第14話買い物の後の出来事

 

「これはどうやって使うんですか?」

「掲げていでよとか、召喚とか、そんな適当で良い。念じれば使えるからな」

「それって言葉で言わなくても良いって事ですか。でも、なんか言わないと寂しいしな。召喚サモンで良いや」


 取り敢えずあのモフモフの塊であり、頂点とも言って良いほどの最高の生命体の白狐さんを召喚する。


「こん!」

「ほほう妖狐か?銀の毛色から見るにバフ役だな。ふむ、妖狐と契約出来るとは珍しい。さすがは妾の弟子じゃ」

「あ、ありがとうございます?」

「ほな、この子に名前でも付けてやれ。愛着が湧くだろう」

「そうですね」


 白狐さんは妖狐と呼ばれる種族でレア種族なようです。

 よく分からないけど妖怪なのかな?

 そして、明るい所で見ると白色ではなく銀色だった。


 私は妖狐さんを撫でながら名前を考える。

 妖狐さんにずっと構っているからか、ハムちゃん達が不貞腐れている。

 皆撫でる。


「ハク、でどうかな?」

「きゅん!」

「は、ハクちゃんって呼んでいい?」

「きゅん」

「ありがとう」


 妖狐さん改めてハクちゃんが仲間になった。

 ステータスを確認してみたところ、召喚や応召、契約に式神が追加されていた。


 ───────

 妖狐Lv1

 名前:ハク

 HP:15/15‬

 MP:20/20

 STR:6

 DEX:5

 VIT:5

 AGI:10

 INT:20

 MND:20

 スキル:バフ

 内容:味方にSTR上昇バフ、VIT上昇バフ、AGI上昇バフ、INT上昇バフのいずれかを掛ける事が出来る。対象に対し複数使用可能だが、重ねがけは出来ない。MP5を使う。

 ───────


 これがハクちゃんのステータスだ。

 召喚獣よりもステータスが高い。

 これも珍しい種族が故なのかもしれない。


「この後はどうする?今のままでは教えれる事はないが?」

「あ、ログアウトして寝ます。おやすみなさい」

「そうか」


 私はステータス画面を操作してオプションからログアウトする。


 私がログアウトした後に召喚獣や式神も応召されて消える。

 そこに残ったのは超越者の師匠だけだ。


「やっと妾に弟子が出来た」


 師匠は神社の階段に腰を下ろしてそう呟きながら空を見ている。

 そして、唐突に階段をグーパンで殴る。

 その顔は悔しそと羨ましさが混ざったような顔だった。


「妾は何回も転生して!この年で超越者になって成長が止まってこんなちんちくりんな体なのに!妾の弟子はあんなにスタイルが良いとは、いやはや妾だって前世はなかなか良かった筈だ。いや、前前前世だったか?」


 その後、師匠は自分が納得するまで自問自答を繰り返した。


 ◆


「う、うん〜。もうすぐ0時か〜明日は買い物に行く予定だし寝ないとね」


 私はハードを頭から取って机に置いて寝る。


「おやすみなさい」


 ただの独り言である。


 翌日


 朝の6時である。


「おはよう」


 私はパジャマ姿でリビングに向かった。

 机にベーコンエッグに食パンがあった。

 そこに1枚の紙も添えて。


「えーと、先に食べてゲームしているからこれを温めて食べてね。桃達も食べ終えてゲームやっているからそこのところよろしく!ちなみに買い出しして欲しい物リストも作ったのでよろしくお願いします。お金は玄関に置いてあるから、自分の好きな物やお釣りは貰って良いよ。ではよろしく頼みます。か」


