第51話ステ確認/転職します!/頑張れ運営

 オレンは今度は装備を確認する。


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 蜘蛛女帝の服

 装備必要条件:称号:蜘蛛女帝アラクネ

 特性:【体力消耗削減】【体力回復速度向上】【譲渡不可/破壊不可】

 説明:蜘蛛女帝と呼ばれる蜘蛛の頂点的魔物の糸が使われて作成された服。与える蜘蛛女帝が認めた相手に渡されてその人にしか使えない。この服はただの服にして有らず、持久力向上に特化している

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 蜘蛛女帝のズボン

 装備必要条件:称号:蜘蛛女帝アラクネ

 特性:【変化自在】【保管袋】【譲渡不可/破壊不可】

 説明: 蜘蛛女帝と呼ばれる蜘蛛の頂点的魔物の糸が使われて作成されたズボン。与える蜘蛛女帝が認めた相手に渡されてその人にしか使えない。下半身が変わろうとも壊れる事も無くその姿形に合わせてくれる優れ物


 変化自在:自身の姿形の変化に伴って変化する

 保管袋:小道具ならしまう事の可能な袋

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「糸の体力消耗を抑えて、小道具?何に使うんだろ」


 ちなみにオレンは変化自在については少し心当たりがある。


「さて、次はステータスだね」


 《追加報酬を提示します》


「あ、追加報酬て時間差あるんだ」


 《これまでの戦闘履歴を元に最適解を導き出し報酬を渡します》


「はいはい」


 オレンの目の前に靴が現れる。白色の靴で短剣と同じ色をしている。


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 蜘蛛女帝の靴

 装備必要条件:称号:蜘蛛女帝アラクネ

 特性:【糸連動】【変化自在】【譲渡不可/破壊不可】

 AGI+100

 説明: 蜘蛛女帝と呼ばれる蜘蛛の頂点的魔物の糸と骨格が使われて作成された靴。与える蜘蛛女帝が認めた相手に渡されてその人にしか使えない。糸を操り機動力を最大限伸ばしてくれる

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「確かに足なら機動力が上がるね」


 《転職先を提示します》


「あ、進化って言っていたから次の職業に成れるのか⋯⋯成れて良いの?でも、ステ振りは最後までしないと進化して現ステが半減するのに⋯⋯はは、勿体無い」


 《密売人、暗殺者、糸師、忍者》


「忍者⋯⋯かっこいい」


 だが、オレンは留まる。もしも忍術的なスキルが手に入るとしたら⋯⋯良い事だろうがMPが問題になる。

 だから悩み、そして選ぶ。


 《忍者にしますか?YES/NO》


「YES」


 オレン、カッコ良さに負ける。

 正確には密売人と暗殺者は気配を殺して近付いて倒す速攻タイプだと思い、糸師は逆に自分のスタイルとは少し離れる危険性があるからだ。


 《転職により1部スキルの変化を行います。その際蜘蛛女帝の称号の力を大幅に受けます》


「さて、確認と行きますか」

 《───あ、──き⋯⋯こ、えて、いるか?》


 オレンは背後を見る。誰も居ない。ステータスを確認しようとするオレンに再び声が響く。


 《おーい》

「⋯⋯誰?」

 《蜘蛛女帝アラクネ

「は?」

 《いやいや、は?じゃないわよ。よろしくねって挨拶したでしょ?今後ともよろしくお願いしますの意味よ?》

「ストップ、まずは冷静に生理しよう」

 《1つ、私は貴女に負けました。2つ、私が貴女に取り込まれました。3つ、死んだはずの蜘蛛女帝アラクネの声が聞こえる。説明、私はスキルであり、称号であり元モンスターである》

「説明どうも!でも訳分からん!」

 《ステータス確認どうぞ〜》


 ───────

 名前:オレンLv9

 種族:半人半魔【ビーストスピーヒューマン】

 職業:忍者Lv1

 称号:【貧弱者】【トリックスター】【スピードランナー】【半人半魔】【蜘蛛女帝アラクネ】【原初の混ざり者】

 HP:10/10

 MP:24/24(+14)

