第37話イベント終了
ぷにぷにと頬に感じる感覚。
「これは、ネマちゃんかな?」
「にゃ〜」
正解のようだ。
少し記憶が無い。
確か、誰かと会って、戦いになって、セカイちゃんと別れ⋯⋯。
「そうだよ別れたんだ!急いで探さないと!」
私は歩き⋯⋯出せなかった。
「ここ、どこ?」
「にゃ〜」
「きゅーん」
「わんわん」
「え、イサちゃん分かるの?」
「わん!」
「案内よろしくお願いします!」
イサちゃんの案内の末、音が聞こえて来た。
私達はその方向へと向かった。
そこには殴っては殴られてを繰り返しているセカイちゃんの姿があった。
MPが切れてスキルが使えないのかもしれない。
「これで、私の勝ちです!」
「そのようだな」
最後にセカイちゃんの腹パンが決まり、相手は光となって消えた。
その後セカイちゃんは仰向けに大の字で倒れた。
「勝ちました〜」
「おめでと〜」
「モフリさん!」
その後、休憩した後崖の方に向かって行った。
「即死エリアですか。これは誰も来ませんし上にいる意味は無さそうですね。残念」
「即死エリアってそのままだったよね?」
「そうです」
確かに崖の下に誰も来ないで、森の中だから木々が生い茂っているので見渡しも悪い。
ここに残る意味は無いだろう。
それからは慎重に生き残る事だけを考えて逃げて、隠れていた。
近くで戦いの音が聞こえても参加しないで逃げを徹底した。
そして最後の1日となった。
睡眠は代わりながら取っていた。
「なんか不思議な感じだな〜1週間くらい過ごしているのに、あっちでは2時間そこらなんだから」
「そうね。どうですかこのゲームは?」
「⋯⋯ん、とっても面白いよ!ゲームがこんなに面白いって知らなかったよ」
「良かったです」
「何が?」
「モフリさんがこのゲームをつまらないと思って辞めるような事がなくて」
「そんなの無いよ。今の所とっても楽しくプレイしているし、ネマちゃん達も居るしね」
私は抱いているネマちゃんと目を合わせる。
「にゃ〜」
ネマちゃんは手を私の頬に当てる。
「にゃ〜」
「にゃ〜」
「うふふ」
今は洞穴に居る。
私はネマちゃんとハクちゃんを基本的に召喚している。
サイズと機動力や即戦闘の総合的評価でこの2匹は調度良いのだ。
「後何パーティー残っているんだろう?」
「分かりません」
鎧のガシガシっとゆう音が聞こえて来た。
「安全地帯も狭くなっていますし、逃げると他の人に見られる可能性が高いです」
「分かった。戦う!」
私達は洞穴から出る。
前に居たのは鎧を着た人(兜を被って居るので顔が分からない)と背後に魔法少女のような格好をした人が居た。
鎧を着た人は盾に剣を持っている。
そして、こちらに向かって走って来た。
「いきなりですね」
「ネマちゃんは魔法少女のような人を狙って!ハクちゃんはセカイちゃんとネマちゃんを基本的にバフでの支援をお願い」
「キュン!」
「ニャー!」
私達も前に進む。
振り下ろされる剣をお祓い棒で防いで、横の方向からセカイちゃんが攻撃する。
だが、魔法少女の魔法で妨害されてセカイちゃんはバックステップで下がって回避する。
私は押し返そうと力を入れるが、相手の方が力が強い。
「コーン!」
ハクちゃんが攻撃バフを掛けてくれるが、それでもなかなか押し返せない。
「ネマちゃん!」
「にゃん!」
ネマちゃんが鎧の人に爪で攻撃するが、それは鎧に弾かれた。
それでも少しはダメージは出ている筈だ。HP減っている様には見えないだけで。
セカイちゃんは鎧の人を私に任せて魔法少女の方へと向かって行った。
魔法少女が後ろに下がって行く。それを追い掛けるセカイちゃん。
私は【風刀】を使って何とか弾き返して、霊符の【呪縛】を使って相手の行動を制限させる。
だが、これはあっさりと引きちぎられた。
鎧の人の剣が横薙ぎに迫って来るが【風足】を使って高く跳んで回避して体制を建て直し、霊符の【風弾】を鎧の人に使う。
鎧の人は少しノックバックするが、それだけだった。
なかなかに強敵である。
それりゃあそうだろうけどね。最終日まで生き残ったんだ。
弱い訳が無い。
「背後ががら空きだよお嬢さん!」
「しまった!」
背後から出て来た短剣を2本持っていた人に連続で斬られる。
