第102話進化
「なぁ?アイツ今、ベルゼブブを吸収しなかったか?」
「したな」
ランスロットはゆっくりとモフリに近づく。
そして、手に持っている大剣を構えて振り下ろす。
「妾の弟子に何をしようとしている?」
そこに師匠が割り込み拳を握り締めてランスロットを殴る。
鎧が拳の形にへこみ吹き飛ぶ。
「なっ!」
「嘘でしょ!あのランスロットが!」
「⋯⋯そのエンブレムは天使教か?天使教の方針で魔に寝返る者を生かしておけないのは分かる。だけど、ここは任せて貰いたい。人間に危害が出るような真似はさせない。もしも、本当に殺戮の悪魔になったら、その時は妾が責任を持って、殺る」
「貴女の実力は分かったが、それは許容する事は出来ない」
「なら、天使を全員殺す」
師匠の隣にレイシアとマーリンが並ぶ。
ランスロットは後ろに居るタロットを見ると、真顔と冷や汗を見せながら高速で顔を縦に振っている。
「⋯⋯分かった。では、我々は帰る。タロット様、御足労有り難く思います。パナギア」
「【ヘブンズゲート】」
【ヘブンズゲート】は天界に繋ぐ扉を開くスキルだが、使用と同時にキャンセルすると帰りたい場所に繋ぐ仕様を利用して【ゲート】と言うスキルと同じ効果を得る事の出来る裏技がある。
消費MPは【ゲート】の方が低いが、【ゲート】は天使教の中では誰も使えない。
天使教の人達は帰還した。
タロットは光になり消える。皆を労るように皆に降り注ぐ光の雨。
師匠はモフリの方に振り返り、ボソリと呟く。
「速く、起きろよ」
そしてモフリの情報処理を終えて進化が始まる。
黒紫の光がモフリを包む。召喚獣、父親組、超越者組が見守る中、モフリの上にウィンドウが表示させる。
《種族:
《進化に伴い職業のLvを上昇させます。互いに20になります》
《称号を獲得しました。:【魔に堕ちし者】【悪魔に成りし者】【暴食の王】【古の悪魔を倒し者】【古の悪魔を吸収した者】【最終進化者】》
《特別条件を達成しました。称号:【魔王】を獲得しました》
《称号:【魔王】の効果で配下、6次未満の魔物を1段階進化します》
《ステータスが変化します》
《
《スキル:【深淵魔法】【上級魔法】の獲得が出来ません》
《代用として妖術:【深淵弾】【深淵の渦】【漆黒刀】【漆黒炎】》
《称号:【深淵の巫女】を獲得しました》
《スキル:【ブロックLv5】【パーフェクトキューブLvMAX】【飛翔LvMAX】を獲得しました》
次の瞬間空間が揺らいだ。
刹那、中性顔の何かが現れた。
「⋯⋯誰だ?」
警戒からドスの効いた声が師匠から漏れ出る。
「やぁ、自分の可愛い
「にゃ?」
ネマをゆっくりと指さし問うた。
この場の皆が意味が分からない顔をしているのを他所にその何かはネマに近づき片膝を着く。
「自己紹介をしよう。自分は自立型AI、ゴッズNO.0の
「⋯⋯」
「おい!ネマちゃん耳を貸すな!」
「どうだろうか?君は皆とは違う力を得る。皆とは違う進化をする。君はきっとモフリにとって特別な存在になる」
「どうだろう?」と言ってカオスは右手をネマに差し出す。
ネマは考える。断るか乗るか。
ネマはモフリの方を見る。そして、ベルゼブブとの戦いを思い出す。
モフリが変わってから全く出番の無い自分。進化したイサ。役割があるハク。そして、自分。
「にゃ」
ネマはカオスの手に自分の手を置いた。
「うん。契約成立。じゃあね皆。また会う日まで」
カオスは消えた。そこには何もいなかったかのように。
ネマに奇妙な痣が出て来て苦しみ出す。
もがき、苦しむネマを癒そうと近づくマーリンだったがネマが離れる。
《特定条件を達成しました。称号:【魔王】が【黒の魔王】に進化します》
《称号:【黒の魔王】により、6次以下の配下の魔物は1段階進化します》
結果的に、イサは6次進化を得て、ネマもそうなる。
ハム、カル、ハク、クロは4次進化に達した。
「にゃぁ、ああ、にゃあああ!」
イサはオルトロスに、ネマはカオスキャットに、ハムはジャイアントハムスター、カルはメカニクスタートルに、ハクとクロは互いに九尾になった。
「まだ、終わらないのか」
レイシアが呟く。
カオスと言うイレギュラーによって新たな情報が増えて情報処理に入っている。
だが、その間にも時間が進む。
「な、これは」
「⋯⋯時間か」
「パパ!」
魔法士骸骨と剣士骸骨は自分達の役目を終えた。
それはつまり、前世への役目が終わり成仏すると言う事。
これにより2人は天界を経由して輪廻の輪に返り新たな生命として蘇るだろう。
それが世界の設立であり倫理だ。
そう、ここに超越者がいなければ。
「いや、親孝行くらいはさせてよね。【契約隷属】」
「え」「あ?」
2人のアンデッドの魂に鎖が掛かる。
それは魂の繋がりの鎖。そして現世と言うここに繋ぎ止めた。
世界の倫理に逆らった行動をさらりとする娘に驚愕する父。
「簡単には逝かせないよ」
「はは、ほんと、お前はやる事成す事おかしいよ。昔から」
「ふふ」
「それに、こんな小さい状態で止まっ⋯⋯」
「ふふ」
魔法士骸骨は一言余計な事を言う前に気絶した。
アンデッドを気絶させる師匠の力。
「レイシア、お前も強くなったんだな」
「当然じゃん!私はパパと違って才能あるんだから」
「ははは、そうだな」
レイシアの頭をポンポンと手を当てるレイシアの父。
そして剣士骸骨は光出して複数のスケルトンナイトと分裂する。
「あ、パパが弱々しくなった」
「酷いなぁー」
「ねぇ〜私が蘇られせようか?私の魔法なら出来るけど?」
「いや、当面は辞めておいて。まだ世界が魂の因果を確立しないで蘇られせると砕ける」
「黒ちゃんがそう言うなら了解なり!」
尚、スケルトンナイトの中にもマーリンの親戚は居ない。
師匠はカオスの存在が気がかりになっていた。
神の知り合い等居ないからだ。正確には生きている中には居ない。
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