第41話新キャラ

 奥の扉を進んで行くとホログラムのような運営のマスコットキャラクターのようなモノが現れる。


『おめでとう!これにより貴方々は次の階層に行ける権利が与えられます。今後、階層移動は国などの転移ポータルから可能です。次に、1層との変化を伝えるね。

 1つ、国の中では地図の機能が使えないので注意してください。

 2つ、PVPエリアは存在しません。プレイヤーへの攻撃は可能ですが、倒してしまった場合ペナルティが与えられます。これによりキル数やデス数のカウントは止まってますので心配する事無く倒される事が可能です。

 3つ、プレイヤーは種族問わず平等となります。なので中立都市や人間絶対主義の都市などは存在しません。敵モンスターの種族となった者も安心であり、同じ種族でもモンスターなら攻撃してきます。

 それでは、今後とも楽しんで行ってください!』


 そして視界いっぱいに光が現れ、嘘待ったら目の前には沢山の人や大きな家だった。


「ここが2階層か」

「本当に地図が使えないね」

「うん」

「どうする?」

「「私達は外を探索する予定」」

「私はリアルの方に戻ります」

「私も予定があるから戻るね。じゃあ、お別れだね」

「そうだね。お姉ちゃん、セカイねーまたね!」

「また、お姉ちゃん。セカイさん」

「ん、またね!」

「はい、では失礼します」


 私はログアウトした。


 ◆


 私はそのまま外に出て自転車に乗って予定の場所に向かった。

 着いた場所は大きな土地を持った場所である。

 夢の中で見たアレだ。

 インターホンを押して待っておく。


「はーい!⋯⋯あ、萌南さん。どうぞ!おーいお前ら!お嬢の友達さんだ!失礼の無いようにな!」

『おう!』


 扉を開けて貰い中に入ると黒色のスーツを来た男達が礼をしている。

 これには今でも慣れない。ちなみに女性もいる。

 私は速歩きで家の中に入る。


「萌南さんってここに来ても怖くないんですかね?」

「さぁな。正直俺は組長よりも萌南さんの方が怖いぞ。萌南さんになにかあったら⋯⋯組長やお嬢が敵に周り⋯⋯他の⋯⋯」

「辞めてくださいよ。それに良い子ですよ!」

「ああ、確かに良い人だ。だがなんか違和感と言うか、なんかあるんだよな〜よく分かんないけど」

「そうですね〜」

「おい、貴様ら無駄口叩いて無いで、来い!」

「あ、はい!」


 私は案内されるがままに部屋に案内される。


「あ、萌南来たね!」

「うん、沙苗ちゃん来たよ!」


 私は沙苗ちゃんの隣に座る。


「じゃ、映像映すよ」

「うん、ありがと」


 私は部屋のテレビを見る。

 映し出されたのは動物達が和気藹々と遊んでいる所である。


「あ、あの子元気そうだね」

「そうだよ。見に行く?」

「私の性で気分悪くされたら嫌だし辞めておく」

「そっか、気にし過ぎだと思うけど?」

「そんな事無いよ」


 動物が居る部屋の中を覗くと常に私の真反対の所に居るのだ。

 だから余り覗きに行くつもりは無い。


 ドドドドドと廊下を走る音が聞こえる。

 ガバっとドアが開けられ、男の人が見える。


「萌南さんが来たって⋯⋯げふ」

「うるさいぞ兄貴」

「あはは」


 開けた瞬間に沙苗ちゃんはドアの所に移動してその男の人、私達より2歳年上の沙苗ちゃんのお兄さんに蹴りを噛ます。


「ほ、骨が⋯⋯」

「何回も折れて丈夫になっているし、手加減したから問題無し」

「そんな問題じゃないだろ!」

「しっ、今動画見ている」

「あ、すみません」


 2人とも戻って来る。


 そして数分間の映像を見た後、私達はリビングに移動する。


「お昼頂いてすみません」

「いえ、お気になさらず。お嬢の友達とあればいくらでも用意致します」

「そんな事しなくても⋯⋯」

「いえいえ」

「いやいや」

「いえいえ」

「いやいや」

「あ、無限ループしそうだから切るね」

「「はい」」


 お昼ご飯を食べるのを忘れてしまったのでお邪魔している。

 机には沙苗ちゃんのお爺さん、お姉さん、妹さん、お兄さん、弟さんが居る。


「萌南ねーさんってNewWorldFrontierってゲーム知ってる?」

「うん、やってるよ」

「萌南やってるの?」

「うん」

「珍しいね〜。私も、違うね。私達もやってるんだよ」

「沙苗ちゃんも家族総出なんだね」

「『も』か、でも少し違うね。母様と父様が仕事忙しくて出来てないからここに居る皆だね」

「お爺さんもやっているの?」

「ああ、儂もやってるぞ。意外か?」

「⋯⋯はい」

「ほほほ、皆と話を合わせたいからな!ま、1日3時間しかやっておらんがな」