 私は朝食を食べて軽めの運動をしてから9時にアラームを付けて着替え、二度寝する。


「ほんと、新作ゲームする時は起きるの速いよね皆。あ、寝てないのかな」


 私は意識を暗闇に投げた。


 ピピピ


 アラームを解除してエコバック、財布、買い物リストを持って外に出る。


「眩しっ」


 日光が直で来た。

 今は夏なので熱い。


 私は自転車で近くのスーパーに出かけて行った。


 スーパーに付いたので自転車置き場に自転車を置いてから荷物を持ってスーパーに入る。

 入口の自動ドアの前に果物が少しあったが、食べたいと思う物が無かったのでスルーする。

 カートとカゴを用意して中に入る。


 中に入ると果物や野菜等が並んで、奥の左側には冷やしてある納豆や豆腐等が置いてある場所がある。

 そこに向かって納豆や豆腐、桃ちゃんの好きな漬物をカゴに入れていく。

 後は野菜も入れていく。

 奥に進むと魚がメインなエリアになるが、今日は魚を買う予定は無いのでスルーする。

 そのまままっすぐ進むと惣菜があるのだが、基本は自分達でそのまま通る。

 惣菜エリアを抜けると精肉エリアとなり、肉を数パック買っていく。

 後は天井の方に製品種類の名前があるが、よく来るので場所が分かるのでスラスラと目的の所に向かう。

 麺類やコショウと塩の在庫も補充して、ポン酢に焼肉のタレ(塩)と青じそドレッシングにマヨネーズも買う。

 家の家庭では基本焼肉のタレは塩である。

 ケチャップはあるので買わなずに、味噌に後はツナ缶も買っておく。

 後はトーストパンも買って、メロンパンが食べたいと柑ちゃんの意見があったのでメロンパンを入れておく。

 米はまだ在庫があるので買わなくても良いのは嬉しかった。

 さすがに重いからね。

 他にも使う調味料等をカゴに入れてからレジに並ぶ。


 少ししてレジを通してエコバックに製品を入れてからカゴを返して自転車の所に向かって自転車に落ちないように固定してから帰る。


「にしても重いな」


 帰りの途中に交番があるのだが、そこから友達が老婆と共に出てきた。

 友達は顔を下げている。老婆は困った顔をしている。


貴美きみちゃん?」

「ん?あら、萌南さんではありませんか」

「もしかしていつもの?」

「はい。今日の番の人は私の事を知らない人だったようで」

「はは、災難だったね」


 まさか友達に会うとは思わなかった。

 貴美ちゃんは私の友達の中で1番可哀想な人だ。

 動きに気品があり、遠目から見ても美しいと思ってしまうクールタイプの女性だ。

 性格は優しく老若男女隔てなく接する。

 悪を嫌い、いじめを学校から消した張本人であり、教師方からの評価も高い。

 中学からの友達である。

 が、この貴美ちゃんは入学当初はものすごく周りから勘違いされていた。

 なぜなら貴美ちゃんも気にしているのだが、目付きが怖いのだ。

 真顔でも睨まれるような感覚になってしまう。

 接して仲良くなると全く感じないけどね。

 後、気品があり、普段の言動も綺麗で美しいのだが、空手有段者である。

 なのでとても強い。


「買い物ですか?」

「そう、今帰る所」

「そうですか?途中まで一緒の道なのでどうですか?」

「良いよ。その方が楽しいからね」

「ありがとうございます。お婆さん、今後気を付けて下さいね」

「はい、今日は大変助かりました」

「いえいえ。人として当然の事をしただけですから」

「いやはや、礼をしたいのですが・・・・・」

「そんな気にしないで下さい」

「ありがとうございます。助けて頂いたのに警察にお世話になる事になってしまって・・・・・」

「いいんですよ。いつもの事ですから。慣れてます!お婆さんが居てくれたから説得が速く終わりましたからね!」

「ほんと、ありがとうございます。それではこれで」

「こちらこそ」


 私は自転車から降りて手で押しながら貴美ちゃんと話す。


「今日は何があったの?」

「今日はあのお婆さんが不良に財布を持って行かれそうだったのを見かけて注意したら逆ギレされたから一撃貰ってから反撃して財布を取り返してお婆さんに返した所を見られて奪っていると勘違いされて連れて来られました」

「あはは、相変わらずだね」

「いや、もう慣れてますから」

「それは慣れていいモノなのかな?」

「どうでしょうね」


 ちなみにこの貴美ちゃんは高校入学当初は登校中誰かを助けて遅刻しても嘘だと思われていた。

 助けた人が学校に連絡してお礼をしたい旨を伝えた事によってその理由が本当であったと証明された例がある。

 何回か遅刻している貴美ちゃんの理由は全てが人助けだ。

 中には駅まで付いて行って案内したり、探し物を手伝ったりと色々とある。

 なので今では遅刻しても『またいつものか』で片付けられる。

 成績は普通に良いので今では貴美ちゃんの遅刻イコール良い行いをしたである。

 貴美ちゃんは良く問題に会う体質なようだ。


「最近は何をなさっているんですか?」

「えっとね。VRゲームのNewWorldFrontierってゲームだよ」

「えぇ!萌南さんがゲームをしているんですか!」

「そうだよ。家族総出でやってるよ」

「家族総出?でも、萌南さんがゲームって珍しいですね」

「そうかな?」

「そうですよ。私も一緒に遊びたくてオススメしたゲームも続かなかったのですから」

「あはは、ごめんね」

「別に怒ってませんよ。ちなみに私の中の萌南さんは動物の写真を見てぐへへってしているイメージです」

「え!そうなの?!」

「冗談です」


 クスリと笑う貴美ちゃん。私をからかったようだ。


「私もそのゲームしてますよ」

「そうなの!じゃいつか一緒にやろ!」

「はい!あ、そのゲームが続けられる理由は?」

「動物に触れる!」

「なるほど納得です」


 貴美ちゃんは私の動物嫌われ体質と動物好きを理解してくれている。


「あ、私この道右だからまたね!」

「はい、また」


 手を振ってお別れした。

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