 STR:0

 DEX:0

 VIT:0

 AGI:1400(+100)

 INT:0

 MND:0

 SP:55

 固有スキル:【蜘蛛女帝アラクネ

 スキル:【気配遮断】【忍び足】【防臭】【忍具操作】【忍術】【並列意志】【思考加速Lv1】【短剣術Lv8】【双剣術Lv8】【連続斬りLv2】【サイクロンスラッシュ】【パワースラッシュLvLv3】【アサシンブレイドLv3】【パワーLv1】【跳躍Lv2】【ハイジャンプLv1】【俊足Lv2】【加速Lv2】【超回避Lv8】【高速移動】【壁面移動】

 特性:【聖魔半減】

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 聖魔半減

 内容:聖属性、魔属性の攻撃を半減する。自身に特攻属性等ない。半端者の証拠

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 蜘蛛女帝アラクネ/神智心マナス

 内容:蜘蛛女帝に認められ統合された者にしか与えられない唯一無二の固有能力ユニークスキル

 新たな人格の生成

 自身の成長に合わせて能力の増減及び変化がある


 能力:【粘糸・硬糸・斬糸・弾糸】【操糸】【変身】

 粘糸:粘着力のある糸を出せる

 硬糸:硬質の糸を出せる

 斬糸:斬撃力のある糸を出せる。威力はSTRに依存する

 弾糸:糸を拘束で飛ばせる。威力はSTRに依存する

 操糸:自分の出した糸を操れる。糸を出すのはMP消費は無いが体力の消耗が激しい。最大60メートル飛ばせる

 変身:蜘蛛女帝に慣れる。AGI上昇、VIT・DEX低下

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「マ、ナス」

 《そうそう。だから今後ともよろしくね?私、色々とサポート出来るから》

「てかSPの量!」

 《今まで通りの増え方に1レベル2付き5ポイント貰えるようになりました!パチパチパチ》

「色々と知っているのね。さっきも私の思考読んでるでしょ⋯⋯それにスキルも増えているし変わっているし」

 《まま、良いじゃないの》

「そうだね」


 ちなみに装備は既に付けている。


 《最後の報酬、忍具道具作成本》


 忍具のレシピ本だった。

 自慢では無いがオレンには生産者の知り合いはNPC含めゼロである。

 武器等の基本的にダンジョン産である。


「ま、色々と検証しないとね⋯⋯」



 ◆



「終わったあああ!」


 ついに、ついにLv100に成りました!

 私メインで上げていたのでハムちゃん達は1レベルも上がってない。

 レベリングの方法はサエちゃんの見つけたとある洞窟で、そこそこのレベルのモンスターが居て奥に行けば行くほどレベルが高くなり、1度倒しても洞窟から出て再び入ると一瞬でリスポーンしているのでレベリングは順調だった。

 だが、途中からMP切れや霊符節約の為物理攻撃をしていて負けそうになったり、MP回復ポーションを買ってひたすら戦っていた。

 洞窟の中だったので【風刀】があんまり役に立たなかった。


「さて、進化と転職どっち先にする?」

「ん〜転職!」

「進化先に影響は無いけどね。行くか!」

「おぉ!」


 と、言う訳で2層のマナちゃんとの出会いの場所に来ました。


「転職お願いします!」


 《転職クエスト:1次進化を果たした召喚獣と契約せよ。YES/NO》


「YES」

「どんな系統にしますか」

「魚類で!」


 陸、空時たら次は海でしょ!

 前回と同じように魔法陣の所に向かう。サエちゃんは後ろで見守っている。


(一緒に来てくれる子は誰かな?)


 答え、反応無し。


「あ、あれ?」


 私ではなくこの場所を管理している召喚士が唖然とする。


「き、きっと相性が悪かったのでしょう」

「そ、そうだよね!じゃあ!鳥類で!」


 ──反応無し。

 哺乳類─反応無し、爬虫類─反応無し、両生類─反応無し。


「い、いや。種族を特定するのが良くないのかも、ランダムで!」


 答え、勿論反応無かったよ畜生!

