第65話助かる可能性
私は報酬を即回収した後にログアウトした。
ログアウトしている間はマナちゃんの呪いの効果が出ないからだ。
桃ちゃん達に協力を仰ごう。
◆
「あ、もう昼の時間か」
リビングに行くと母親が食事の準備をしていた。
「皆を呼んで来て貰える?」
「分かった〜」
皆を呼んで昼食を食べる事にした。
「ねぇねぇ桃ちゃん柑ちゃん聞いてよー実はマナちゃんがぁ〜───お父さん?お母さん何してるの?」
両手で耳を塞いで目を瞑っている。
「あ、もしかして情報漏洩防止のため?ごめんね、後で2人に話すから昼食食べて〜」
それからなんやかんやあって昼食を食べ終えて食後の休憩をしていると母のスマホに電話が掛かってくる。
「はい、もしもし⋯⋯あ、はいはい、なるほど、お断りします。え?ダメ?私達連休ですよ?⋯⋯え、延長していいから来てくれ?政府に関わる?知らんがな。頑張ってくださいよー行きたくないー。え、無理?えぇ、ゲー⋯⋯家族との時間を削るんですか?酷くないですか?⋯⋯え、んん〜分かりました。夫も連れて行きます」
電話を切って母は父に向き直る。
「じゃ、行こうか?」
「ノー」
「アナタ?私が居ないのに1人だけでプレイする気?私が許そでも?」
「いやいや、俺の上司なので、頑張ってください!」
「いやいや、アナタと私のスペックでほぼ一緒、仕事に関しては大差なし!つまりアナタが来れば効率2倍!はい決定行くよ」
「お断りします」
我が両親は結構凄い人だ。その分残念である。
元々は小さな会社に就職した2人は給料が低いと嘆き、それでも会社が小さいし実績も無いので上がらない。
そこで2人は奮闘し一騎当千レベルの活躍で会社を大きくしたそうだ。
そこで会社の社長や株主からも社長交代の願いが出たのだが⋯⋯2人して大量の自社の株を購入しているので交代は不可となり、ならば昇格って話を2人は遠慮する。
給料がかなり上がったので問題ないようだ。
だがそれはダメだとせめて片方は上がってくれとの事でジャンケンして母が上司となった。
上司に成りたくない理由は仕事が増えるから、なそうだ。
父と母の給料は変わらない。なぜなら会社に留めてないとダメだからだ。
こんな也だが2人は会社に取ってとても重要な2人だ。
他の大きな会社に今以上の給料で来ないかとスカウトされたらしいが⋯⋯どれも役職付きなので断ったそうだ。
その事に気づかない大企業の人達は今でもスカウトの話を出して、更に役職のランクを上げているようだ。
きっと、今後も気づく事はないだろう。
「アナタ、いい加減にしなよ?」
「あははは、はい」
ちなみに武力的な強さは母の方が強い。
片手でリンゴを粉砕出来る程度の握力は合ったりする。驚きである。普段は優しいし怒って居てもあまり怖くない。
だって怒って居ても理性があって物に当たらないように気をつけて居るからだ。
そして父と母は会社に出かけに行った。ちなみに会社はAIを作る会社だ。
実は私達は知らないのだが、2人が共同で作ったAIは政治にも使われる程の奴のようだ。
2人が出て行った後に妹達にマナちゃんの話とその生い立ちも話した。
「「おお、普通にクソゲー化している」」
「どうしたら良いのかな?」
「ん〜解呪すれば良いから──聖職者に連なる人達⋯⋯知り合いに居ないな〜柑は?」
「私に居ると?」
「ないよね」
「うん、私の知り合いは貴美さんとメルだけ」
「ん〜なんかそれっぽい場所会ったかな〜神ゲーだしなんかのイベントフラグだと思うけどな〜ムム」
「どうしよう〜マナちゃんが〜」
「それだけじゃなくて召喚獣の枠も丸々1つ潰れるからね。でも、超越者に関わりがあるだけ起こるボスモンスターか、他にもそんな人いるかな?」
「どうだろ?」
それから皆でネット等を使ったり貴美ちゃんや沙苗ちゃんにも何かしら知らないかと聞いてみた。
そしたらなんと沙苗ちゃんのおじいさんが知っているとの事だった。
沙苗ちゃんのおじいさんは観光などの楽しみ方をしているようでそれっぽい物を見つけたようで、マップの画像が来たのでそれを私のハードに転送してアッチでも見えるようにして私はログインした。ちなみに2人もだ。
まずはダンジョンから脱出、近くの国に【風足】を使って高速で戻り転移ポータルで最初の国に戻り【馬亭】と呼ばれる店に行って一時的に借りられる馬を借りてその場所に向かって進んで行った。
一か八かの賭けだ。
「お願い」
戦闘になったら即終わりだ。MP分の妖術しか使えない。霊符補充の時間なんてない。マナちゃんは応召出来なくなっているので私の巫女服の中には黒いカラスが苦しんで眠っている。
私は馬を走らせてその場所に向かっている。
私はただ祈ってその場所に向かうだけだった。
制限時間は179分である。
尚、死の宣告の時間は現実の時間のようなのでここでは358分だ。
◆
「ふんふんふん〜」
ケースを引きながら久しぶりに帰って来た日本の空気に鼻歌を鳴らしている女性が居た。
「まぁまぁ〜〜どごぉぉおー」
「おや?」
そこに号泣して母を探している正に迷子の女の子が居た。
これは自分の出番だと思った女性は女の子に接近した。
「お嬢さん、ここに貴方に似合う現代では珍しい現金の10円玉があります」
「えぇ?」
「あ、これは失敬。10円玉では無いですね。よーく見てくださいこの変哲も無いですがあまり見かけない10円玉をひと握り、そして開くとあら不思議、真っ赤な綺麗なバラになりました」
「⋯⋯」
「バラにはトゲが、それは危ない。両手で潰して広げると、トゲが無くなりました」
「すごい」
女性はクスリと笑い再び両手でトゲを取ったバラを潰し、広げるとドライフラワーに返信して、更に繰り返すとブローチに変化した。
「これぞマジック、どうぞお嬢さん。お母さんを一緒に探しましょう」
「うん!」
「あぁ!真子!」
「ママ!」
「あらま、速攻だね」
母親にお礼を言われた女性は空港を後にした。
女性の目指すは夏休みの間お世話になる貴美の家だ。
「いやー楽しみだな〜皆に会うの。個性豊かな友に会うの!」
その女性はタクシーに乗って目的に向かって進んだ。
◆
一方分けれた迷子の女の子と言えば。
「あのお姉さんなんでかためをがんたいで隠していたよ?」
「きっと目が悪いのよ」
「じゃあなんでキャリーケースに十字架とかドクロとか蛇(龍)がいたの?」
「きっと好きなのよ。気にしちゃダメだよ?泣いている子に手を差し伸べるのは良いけど、あの趣味は真似しちゃダメだからね」
「うん?」
「(我が子にあの領域には行かせてはダメ、しっかりしないと!)」
だが母親は思う。
(私も見せて貰ったけどあのマジック凄かったな〜もう1回みたい)
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