第133話クラン戦争開戦
サエは半分の力を使う事にした。
配分はSTRとAGIである。躱し、倒す。
「分離体!
【覚醒】を半分まですると使える武器の闇の能力、分離体。
自身の闇を分裂させ形成し、サナが操作する。
「クハハハ! 遂に戦えるぞ!」
「あぁ。だけど、
地面に広がる闇から剣を持った兵士が現れる。
性能は下がるが兵士1人1人にサナが憑依されている。
結果として、思考可能で生産可能な兵力だ。
だが、兵士は分離体では無いので、兵士がきちんと盾や剣で防いだり受け流さない限りサエがダメージを受ける。
VIT等が低いサエ。兵士が諸に攻撃を受けたら、サエは一撃でお陀仏だ。
兵士のステータスはサエのステータス。兵士が受けるダメージはサエが受けるダメージ。
だが、その戦力は絶大だった。
何よりも、彼らの本質は『闇』だからだ。
迫り来る司法森羅のメンバー達。
シュバルツが地面を滑るように移動して、接近して爪を振るう。
爪痕のダメージエフェクトを散らしながらノックバックする。
「ぐああ!」
ノックバックし、地面に倒れた所を兵士数体が襲い掛かり、撃破する。
サナが全て操作しているからこそ出来る阿吽。
「本体はこっちか!」
サエ本体に向かって攻めるプレイヤー。
闇を足場から抜き取り、体験を形成して振るわれる剣を弾き、床の闇を操作して前のプレイヤーのように打ち上げて落下させ倒す。
サエの闇が届く範囲内のプレイヤーは倒せるが、攻略法が分からず理不尽に苛まれ蹂躙される羽目になる。
兵士に攻撃しようとしても、兵士が見るのは全てサナが認識。
兵士の背後を取っても違う兵士がソレを見ていれば、攻撃される兵士はその前に闇に戻れば攻撃は躱せる。
再び兵士を形成して攻撃して行く。
夜に紛れているので闇の存在はなかなか認知されない。
一方シュラ。
シュラの顔の横や後ろにはビー玉のような物が現れている。
これはメルが共有で見る時に360度確認出来るからだ。
シュラが持つのはユシル。
シュラの周りを飛ぶのは3本の刃と球体。
フラア、シルレ、フレである。
シュラがプレイヤーの大群へと向かって地を蹴る。
槍を構える敵プレイヤー達。放たれる矢。
フレアが2本に別れ、片方に炎が纏い、もう片方に水が宿る。
剣が空を舞い、矢を弾く。
「くらぇ!」
背後に高速で接近したアサシンが2本の短剣を振るうが、上手く振るえない。
理由は簡単だ。背後の刃から出された接着剤に寄って腕を振るえないのだ。
心臓の部分に刃が刺さり、頭上から球体で攻撃し、首を大きな刃で刺す。
耐久が低いアサシンのHPは素早くゼロに成った。
「なんだ、あれ」
左右から隙を見て攻撃しようとしていたプレイヤーの攻撃は剣と思われたが盾で防がれ、反対は首に鞭のような剣に巻かれ、空に飛びながら首が切れて行く。
「行クゾ」
圧倒的な技術の剣術と油断の無い前方の視界。
だけでは無く、空から降ってくるのは弾丸である。
一方グリムは羽を数枚取り出し剣を形成して飛びながら剣を振るって攻撃をしている。
攻撃が防がれた空へと逃げるヒットアンドアウェイで戦っている。
時に魔法を放っている。
「【
黒色の炎の球体が左手に生成され、下にいるプレイヤーに落とされる。
「あの4人の手助けに行かせないようにしないとね」
グリムは隙が大きい技以外でサエよりも破壊力が無い。グリムはシュラよりも技術が低い。
他の人よりも自分が劣る。グリムはそれを理解していた。
自分がこのクランで1番弱いと。だからせめて皆の役に、モフリ、ムニン、オレン、セカイの邪魔をさせないようにする。
それが、グリムの考えだ。
◇
「報復に来たよ! サトシさん」
「そのようだね」
私の左隣にはセカイちゃん。反対にムニンちゃんが居る。
真上にはクランがあり、ハクちゃんのバフ、クロちゃんの反デバフ。
「無謀だね! 4人相手に3人って」
「うん」
「だな」
「そんなの関係無いよ。さぁ、やろうか!」
最初の一撃は、真上に居るマナちゃんだ!