「そうなんですね」


 私はこの家族の皆と面識があったりする。


「萌南ちゃんはどんな職業を選んだの?」

「召喚士です」

「おお、萌南っぽい。問題は無い?」

「うん、問題無く皆良い子だよ」

「そっか」

「沙苗ちゃんも合流する?今は私の妹達と貴美ちゃんと合流しているよ」

「良いの?」

「問題ないと思うよ」

「じゃあ貴美にも言っておくよ」

「分かった」

「あ、そこに俺も⋯⋯」

「お前はダメだ」

「姉さんなんでだよ!」

「兄上、考えて見てくれ」

「え?」

「同じ学校であり、小さい頃から友達、そして仲が良く全員女子、そんな中に兄上が入るとしましょう。1番年上で気を使わないと行けないし、それに兄上のハーレムになるし、萌南ねーさんの妹さんの1人と面識あるのって姉上と妹と爺様しか居ません。ぶっちゃけ迷惑になります」

「うぐ」

「確かに、兄貴が入るのは⋯⋯」

「お兄さん下心丸出し、キモイ」

「ぐふ、姉さん」

「⋯⋯」

「爺様」

「諦めろ」

「萌南さん」

「まぁ、私はどっちでも良いけど⋯⋯柑ちゃんが⋯⋯」

「出過ぎた真似をすみませんでした!」


 それから数分後に私は沙苗ちゃんと散歩に出掛けた。


「最近は電柱とかにぶつかって無い?」

「おう!2週間に1回程度に下がっているよ!」

「ぶつかっているじゃん!」

「うぅ、私もきちんと前を向いているんだけどね」


 沙苗ちゃんは先天性の無痛症だ。

 今の医療でだいぶ戻っているようだが、それでも今でも感じないよでお爺さんが腕の良い医者を探しているとの事。

 学校の行き道で合流するとおでこから血を流している事なんてザラである。


「余り心配させないでね?」

「問題無いって、私が丈夫なの知っているでしょ?」

「そう言う問題じゃないよ」

「はは、そうだね」


 私達は市場の方に行ってアイスを買ってベンチに座りアイスを食べる。


「で、なんで萌南はゲームを始めようと思ったの?」

「ん〜桃ちゃんに誘われたし、それに感覚も現実と近いって言うし⋯⋯動物に触れるって言われたから」

「なるほどね。確かに他のフルダイブ型VRゲームと違いこっちは軍事用のAIを普通に使い、運営も天才達の集まりって噂だしね。最近バグの大量修正があったけど」

「そうなんだね」


 空を見上げると風船が飛んでいる。


「誰か手を離したのかな?萌南、あそこなら届く、アイス頼んだ」

「了解であります」


 沙苗ちゃんは電柱に手を当て、そして猿のようによじ登って行く。

 そして、跳躍して風船の紐を掴んでクルクル回転して着地する。

 沙苗ちゃんの運動神経や身体能力は霊長類最強クラス。

 そのせいで子供の頃良く誰かを怪我させていた。

 勿論わざとでは無く、いじめから助けてあげたりとそんな理由だ。

 だが、いじめていた側もいじめられた側も沙苗ちゃんを怖がっていた。


「お姉さん、ありがと」

「もう、離しちゃ行けなよ」

「うん」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯ハッ!ありがとうこざいます。息子の為に」

「いえいえ」


 沙苗ちゃんを見た母親は漠然としていた。


「お姉さんのように僕も成れるかな?」

「オススメしないよ。強さは人を孤独にする」


 沙苗ちゃんは私の方へと戻って来る。


「相変わず凄いね」

「ありがと。ま、そのせいで事故が多かったりするんだよね」


 沙苗ちゃんの言う事故とは、走って居たら鳥が飛んでいて顔を上げて、前に戻すと目の前に電柱があり突っ込むと言う事だ。


「だから私はゲームに弱さを求めたんだよね」

「弱さ?」

「そそ、私は最初は強制だけど、それ以降Lvが上がってもステータスに振ってないんだよね。完全放置。スキルのみで戦ってます」

「こっちもこっちで縛りプレイ?」

「あはははは、まあ、昔色々とあったからね。だから私は萌南達に感謝しているんだよ。私を孤独にしないで居てくれて」

「沙苗ちゃんは良い子だよ」

「ありがと」

「それに動物に優しいしね。でも、あの時はびっくりしたなぁ〜」

「ああ、あの時?」

「そそ、捨てられた動物の確認しに行ったらそこが沙苗ちゃんの家だったんだから」

「それは私もびっくりした」


 それから数分楽しい会話をした後、ゲームで会おうと言う約束をしてから解散した。

 ゲームですぐに会う訳では無いけどフレンドIDを貰ったので問題無し。ログインしたらフレンド登録しておく。

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