その際スキルを使っていた。
「にゃッ!」
「コンっ!」
「ごめん、セカイちゃん」
狭い空間で戦闘を、しかも洞穴の位置はそこそこ高い所にあり、跳んで居たら見つかり易いだろう。完全に考えが回らなかった。
そして、漁夫の利に会ったのだ。
私は光となって消える。私が消えるとネマちゃんとハクちゃんも消える。
「モフリさん!」
「魔法使いと同時に数を減らせるのはありがたい」
魔法少女は後ろに居た大剣を持っている男に斬られて消えた。
「一撃?かなりダメージを減らしていたようだな」
セカイは近距離を基本戦闘スタイルにしているので、遠距離の魔法使いには不利だった。
何とか近づいては一撃一撃を大切に使って居たので、ダメージを稼ぐ為にスキルを使っていた事が今となってはそれが不利に働いたと分かった。
パーティーメンバーのデス確認のウィンドウが出て来てやれた事は分かっている。
セカイは最後の悪足掻きをして、大剣の男と相打ちとなった。
「ここは?」
私が今居るのは何も無いが明るい空間だった。
「ここがイベント終了時に来る所ですか。私達だけのようですね」
「セカイちゃん!ごめん!漁夫の利を警戒してなかった!」
私は手を顔の前で合わせて謝る。
「気にしてませんよ。私も負けましたしね。楽しかったですか?」
「うん!セカイちゃんは?」
「私もです」
それから数分後、運営の人と思われるマスコットキャラクターが現れた。
『イベント参加プレイヤーの皆様!お疲れ様でした!最後の集計と共に上位10位の人達には『金コイン』を贈呈します!』
目の前に私とセカイちゃんの分の金色のコインが現れた。
描かれている模様が拾った銀コインに似ている。
『それでは上位3パーティーに今回の感想を聞いて見るよ!』
それから3パーティの感想が映し出されて、最後に運営からのメッセージがあり、一瞬眩い光に包まれた後に、宿の中に戻って来た。
「戻って来たようですね」
「終わったんだね〜長いようで短い。不思議だな〜」
「ふふ、そうですね。⋯⋯インベントリに金コインがきちんとありますね」
「あ、ほんとだ。それと、白金コインってのがあるよ」
「なんですかそれ?」
「なんだろ?」
出して見る。
それは拾った銀コインだった。
「「銀じゃなくて
◆
「いやー終わった終わった」
「良いイベントとなったかな?」
「遅くした分、大きなイベントにしたけど、好評だね」
「じゃ、最後のまとめをしてから我々も解散しようか」
「そうだねー」
「⋯⋯⋯⋯」
「どうした浮かない顔して?」
「皆、当分帰れない」
「なぜ?」
「これ」
映し出されて映像は運営のお遊びで作られた『黒巫女』の所有者だった。
太ももに短剣が刺さり、このゲームではありえない痛みを感じた用に叫んでいた。
そして、その時の精神の乱れをパラメータのようにして、見てみると。
安全装置のラインを超えていた。
『は?』
運営陣一同唖然とする。
VRゲームとして絶対に合ってはいけない事が起こっているのだ。
驚愕な事にこの黒巫女は言葉使いが変わり、戦い方も変わって撃退していた。
だが、その後その戦闘を気にする様子なく歩き出した。
「この子の精神は一体?⋯⋯て、それどころじゃね!あの短剣を使った女の事を調べろ!」
調べた結果、このバグを扱っていた事が分かった。完全に自分達のミス。
さらに、それを受けた人達のログインに一時的に穴が空いて居た。
これはその時の恐怖が会ったのだろうと予想出来る。
「誰も訴えて来なかった」
「遊びで作ったスキルの中で、目立たないから完全に迂闊だった」
「そんなのは言い訳だ!この子に関しては忘れているようだし、思い出させるのは悪いのでなんの対策もしないが⋯⋯いや、詫びとして黒巫女の関連クエストを精密に弄るか。それと、短剣女に関しては垢BANだ!それと、被害者には謝罪文と謝礼金を用意するぞ!」
『おぉ!』
「我々のミスはまだあるかもしれん。全て、2層全て合わせて全て見直すぞ!これは我々の今後と社員の今後が掛かった一大事だ!」
『当然だ!』
運営はイベントのまとめを終えると即座に点検に入った。
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