「マナちゃん!」
「ギャラー!」
マナちゃんが虹色のブレスが4人に向かって降り注ぐ。
「まずい! 【プロテクトシールド!】」
さぁ。開戦の狼煙は降ろされた。
私はイサちゃんを召喚してサトシさんに突っ込んでサトシさんを連れて奥へと進み、壁を壊して奥へと進む。
「そりゃあ!」
イサちゃんの顔を蹴り飛ばして脱出して地面に着地する。
「イサちゃんはマナちゃん達と他の人を倒して来て」
「ガルル」
「問題無い。これは報復だよ。私1人でやる」
「ガル」
私は右手を掲げる。
「【
「ほう。今度は刀か?」
「まあね」
ネマちゃんは私の背後にいる。
さて、行こうか。
『じゃぁ! 行くぜ!』
体はモナ。右目と口は私。
そして、相手の行動を予測するのはナミ担当だ。
サトシさんに接近して刀を振るう。
大剣で防がれ、回し蹴りを放たれるが軽く跳躍して躱し、刀を突き出す。
「速いな」
「思い切りと判断は自身あるよ!」
感覚と本能の塊であるモナのお陰で思い切りが良い。計算と理性の塊であるナミがいれば判断は素早く行える。
「【断罪】」
スキルに寄って加速した刃が振り下ろされる。
だけどね。その程度なら躱せる。
後ろに大きくバックステップして躱し、すぐに地を蹴り接近する。
刀を振り下ろす。大剣で防がれ火花を散らす。
「今度はその
「そう簡単には行きませんよ! 勝つのは私、私達です!」
◇
オレンは司法森羅のクランホーム内を爆走していた。
時々すれ違う人に対しては跳んで躱している。
そして、遂に『核玉』が置かれている場所へと来た。
来たのだが、その重要な物が無かった。
「ナミ姉さんの言った通りになったな」
ナミは皆に、あの双子は本当に何を考えているか分からない。最悪な想定も考えて『核玉』は違う場所に隠している可能性がある。移動する事自体は可能だからな。復活は『核玉』のあるところだし、と。
そうとあればオレンが行く所は決まっている。
現在のムニンは紅色の光で伸びた角、耳飾りは淡く光、腕輪からは紅色の火がぼうぼうと小さく漏れで居る。髪飾りはより鮮やかに成っている。
両手に持つ、包丁のような短剣は紅色に染っていた。
「魔法は使わせない」
「速い⋯⋯速すぎる!」
目視不可の接近。反応不可の横薙ぎの短剣。
斬られるラン。
「くっ」
「ラン!」
「集中して。深く入った。⋯⋯いや、かなり浅い? あれ? HP1割減ってない」
【真鬼】のステータス倍加は武器には反映されない。反映されるのはエフェクトだけだ。
武器だけではあまり火力は出ない。
(加速溜めしたいけど、あれ沢山走らないといけないし、それだと魔法使われそう。範囲魔法はこの大群近くでやって欲しくないしな。はぁ。辛)
だけどそこはプロゲーマー。この方が燃える。
「【
「はん! そんなデバフ意味無いし!」
STRはゼロ。大抵のデバフ(クロ含め)本来のステータスの何パーセントダウンだ。
しかし、リンのデバフは違った。
「な、固定ダウン!」
「そう。これは強制的にSTR100ダウン」
STRが100以外ならゼロにする。普通に強力なデバフ。
だが、ここはネマの空間。混沌とした空間。
故に、それはムニンにとっては⋯⋯満面の笑みが浮かぶ程に最高のデバフだった。
「最高じゃん! 私達相性いいんじゃない?」
相手に取っては意味不明。完全に
だが、ムニンからしてみたらSTRが100手に入り、【真鬼】とハク達のバフに寄って上昇し、その数値は300は優に超える。
これに寄って、ランが勝てる可能性はかなり低く成った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます