第12話超越者の弟子
それから3時間、鳥居を潜って4時間、リアル時間だと2時間が経過している。
「やっと、終わりが見えてきたよ」
「ちゅん」
「にゃ〜」
「く〜ん」
「よーし!最後は全力だ!」
私はハムちゃん達を抱えて階段をぴょんぴょん跳びながら登っていく。
鳥井の立体図がだんだん分かってきて、色が黒の所が赤、赤の所が黒、そのような鳥井であった。
私はほへーと思いながらさらにスピードを上げて登っていく。
「着いたーぁあ、あ?」
「ちゅん?」
「にゃん?」
「わん?」
鳥井は潜ってないが、見えたのはさらに続く階段だった。
「まさかの私の予想が当たっていたのか」
はは、もう笑うしかないね!
とりま鳥井を潜る。
すると、モヤッとした感覚に襲われ、それが治ると目の前には黒色で、屋根が赤の神社があった。
階段は神社に入るところにしか無かった。
「これは、ネマちゃんの予想が当たっているようだね」
「にゃん!」
ネマちゃんが手を上げてくる。
可愛い。とりあえず頭を撫でる。
「ふむ、お客とは珍しいのぉ」
「む?どこから?」
「目の前、の下」
「え、わぁ!」
「そこまで驚く必要はないだろうに」
私は目線を下げるとそこには私と同じような黒巫女服に草履、頭の横に黒狐の仮面を付けた幼女が居た。
おばあさんの風貌は一切ない。幼女だ。
「ど、どうしてよう⋯⋯ふべ」
「誰が幼女じゃ!妾は少女、分かったか?『幼』女ではなく『少』女じゃ!」
「ず、ずびばぜん」
ハムちゃん達は地面に降りている。そして、私は幼⋯⋯少女に腹を蹴られて噎せる。
「さて、本来のこの黒神社に来れた事からお主は黒巫女だな?ふむふむ、珍しいのぉ」
「にゃん?」
「ぬ?黒猫?黒犬?黒鼠?」
「ハムちゃん、ネマちゃん、イサちゃんです」
「ほほ、鼠がハムちゃんと言う名で、黒猫がネマちゃんと言う名、黒犬がイサちゃんと言う名か。ふむふむ、よろしゅうな」
ふむ、まさかの『ちゃん』まで名前扱いにされている?ま、いいか。
「にしても、お主は3匹も式神を持っているのか?」
ふむ?式神?
「いえ、ハムちゃん達は召喚獣です」
「はぁ?召喚獣だと?つまり、お主は黒巫女ではなく召喚士とやらか?」
「いえ、召喚士で、黒巫女です」
「どっちじゃ?」
「どっちもです」
「⋯⋯」「⋯⋯」
「つまり、黒巫女召喚士?」
「或いは召喚士黒巫女ですね。語呂がいいので黒巫女召喚士で良いです」
「そ、そうか。ふむふむ、よしよし」
少女はふむふむと顎に手を当ててコクコクと頷いた後に私に向き直る。
「よく分からんが、お主に妾の力をチマチマ授けていこう。妾も代替わりする時、そろそろ弟子を取ろうと思っていた。が、なかなか素質が良い者が来なくてな。そんな時にお主が来た。なのでお主は妾の弟子となれ。無論、損はさせないさ」
《超越者が弟子を求めています。弟子になりますか?
▶︎YES NO》
「え、えと、超越者?」
「妾は種族を超越した者だ。なので、見た目は少女でも中身は12歳だ!」
「あ、少女だ」
「じゃろ?てか、そんな事よりさっさとYESを押せ!」
「ええ、でも怖いし、あれじゃないの?YESを押したら何十万も請求するんでしょう?」
「なんだそれは!クリック詐欺か?架空請求か?」
「どっちですか?」
「どっちもちゃうは!詐欺じゃない!そもそも超越者って強そうだろ?弟子になりたいだろう?」
「弟子云々はともかく超越者が強そうなのは認めます」
「じゃろ?ハムちゃん、ネマちゃん、イサちゃんも妾の事強そうに見えるだろ?」
3匹は同時に首を傾げる。
「お、可愛い」
「だよね〜」
この少女とは話が合いそうだ。
「と、いかんいかん。仕方ない。ならば妾の力を見せてやろう!」
そう言った瞬間に少女は懐からある物を取り出す。
「それは?」
「形式じゃ」
「え、それって巫女って言うよりも陰陽師⋯⋯」
「術式構築」
形式と言われた人型に切られた紙が大量に空中に浮かんでいく。
「天形式、術式構築」
さらに、天形式と言って人型の下の部分が尖った紙がさらに中に浮かんで術式を構築していく。
「綺麗」
唖然としてしまう程に綺麗な術式が中に出来上がる。
「術式展開、妖術、【妖炎風雷蒼天龍】!」
青い炎と、青い雷が龍の形をした物が術式から出てきて、さらに嵐が吹き荒れる。
「凄い」
「ほっほっほ、やっと分かったか?お主も妾の弟子になればいずれこのような事は出来るだろう。まあ、これは上級者の技であり、極めた者の本気では無いがな」
「本気じゃないんですか!」
「くく、本気出すとせっかく創ったこの空間が壊れるからな。それに、相手にぶつけずに消す事が出来なくなる」
「そ、それは危ないですね」
「ほほ、で、どうだ黒巫女召喚士、妾の弟子になるか?」
《超越者が弟子を求めています。弟子になりますか?
▶︎YES NO》
「⋯⋯ハムちゃんどうかな?」
「ちゅん!」
YESの意を示すようにジャンプする。
「ネマちゃん?」
「にゃん!」
同じくジャンプする。
「イサちゃん」
「わん!」
イサちゃんは尻尾をフリフリしながら高々に吠える。
「分かりました。貴女の弟子になります」
「そう来なくちゃね!」
《称号:超越者の弟子を獲得しました》
「さて、今の段階で教えられる事は教えてやろう、また、強くなったら来てくれよ」
「え!またあの階段を登るんですか!」
「はて?階段?あ、ああ、実はこれ、エレベーターがあるんだ」
「ほえ?」
「こっちこっち」
少女⋯⋯師匠に案内されるがままに着いていくと、そこにはこの場に相応しく無い機械的なエレベーターがあった。
「ここに乗れば入口とこことで移動が可能だ」
登って来た階段を思い出すと、多分このエレベーター登ったり降りたりするのではなく、エレベーターの位置で転移出来るのではないだろうか?
「試して見るか?」
「良いんですか!」
「ええよ」
「わーい!」
私はハムちゃん達とエレベーターに乗ると、ボタンが1つ出てきたので押す。
すると、ドアが締まり、3秒後に開くと目の前には最初の階段があった。
浮遊感も何も無い、一瞬で着いた。
「え、こんな所にあったの!」
ドアが閉まる。
「うっわ、これ、滅茶苦茶見にくいじゃん」
本当にこの場所を組まなく探さないと見当たらない程に透明だ。
モヤがほんの少しあるかないか程の感じだった。
とりあえず触れる。
すると、ドアが開いたので入り、またボタンが出てくるので押して、ドアが締まり、3秒後に開いて目の前には神社があった。
「どうだった?」
「あんなん誰が分かるんですか!」
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