第29話イベント開始


『いやハロー、今回のイベント情報のおさらいだよ!まず、イベント開始後にバトルロイヤル用のフィールドに全員で転移されます!その場所では魔物も勿論居る。そして、全域PvPエアリとなってます!安全圏内を設定されており、時間経過ごとに狭くなっていくFPSゲームのような設定もあるよ!全方位警戒で制限時間は7日、リアルでは1時間の時間となっております!この中ではプレイヤー等のLvは上がらないけどスキルLvは上がるから注意してね?スキルLv上げる為に参加した人も居るかもしれないけど、沢山のプレイヤーの中で悠長にスキルLvを上げれる時間があるかな?それでは開始まで残り2分、ペアの人と最終確認をしておくように!それでは!』


 もゆう運営の言葉を最後にゲームのウィンドウは閉じた。


「さて、最終確認ですが、転移した先がどんな所でも冷静に状況把握してからですからね」

「オーケーであります!」

「ふふ、そのノリはいつまで続けるんですか?」

「今、この場で終わります!改めてありがとう、そして、よろしくねセカイちゃん」

「ええ」


 私達はバトルロイヤル用のフィールドに転移した。

 転移した先で1番最初に目をしたのは大きな木であった。


「森かな?」


 周りもを見渡すも、木、木、木、草、雲、地面の土、うさぎである。

 ⋯⋯う、うさぎ!


「セカイちゃんセカイちゃん大変だよ!私に語り掛けて来るように見てくるうさぎちゃんが居るよ!どうしよう!イベント忘れて触りたい撫でたい愛でたいよ!」

「お、落ち着いてください。警戒してください。始まったばかりだから使役獣の可能性は低いですが、その代わり召喚獣の可能性が高いです」

「で、でも、あんな真っ白で綺麗な毛並みにつぶらな赤色の瞳、そして今でも肉に食らいつきそうな犬歯!どっからどう見ても⋯⋯危ないですね、はい」

「冷静になりましたか」

「はい」


 口からはみ出す犬歯をうさぎちゃんが持っている訳が無い。

 あれはうさぎちゃんの見た目をしたうさぎである。


「クハハ、初心者ペアかと思ったがそうでは内容だな」


 おじさんのような声と共に、木の上から2人のおじさんが落ちて来てポーズを決める。

 1人は赤色の髪をしたおじさん、髭が長い。

 もう1人は青色の髪をして口髭が長いおじさんである。


「「我々は召喚士ペアである!最大6体の召喚獣相手にどうやって戦うのか見せて貰おうでは無いか!」」

「1人三体⋯⋯つまりは1度進化をしているとゆう事ですね」

「察しが速い嬢ちゃんだな。さあ、我々の軍勢相手にどう出る!」


 私も三体出せますし!⋯⋯1匹は式神で召喚獣言って良いのか怪しいけどね。

 でも、一向に召喚させるような素振りを見せて来ない。


「既に召喚している可能性がありますね」

「冷静に作戦会議かい?武闘家の嬢ちゃんと巫女服の嬢ちゃん!」


 巫女服、巫女ではなく巫女服か〜やっぱり巫女って職業は普通にはないのか。

 コスプレって思われて無いよね?無いよね?


「さあ、行けラビット、食らいつきだ!特殊進化した我のラビットの威力を見よ!」


 赤色のおじさん、略して赤じぃの召喚獣なようでうさぎがこちらに向かって来る。

 しかし、私は見ていた。一瞬うさぎの足が後退った事を。私は見逃さない。絶対にだ。


「なんで、敵の召喚獣もそうなるんだあああ!」

「モフリさん?!」

「セカイちゃん行くよ!あのうさぎはともかく、おじさん達は許さないからね!」

「「何たる言いがかり!」」

「セカイちゃん、私に合わせて!」

「分かりました!モフリさんに合わせるのは慣れてます!」


 その言い回しはそのーなんかー引っ掛かるな〜。


 私は気を引き締めて風足の術を構築しておく。

 構築も今ではだいぶ慣れてすんなり構築出来る。

 後はタイミングである。

 うさぎが私の目の前まで来て、その牙を剥き出しにした瞬間に術を展開し、風足で瞬時に横に動いて正面に向かって進む。

 風足を利用しての前進移動なのでその速度はステータスの数値よりも圧倒的に速い。

 ま、それを使いこなせるこなせないは人それぞれだけどね。

 私のやり方はこうだ。


「風弾!」


 風弾を使って青じぃを軽く吹き飛ばして、風足を使って上に跳ぶ。

 その間にセカイちゃんは【縮地】を使っておじさん達に接近している。

 おじさん達は召喚士、私のようなイレギュラーな存在ではない限り近接戦闘は苦手な筈だ。

 ま、現実は非常であるが。


 おじさん達は新たに召喚獣を一体づつ召喚し、うさぎを呼び戻しながら短剣を抜いて上手く立ち回っている。その全てに対応しているセカイちゃんは流石である。

 新たに出て来た召喚獣は鷹のような鳥であった。

 2人ともそうだ。


 私は状況把握を終えてたので召喚士としての戦いをしようと思う。


召喚サモンネマちゃん、ハクちゃんも召喚」


 私は落下しながらネマちゃんとハクちゃんを呼ぶ。

 ハクちゃんは私の肩に、ネマちゃんは私の背中で巫女服の中に入る。


「ハクちゃん、バフをお願い」


 私は体の向きを整えて着地し、ハクちゃんに妖術バフを貰って風刀をうさぎに放つ。

 10メートルなら真っ直ぐ飛ばせるようになった風刀。

 うさぎに大ダメージを与える事には成功した事だろう。

 私はうさぎに向かって接近してお祓い棒を振り下ろして叩く。


「フギュ」


 痛みに耐えような呻き声をしたうさぎに私は罪悪感に後退るがここはゲームであり、あれは敵、魔物だと意識して何とか倒す。


「なかなかやるようだな!しかし、これならどうかな!」


 再び一体づつ、この場合て赤じぃの召喚枠は消えた。信じるなら。

 おじさん達の出した召喚獣は私の腰までありそうな大きさのモスコプスである。


「セカイちゃん」

「そうだね」


 セカイちゃんと私は一旦おじさん達と距離を取る。

 相手は鳥2体にモスコプス2体である。


「トカゲからの進化個体のようね」

「そうだね。なんの攻撃してくるかな?」

「まだ分かりませんがあの青色の人の最後の召喚獣が分かりません。警戒してください。短剣の扱いを見ると低レベルの短剣使いよりも強いですよ」

「分かったよ!」


 セカイちゃんがゆうのならそうなのだろう。

 ⋯⋯最後の一体は何処かに隠れている可能性があるよね。

 私の憶測だけど、すぐに私達に仕掛けて来た事と絶対的な自信が相手にある。

 相手の情報を調べる事もしないですぐに仕掛けて来たのだ。

 さらに、相手は2人とも召喚士の次の職業な筈。

 つまり、実力は私以上だと考えて良いだろう。

 初っ端からあの技を使うかもしれない。

 あれは目立つのでなるべく使いたくないのが本音だ。

 私もセカイちゃんに協力しつつ戦いながら潜伏している最後の召喚獣を探す事に努めよう。

 きっと、セカイちゃんもそれを望んでいる筈である。伊達に長年親友をやって来た訳では無いのだ。


「行くよ!」

「ええ!序盤から負ける訳には行きませんからね!」


 私達は同時に地を蹴る。


「「来ると良い!」」


 対するはおじさん達。

 黒巫女召喚士&武術家と召喚士おじさんペアの勝負である。

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