第10話神社に行って来ます

 

「あ、洗い物手伝うね」

「ありがと桃ちゃん」


 私達は洗い物をする。

 桃ちゃんが袖を上げると右腕に細い、小さい、しかしくっきりとした切り傷がある。

 私は無意識にその切り傷に触る。


「あ、これは大分治って来たよ!」

「そっか、それは、良かったよ」


 この切り傷がどうして出来たのか、それは私は分かっていない。いや、覚えていない。

 何かあったのは知っている。その日は桃ちゃんと買い物に行って、帰りに何かあって、起きたら病室で桃ちゃんは隣のベットに寝ていた。

 桃ちゃんは私のお陰で助かったと言っていたが、何故だか分からない。


 洗い物終えて軽くストレッチをしてからお風呂が沸いたので順に入って皆、部屋に入っていく。


「本当に皆オールするのかな?私は途中で寝ないとな」


 私はオールする気合いはないので途中で辞めて寝る予定だ。


「さて、ハムちゃん、ネマちゃん、イサちゃん、待っててね!」


 私はログインする。


「ふむ、ログアウトしたところだね」


 まずはスライムさんで練習していた時に手に入れていた大量のスライムゼリーとゆうアイテムを全て換金する。

 これで5350Gになって、スライムさん練習の間に麻痺の霊符が14枚になった。

 きっと役に立つ筈だ。


「スライムさんにも試しておけば良かった」


 やってしまったよ。

 私は職業専門店にて買い物をする。

 宿の部屋も欲しいのでその分は取っておいて、後は何かが追加されていた。


【召喚獣用の餌】


 詳細を確認したところ、召喚獣との絆が深まるアイテムのようだ。

 値段は1000Gで、10回使用可能なようだ。

 しかし、餌を入れる皿がないので後で何か買っておこうと思う。

 1つ、購入して霊符を20枚購入した。

 残りは2350Gなので宿は2000Gでゲーム内時間で2週間分なので2週間分取っておく。

 宿の部屋に居るとHPとMPの回復速度が上昇するだけではなく、召喚獣の召喚制限が無くなるのだ。

 つまり、ハムちゃん、ネマちゃん、イサちゃんを同時にモフモフ出来るとゆう最高最強のサブ機能がある。

 これは2000Gでも安いと感じる程の性能である。


 宿を取って、部屋に向かう。

 勿論、モフモフする為でもあるが、霊符の作成もしておく。

 妖火と麻痺を互いに10枚作成しておこうと思う。

 今の私のMPは160なのですぐに終わるだろう。

 作成には作成とスキルを使うと体が自動的に動いて霊符に術式を書いて行くのだ。

 この感覚はどうしてもなれない。勝手に体が動くのだ。気持ち悪いのだ。


 さて、作成は終わった。お待ちかねの癒しタイムだ!


召喚サモン!ハムちゃん、ネマちゃん、イサちゃん」

「ちゅん!」

「にゃ〜」

「ワン!」

「えい!」


 3匹を抱いてベットにダイブする。

 顔にハムちゃんが乗ってきて顔に毛が当たりくすぐったい。

 巫女服の中にネマちゃんが入って来て体の表面でネマちゃんの毛並みを感じて、両手でなでなでしてイサちゃんの毛並みを触る。

 皆が動くので体全体でモフを味わえた。


「⋯⋯私、ここに引き篭もろうかな?」

「ちゅん!」

「にゃん!」

「わん!」


 皆から否定された。

 ハムちゃんはダメだよーって感じで顔をペチペチ、ネマちゃんは頬っぺたをダメだぞって感じでその柔らかな肉球でペタペタ、イサちゃんはちゃんと外に出ないとダメだよって感じで耳を甘噛み。


「⋯⋯これは寧ろ出たく無くなるのでは?」

「ちゅん!」

「にゃん!」

「わん!」


 皆が一斉に離れていく。


「いやー離れないでよー私のメンタルが一瞬で崩壊するよー」


 モフモフしたいのできちんと外には出る事にする。

 スライムさんのお陰で大分お祓い棒の扱いに慣れたのでお祓い棒で攻撃が当たらないとゆう事故は避けれる筈だ。

 黒狐の仮面を付けて、今度こそ、今度こそ周りの目線を無視して冒険者ギルドに向かう。

 時間が時間なのか、他にも理由があるのか、分からないが冒険者ギルドにはあまり人がいなかった。


「あっちがパーティ募集の掲示板かな」


 パーティ募集!とゆう看板がデカデカとあったのであれだと一目で分かる。

 私はそこの掲示板の方に向かうと、1つのパネルが出てくる。

 そこには色んな人の名前やらなんやらが載っていた。


「これがパーティ募集の一覧表か」


 うむ、まだ私は下手で弱いのでもう少しプレイに慣れてからパーティには参加する事にするよ!


「ゆっくりしてなかったからな〜」


 まずはこの国を色々と見て回ろうと思う。


「地図地図」


 冒険者ギルドにはこの国の地図を無償で配っているようで、それを貰う。

 私は宿に戻ってから地図を広げてどこら辺を重点的に回ろうかと考える。


「あれ?ここは国なのに神社があるんだ」


 私は神社に行くことにした。

 巫女なので何かあるかもしれないと思ったからだ。


「そ、の、ま、え、に!」


 皆を呼び出してモフモフしてから向かう。


 神社は高い階段の後にあるようで、下からだと神社の本体が見えない。


「スーハー、ここ、登るの?」


 え、辛くない?ま、登るけどね!

 1段1段ゆったりと登っていると時間が掛かると感じたので1段飛ばしでどんどん登っていく。


「階段を走りながら登るのって爽快だけど、怖いな〜国の中なならHP減らないようだけどね」


 そろそろ鳥井が見える。さあ、そろそろ潜るよ。

 そして、目の前には⋯⋯


「ふぇ?」


 ⋯⋯階段が続いていた。


「え、ちょ、え、えっと、あ、ああ!道を間違えたのか!」


 1本道の階段で道を間違える?きっとあるだろう。

 まずは鳥井が後ろにあるので潜る。

 鳥井の奥には神社、普通に良くある形の神社。

 鳥井を潜る。目の前には神社も見えない長々とした階段。

 最初登った階段が可愛く思える程の長い階段。

 それがたんたんと天に向かって伸びていた。


「いや、まだ、まだだ!また、道を間違えた可能性が!」


 階段下まで降りてからもう一度丁寧に登り、鳥井を潜る。


「うん!見間違えじゃないね!⋯⋯召喚サモンハムちゃん!」


 私はハムちゃんを肩に乗せて、気合いと共に登っていく。

 ここからはハムちゃんとゆう癒しを持って長い長い戦闘をしないといけない。

 さらに、同じ景色、同じ階段、代わり映えのしない階段を登るのだ。

 狂わないように気を付けよう。


「ハムちゃん、頑張って行くよ!」

「ちゅん!」


 私は登っていく。

 その先に何があるのかと、期待をしながら。


「1分でどのくらい登れるか見てみようかな?」

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