはダメなクエストだとは分かったけど。

 でも、もしも私が動物アレルギーなんて持ったら────どっちにしろゲームではアレルギー関係ないだろうしゲームでしか触れないね。はは、悲しい。


 さて、ちゃぶ台を用意してくれたので、そこに正座して筆を取り出して集中して行く。


「チャンスは1回、ミスはダメ」


 全身全霊を込めて、聴覚、嗅覚、味覚を考えないで、全ての情報処理能力を妖術の術式に集中しろ。

 深く、細かく、集中して見て分かったが、これは私の持っている妖術のどれもよりも複雑だ。当然だろう、これは霊符では無い、上位霊符専用らしいからね。


 1つ1つの術式に組み込まれる全てを細かく計算し、写していく。

 3センチ書いたら1度深呼吸して落ち着き、再び書き始める。


 数時間後、【破呪】のようだ。


 ───────

【破呪】

 上位霊符専用。対象の呪いを破壊する。尚、自信に敵対していないモノにしか使えない。遠隔使用不可。作成必要MP100

 ───────


「出来た」

「おお、これで孫は孫は助かるのですね」

「まだ、分かりませんが」


 地味に獲得出来ているのは嬉しい。

 私は孫息子さんのおでこに霊符を貼り、集中して解放する。


「解」

「うっ、うあああ、ぐがあああ、あああ!」

「くっ」


 なんだ、これ。

 呪いが破壊されているのは分かるが、それが徐々に私の方に流れて来る。

 私に呪いが掛かっている訳では無い。呪いの情報が脳に刻まれて来るのだ。


「なに、これ?」


 だが、最終的に何も起こらずに終わった。

 私の手に入れた情報は『──て──に──つ』であった。

 全く分からない。今は放置で良いだろう。


「お、婆ちゃん?」

「おお、巫女様!ありがとうございます、ありがとうございます、これは御礼にしては少ないと思いますが」


《報酬:【1万G】【古き妖本】を獲得しました》


 古き妖本がさっきのアレである。【破呪】以外には何も分からない状態には変わらないが。


「他に、私に出来る事があればなんでも致します」

「地図ってありますか?」

「この国のなら⋯⋯数枚」


 数枚?


「その、1枚譲って頂けませんか?」

「問題ございません。どうせ腐るほどある物ですから」

「ありがとうございます」


 腐るほど?

 気にしないで地図を貰って外に出ると、後ろのボロボロの家がボヤけて消えた。


「はい?」


 視界がグワングワン揺れて、直った時には人だかりが目の前にあり、私は路地裏に居た。

 一体なんだったのだろうか?

 私の手には地図があり、インベントリには本やゴールドもきちんとある。

 私は地図を見て師匠のところで新しい妖術でも覚えようかと思ったけど、まずは薬剤店に行く。

 前回のボス戦でポーションは必要だと感じたので購入しようと思ったのだ。

 職業専門店以外で買い物は始めてかもしれない。


 店の中を散策して欲しいと思った物をウィンドウを操作して購入する仕組みで、店員さんはほぼハリボテとなっている。話す事は可能だった。


「下級回復ポーションしかないのか」


 他にはステータスを一時的に上昇させるポーションがあったりする。

 下級回復ポーションは1000Gで購入可能だった。

 5本購入して行く。


「他にはどうしようかな?」


 正直攻撃面でも結局お祓い棒に慣れたせいで他の武器は使えない。

 防具も黒巫女服がある。

 道具店に行ってアイテムでも探そうかな?


「あ、忘れてた!」


 すっかり忘れていた。

 確か召喚士Lv5になって契約数が増えているから新しい召喚獣と契約出来る筈だ。

 念の為確認を。


 ───────

 名前:モフリLv53

 種族:屍食鬼

 職業:召喚士Lv5

 サブ:黒巫女Lv5

 称号:【超越者の弟子】【楽しむ者】【裸の踏破者】【初の伝説】【スライムを憎みし者】【大物喰らいジャイアントキリング】【風系の黒巫女】【呪系の霊符】

 HP:120/120(+100)

 MP:190/190(+120)

 STR:13

 DEX:25

 VIT:70(+60)

 AGI:125(+100)

 INT:60

 MND:80(+60)

 SP:0

 スキル:【召喚】【応召】【契約】【意思疎通】【妖術】【霊符作成】【棒の心得Lv4】【妖術操作Lv6】【霊符操作Lv5】【縮地Lv2】【自己再生Lv1】【キックLv1】【挑発耐性Lv1】【人喰らい】

 特性:【死体残し】

 契約3/4:『ハムスター:ハムLv1』『猫:ネマLv1』『犬:イサLv1』

 式神1/2『妖狐:ハク』

 ───────


 MPとINTに10づつ振った。そしてボス戦で戦った皆もLvが上がっていた。


 ───────

 猫Lv20

 名前:ネマ

 HP:26/26(+4)

 MP:23/23(+4)

 STR:46(+8)

 DEX:22(+4)

 VIT:21(+4)

 AGI:54(+8)

 INT:22(+4)

 MND:22(+4)

 スキル:【引っ掻く】【俊足】

 引っ掻く:小さなダメージを与える

 俊足:スピードを一時的に向上する。消費MP2

 ───────

 犬Lv13

 名前:イサ

 HP:24/24(+1)‬

 MP:21/21(+1)

 STR:20(+1)

 DEX:20(+1)

 VIT:43(+2)

 AGI:37(+2)

 INT:17(+1)

 MND:17(+1)

 スキル:【挑発】【堅牢】

 挑発:敵の認識を集中させる。消費MP2

 堅牢:VITを一時的に上昇する。消費MP5

 ───────

 妖狐Lv18

 名前:ハク

 HP:21/21‬

 MP:61/61(+2)

 STR:12 ‬

 DEX:11‬

 VIT:11‬

 AGI:16‬

 INT:54(+2)

 MND:54(+2)

 スキル:バフ

 内容:味方にSTR上昇バフ、VIT上昇バフ、AGI上昇バフ、INT上昇バフのいずれかを掛ける事が出来る。対象に対し複数使用可能だが、重ねがけは出来ない。MP5を使う。

 ───────


 良し、ちゃんと契約数が増えている。確か専用の場所がある筈なのでそこに向かう事にした。その後は師匠の所に行こうかな?

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