第9話スライムを憎みし者
今は森と国の間の草原にいる。
「はぁ〜びっくりした。まさか10秒くらいしか麻痺が続かないとは⋯⋯うぅイサちゃ〜ん」
「ワフ」
私はイサちゃんを抱き抱えてモフモフする。
HPが半分くらいまで減ってしまった。
「む?ここの草原はスライムが多いんだね。⋯⋯よし!お祓い棒の練習しますか!」
私はイサちゃんに見ていてと言ってからスライムの群れのところに行ってお祓い棒の練習をする。
妖術は使いません。
「そりゃあ!」
まずは近くのスライムをスイングして飛ばす。
「プルプル!」
「う、一気に来るのね。でも、三体なら!」
私は気合いを入れて地を蹴って正面のスライムにお祓い棒を振り下ろす。
「痛いよ!」
横から体当たりされたので急いで後ろに下がってスイングしてスライムを飛ばして時には突きで刺したり。刺さんないけど。
「お祓い棒の使い方ってこれであっているのかな?」
分からないけど攻撃を完璧に当たれるように練習はしないとね!
スライムはぽよぽよ動いて来るので最初の練習相手には調度良いでしょう。そこまで強くないしね!
私はスライムをひたすら倒して練習を重ねた。
《条件を満たしました。スキル:棒の心得Lv1を獲得しました》
「お、スキル獲得したの!」
───────
スキル:棒の心得Lv1
内容:棒を使い続けてその使い方を覚えてきた時に得られるスキル。STRに補正。STR+スキルLv
───────
お、ありがたい。
「スライムさん!まだまだお願いしますよ!」
その後、100匹程倒したところで変化が起きた。
《連続で100体同種のモンスターを倒しました。続けて同種を倒しても経験値を獲得出来ません》
「そ、そんな仕様が⋯⋯ま、まあ練習だし。スライムさん、お願いします!」
そう言って私は再びスライムさんを倒しながら棒の練習をする事にした。
棒の心得がLv3に、Lvが6に上がった。
SPが10になったのでそれを全てMPに振った。
妖術にも霊符にもMPを使うから間違いないと思っている。
「ここら辺スライムさん少なくなっちゃったな」
「ワン」
イサちゃんがジト目で見てくるよ!なんで!
ただお祓い棒の扱い方の練習の為にスライムさんを(リアル時間)4時間程戦っていただけではないか!
ま、まだ続けるけどね。
「イサちゃんモフモフさせて〜」
これでモチベ回復なり!
さて、再びスライムさんを練習台としてお祓い棒を練習していく。
それからも数時間経ったが棒の心得のLvが上がる事はなかったが、広々とした空間なら大分上手くなったと思う。
ま、比べる相手がいないので分からないけどね!
「スライムさん何匹倒したのだろうか?」
あ、もう一体スライムさんがいたので倒しておく。
《条件を満たしました。称号:スライムを憎みし者を獲得しました》
「え、私スライムさんなんて憎んでないんだけど」
───────
スライムを憎みし者
スライム連続で1000体を連続で集中的に倒した者に与えられる称号。スライム系統と戦闘する時に与えるダメージが増える
───────
「いや、憎み関係ないやん」
このゲームの称号の名前と内容が合っていないような気がする。
いや、まあ確かに経験値も入らないのに集中的に倒していたら憎んでいると思われるかもしれないけど、⋯⋯こんな称号嫌だな。
スライム系統にダメージが上がるのは嬉しいけどね。
隠蔽で称号は楽しむ者以外隠しておこう。
裸の踏破者とか恥ずかしいし、初の伝説はレジェンド職業持ちだとバレたくないし、スライムを憎みし者は頭のおかしい人だと思われそう。
スライムさんごめんね。
「スライムゼリーってアイテムも結構集まったな〜全部換金かな?と、そろそろ晩御飯の時間だね」
国の中に入ってログアウトする。
◆
「う、うん〜」
私はハードを外して伸びをする。
今は19時だ。
昼の時と同じようにメッセージを送って私は晩御飯の準備をする。
「生姜焼きにしようかな」
どうせ終わるまで1時間くらいの時間を要するし生姜焼きでも良いだろうと予想する。
昼の間にご飯も炊いている。
「明日は買い物に行かないとな〜」
冷蔵庫の中も大分減って来たので明日買い物に行って1週間分の食材は買っておこう。
私は自分でも驚く程にゲームにハマっている。
私は次なログインしたら何をしようかなと考えながら生姜焼きを作っていく。
『おまたせ〜』
「まさかの2時間!」
予想よりも圧倒的に長かったよ!
私は皆分の食器を並べて皆が席に着いた。
『頂きます』
私達は晩御飯を食べる事にした。
「あ、そう言えばお父さん達と合流するのっていつになるの?」
「え、お姉さん何言ってるの?」
「そうだよ萌南、何言ってるのよ?」
「え、家族みんなでパーティ組むんでしょ?」
『いやいやないない』
「え」
家族皆から否定される。
「どうして、違うの?」
「確かにお姉さんと私達双子は合流する予定です」
「え、お父さんとお母さんは?」
「パパとママはパパとママで合流します」
「え、なんで?」
「なんでってそりゃあ」
『両親(娘達)とパーティ組むとか気まずいやん』
「え、そうなの?」
「両親が見ていないからこそ楽しめる自由がある」
「娘達が見ていないからはっちゃけても大丈夫!」
私には分からない。いずれ分かるようになるだろうか?
「お姉さんはいつ頃に合流したいとかある?」
「ん〜特にないかな?」
「なら、もう少しゆっくり楽しもうね!パーティ組むと自由が少し減るから」
「そうなの?」
「そうそう、私達は姉妹だけど個人でやりたい事もあるからね。私達の予想ではいずれギルドみたいな機能が来ると思うけど、それまではパーティを組むからね。パーティメンバーが離れても問題ないと思うけど、臨時なので組む時面倒だから⋯⋯」
「う〜ん。ギルド云々は分からないけど。分かったよ」
お父さんが机を叩く。
「どうしたのお父さん!」
「俺が、萌南が中学に上がってから1年に1回あげている手作りゲーム知識本を、読んでないのか!」
「え、あ、ああ」
確かにそんなのあったな〜。
中学に上がって小学の時の復習でもしようかなって思って小学の教科書開いてたら『そんな事よりこれを読むべし、一緒にゲームを楽しもう!』って言ってこれまで毎年1冊くれていた。
1度も開く事無く押し入れに封印していた。
読んだか聞かれた時に適当に流していた事を今になって思い出す。
「え、えっと、そのー」
「お父さん悲しいよ。寝る間も惜しんで製作したのに!萌南もゲームを面白そうだと思ってやってくれる事を期待して製作したのに!」
「パパ大丈夫だよ!お姉さんは今、ゲームを楽しんでいる!だからパパの頑張りは無駄じゃないよ!」
「そうよ!」「ウンウン」
「え、えっと、そのーなんか、ごめんなさい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます