第36話黒巫女決着
迫り来る短剣の軍勢にわたしは微笑む。
「ここまでダメージ負ってんだ。いくら『わたし』でも手を貸してくれるよな?
そして、形式からハクを呼び出す。そう、既に封印時間は終わっていたのだ。
このゲームのクールタイムは基本的にゲーム内時間によるもの。
そして、さらに加速しているこのイベント用のフィールドではいつもの体感よりも速いのだ。
「そんなに経っていたのか?」
それでも尚クソ女は余裕を見せている。
「グルル」
「そんな場合かっ!お前達の大好きな私が幻惑に掛かって悲しんでんだよ!手を貸してくれよな!ハク、イサに防御バフだ!イサ、私は悲しむかもしれんがそれしか方法が無い。【堅牢】だ!なるべく短剣を受け切ってくれ!」
「くおん」
「きゅるる」
そんなに複雑な顔すんなし。
「生き残る為だ。文句は許さんぞ!後、わたしは私と比べて指揮の能力とか味方の状況把握とか苦手だからそこんところよろしくな」
人には向き不向きが居るのだ。それは『本能』でも同じ事である。
イサが防御力を上げて短剣をその身で受けている間にネマを召喚し『私』を脅しとして使って何とか手伝って貰い短剣を落として行く。
ハクにわたしに攻撃バフを掛けて貰う。
MPの残量的に機動力用の【風足】に使ったら残らない可能性があるので妖術に攻撃力は振れない。
「展開」
わたしは【風足】を使ってクソ女に接近する。
「チッ!面倒臭いね!もう楽しむのは辞めたよ!本気で行かせて貰うよ!」
クソ女の背後から5本の短剣が浮遊して来てこちらに四方八方を囲うように迫り来る。
わたしはそれをひたすら無視してクソ女に攻撃を仕掛ける。
クソ女は短剣を両手に持って浮遊する短剣を操りながら自分でも攻撃して来る。
クロスするような斬り方で来る短剣に対して棒を横にして受け止めて棒をを強く薙ぎ払う事によって短剣を押し返し蹴りを入れるのでは無く腕を掴んで回して関節部分を膝蹴りして攻撃する。
「ぐぬ」
迫り来る短剣を棒や足を使って落として相手にインベントリを操作されて短剣補充をさせない為にひたすら攻撃して行く。
短剣で防がれたり躱されたりするが、今のわたしは1人ではない。
「ネマ!」
「にゃぁ!」
「小賢しい!」
ネマに足を攻撃して貰いクソ女はネマを蹴ろうとするがそれをわたしは【風足】を使ってクソ女を蹴り飛ばして阻止する。
【風足】の反動で飛んで行く時にネマと一緒に距離を取る為にネマを抱える⋯⋯事は拒否されたので1人で体制を建て直して距離を置く。
ネマはこちらに走って来る。
浮遊する短剣20本程度がこちらに迫って来る。
イサはさっきのでHPの半分は削れているので簡単には前に出せない。
「ネマ、意思疎通でなるべくわたしの『勘』トレースしてくれ」
「⋯⋯」
「行くぞ!ネマ達の主の行く末が掛かってんだ!」
「にゃ!」
わたしは地を蹴って接近する。
迫り来る短剣を回し蹴りを利用したり、中にはネマが爪を使って落としたりする。
「わんわん!」
「ああ、見えてる!」
その隙にクソ女が逃げるところがバッチリと見えている。イサがその事を教えてくれた事にわたしは感謝しながら後2回しか使えない【風足】を使って一気に接近して行く。
その際にはネマ、イサ、ハクはひたすら走っていた。
一足先にわたしがクソ女に肉薄する。
「しつこいね!」
「やらせねぇ!」
クソ女は再び短剣を飛ばそうとしていたが、それをわたしはやらせない。
「解」
「なんだよ!」
【呪縛】と【呪魔】を使って腕に鎖を巻き付けてステータスを下げる。
「その距離なら行けるだろ!イサ!」
「ワオーン!」
【挑発】は進化してから射程が伸びている。
ギリギリ射程範囲内に入ったクソ女に【挑発】を使って貰う。
耐性があるようだが、ステータスが下がっている今なら多少は当たるだろう。
「クッソ!」
案の定【挑発】によって動きが強制的にイサの方に向いたがすぐに
わたしは霊符の【風刀】を取り出して横薙ぎに手を払いながら霊符を使う。
「解」
それによって生み出された風の斬撃はクソ女に命中し、防御力も低下しているクソ女に深い傷を負わせる。
「畜生がァ!」
「解、ネマ!」
追加で【呪縛】と【呪魔】、火力の足しに霊符の【妖火】を使う。
ネマにはハクからの攻撃バフを掛けて貰い引っ掻いて貰う。
「こんなところでぇ!」
「イサ!」
イサはクソ女の足に噛み付いて行く。
ネマ程の攻撃力はないとはいえ、それでもダメージ稼ぎは出来る。
ひたすら攻撃を受けているので浮遊する短剣は使用させない。
わたしも霊符の無駄使いを抑える為に近づき棒で殴る。
「【パワー】【俊足】【跳躍】」
強化系スキルを3つ使って【呪縛】から脱出するクソ女。
だが、そのHPは2割となっている。
さらに【呪魔】は未だに続いている。
「なんだよこのバットステータスは。全部下がっているじゃないか!」
【呪魔】はHPとMP以外のステータスを下げる効果がある。
「仕方ない。本当はいやだったんだけどね!【|誘いの幻夢】」
濃い霧が出る。
そして、わたしの目の前には『わたし』と言う存在が生まれた瞬間の出来事が映っていた。
今なら大切な家族が傷付く前に止める事が可能だ。
その包丁を振り下ろされる前に止める事が出来る。
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