 私の動物嫌われ体質はここでも有効なのは何となく気づいていたけど実際にそうですよと言われると辛い。

 ハクちゃんとの出会いもこんな思いだったなぁー。はは。


「も、モフリー戻ってこぉい!」

「はっ!この場合って転職出来るんですか!」

「その、無理です」


 ガアアン。


「モフリ」


 サエちゃんは片手を私の肩に置く。


「クレーム行きますか?」

「うん」


 その後ログアウトして私の気持ちを運営に送りました。


 ◆


 その運営と言えば。


「ふむふむ2層も順調ですね」

「そうだな。この調子なら次のイベントに行けそう」

「あ、クレーム来たぞ」

「え?なになに?」

「えーとね。転職出来ません何故ですか?だって」

「あー久しぶりだね隠し転職者に成れる人からのクレーム。てか、その際各職業の管理者からそれらしい事やってくれる筈だけど」

「チョックラ確認しますか」


 運営の最高責任者の人達の中央にその映像が映る。


『て、黒巫女の子かぁい!』


 見事に一致。そして驚愕。


「あれ、普通に失敗している」

「バグか?おーいユミルさーん!」

『はいはーい世界最高の人工知能のユミルさん誕生!』

「あの、バグがあるぞ」

『え?ちょっと待ってね⋯⋯⋯⋯ふむふむ、バクじゃ無いね。仕様だね。私のせいにしないでよ!怒るよ!』

「え?」

『えーっとね。つまりは現実に近い感性を持つ1次進化した状態の召喚獣の全てが生成された瞬間に拒否して、それが全てに対応されて、転職できませーんってなってるね』

「おいおいまじかよ。そんなのありかよ」

『私もびっくり!何この人面白!』

「なにわろてんねん。それよりも対策しないとな」

『あ、強制力を働かせるのは無しだよ』

「なぜ?」

『この人のプレイ履歴を確認したけど、本当に求めているんだよね。動物を。だから機械的な物じゃあダメなんだよ』

「じゃあどうする?」

「対策どうする?」

『ここで1つ提案が!』

「なんだね?」

『新しい職業を作ろう!そもそも失敗を予知していない我々のミス!』

「いや、そんなん想定出来るか!そもそも失敗なんて想定して無いんだよ!そう言う物なんだよ!」

『それがミスなのよ!責任持って作るぞォ!私の分身を数体使わせてあげるから』

「ぐぬぬ」


 翌日から運営達の断末魔が響いたとか響かなかったとか。


「⋯⋯」

「どうした?」

「半人半魔が現れた」

「まじか!どんなモンスターだ?」

「アラクネ」

「ん?そこまで驚く事か?アラクネの兵士って確か⋯⋯」

「女帝」

「──ちょっと僕の耳がおかしいのかな?」

「安心しろ、俺も多分おかしいわ」

「私も」

「自分も」

「あ、女帝です」

『ありゃまこりゃ凄い』

「まじかーボスモンスターも出来るようにしてはいたが、それがまさかの隠しユニークボスモンスターとか無いわー。ほんま無いわー」

「映像カモン!」


 運営はオレンの映像を見る。


「頑張ったんだね」

「リアルで15時間以上戦っているよこの人。しかも全回避」

「敏捷特化とか舐めプかと思ったがここまで上手いと何も言えねぇな」

「それなぁあ」

「さて」

「俺達も現実を見ますか」

「そうだな。半人半魔は今後も観察を続けて、まさかの黒巫女と親しげな人であり、その片割れと思われる人も居て⋯⋯はは。何たる奇跡」

「もやは運命」

「さて、黒巫女の事はこれからも色々と会うと予測して用注意人物としてイニシャルID『K』としよう」

『御意!』

「Kに対するバランス調整⋯⋯は今は良しとして、プレイ履歴を確認して新たな職業等の作成。今後の対策も込とする。半人半魔は今後の成長に期待。各々の観察対象の観察は1時中断!総員頑張るぞ!」

「おおー!」


 頑張れ運営!負けるな運営!これからも頑張れ運営!

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