第119話魔剣お披露目会 後編

 次に見せてくれたのは横幅が広い大剣だった。

 柄と刀身の間に盾のような物が付いていた。


盾剣シルトソード、シルレです。特徴は勿論飛ぶ事⋯⋯と言いたいとこですが、この子は魔剣ですが攻撃力はそこまで高くありません」


 それは剣としてどうなんだろうか?

 あり? なのかな?


「これは盾に変形することが出来ます」


 付いている盾が下に下がり、広がり大きな盾となる。


「ちなみに乗れます。1人用ですけどね」


 盾が大きいので乗れるようだ。

 どのくらいの速度で飛べるか分からないけど便利そうだね。

 盾に乗って高く飛び、空中からカノレで狙撃、攻撃されたらフレアで防ぐ事が出来る。

 魔剣だけどメインは剣じゃないようだね。

 ま、固定概念に囚われない事はいい事である。


「他の特徴はシールドを展開出来たりしますね。そのくらいです。属性は風です」


 次に飛んで来たのはシンプルな黒色の剣だった。

 本当にシンプル。

 模様も無いし、綺麗な黒色の剣である。

 ただ、異常なのは持ち手である柄がないのだ。

 刃だけの剣となっている。

 シンプルイズベストと言うけど、持ち手が無い剣はありなのだろうか?

 飛ぶし問題ないかもしれない。


「これは⋯⋯沢山の刃に分かれる剣です。崩剣、ブレクです。沢山の刃に分かれます。小さいだけ攻撃力は下がります。戻る事も可能です。なので、このように腕に直接装備出来ます」


 ブレクが小さい刃になり、メルちゃんの右腕に集中していく。

 メルちゃんの腕に集まり、再び刃を形成して行く。

 ガクンとメルちゃんが傾き刃が舞台に刺さる。

 メルちゃんが空中で横に成っている。


「⋯⋯メルちゃんどうしたの?」

「その、STRが500以上無いと操れないんです」


 メルちゃんしか使えない、メルちゃんのSTRでは操れるだけ足りない。

 飛べるので問題ないね。


 メルちゃんは再び刃を分解して空中で形成して空に飛ばした。

 これで紹介された魔剣は4本、他の6本はどんな感じなのだろうか?


「今度は2本同時に紹介しますね。双子剣なので」


 飛んで来たのは海賊が持って居そうな少し曲がった剣が2本。

 黒と白の剣でありメルちゃんの周りをクルクル回っている。


「白い方はホワレ、黒い方はブラレです。2つの特徴は飛ぶ事です(キリッ)」


 あ、今回は飛ぶ事なんだね。

 特徴の境目はどこにあるのか凄く気になる。


「白い方で切り付けると切った相手にバフを与えます。威力はありません。黒い方は対照的で切った相手にデバフを与えます。威力はありません」


 ⋯⋯え、と言う事はホワレは味方を斬る用で、ブラレは敵を斬る用って事ですか。

 横を見ると皆も少し青ざめている。

 だろうね。

 ホワレは普通に鋭いし、威力が無いとは言え見た目にこだわるタイプなので余計に怖い。

 バフを得られるのはありがたいけど、斬られるんだよね。

 ネマちゃんの領域系スキルを使えば黒い方でも斬られてしまう。

 ダメージエフェクトとかどうなるんだろう。


「あれ、皆さん?」


 青ざめた私達にメルちゃんが疑問を抱いているようだ。

 残り3本である。

 上を見上げると再び上った剣を含めて九本存在する。

 残り3本、紹介されていないのは、以上に長い刀のような物に凄く大きな大剣、刀から複数の刀が生えている剣である。


「次にはこれです。巨大剣ジャイアントソード、ジャレです。特徴は、とにかくでかいです。この状態でもかなりでかいですが⋯⋯【巨大化】」


 ボン、と音がなり大剣が大大大剣になった。

 うん。それくらいしか言えない。

 本当にでかい。とにかくでかい。

 10メートルくらいはあるんじゃないかな?元々は3メートル。


「【肥大化】」


 30メートル。


「【倍加】」


 60メートル。


「限界です」


『大きいです』


 皆と気持ちを共有しました。

 10メートルで十分、と。


「次に鞭剣、フレです。とにかく柔らかい刀身が柔らかいです」


 それを証明するかのようにメルちゃんを円に成って囲いクルクル回っている。

 あれ?


「なんか、さっきより長くない?」

「はい。これは1メートルから30メートルまで伸びます。大きくは成りません」

「成程」


 不規則な攻撃で相手を攻撃出来るし強いね。

 空中から伸びる鞭は刀であるのか、なんか可愛いね。

 見た目もピンクで可愛さ増してるし、鍔が桜の花に成っている所が良いね。

 持ち手の模様に百合のは無いが添えられている。

 どちらも花言葉に『純潔』がある。

 女の子っぽくて可愛い。


「あ、特徴は飛ぶ事ですが」


『そこなんだ』


 これも皆同じ意見。

 伸びたり縮方が特徴的な気がするのはきっと、私だけが思った訳じゃない。


「他には【結合】が出来て、私の名前が刻まれた魔剣と合体出来ます」


 確かある程度の鍛冶師は自分の自信作等には自分の名前を刻むんだっけ?

 自分の作った武器だと言う証明の為などなど、詳しくは知らない。


「実は今回の魔剣から名前を刻むようにしたんです。1人前の証拠として、あとで師匠にも見せに行く予定です。あと、製作者のマーリンさん達の名前もありますよ」


 そこは律儀だね。

 ⋯⋯あれ?


「ねぇ、それってジャレと結合したら⋯⋯」

「はい。最大180メートルの巨大で柔らかい刀になります」


 あはは、これを使う機会が無いと嬉しいです。

 とっても目立つだろうし迷子に成らないだろうね。

 でも、ダンジョン内部だとあんまり使えないね。


「さて、最後ですが⋯⋯これは1番作成に時間が掛かって、マーリンさん達も全力で私のお願いを聞いてくれた自信作です」

「おぉ、それは期待」


 オレンちゃんが楽しそうだ。

 最後は、1本の刀から数本の刃が生えている刀である。

 素材は木であった。


「木刀?」

「魔剣です」

「素材は?」

「木です」

「木刀ですな」

「魔剣です」

「あはは、メルちゃん特徴は?」

「はい。これはこのクランの象徴である世界樹ユグドラシルの枝から作りました」


『⋯⋯!』


世界樹ユグドラシルつるぎ、ユシルです。特徴は飛ぶ事では無く、皆を表している事です」


 生えている刃は4本である。


「分裂して、クナイ、角のように曲がった刃、丸い球体、幅の広い刃、順にオレン、ムニンさん、セカイさん、サエさんを表しているつもりです。真ん中の刀は皆を支えると言う感じでモフリさんです。そして【解放】」


 木製の剣だった物の色が黒色に変わり、黒色の邪悪な光を漏らして行く。


「これは闇属性、剣で被ってしまうのでこの漆黒の色はグリムさんを表しています」

「メルちゃんは?」

「これを含めて自分が作った、それが私の象徴です」

「成程」


 皆の事を考えて作る、メルちゃんらしくて微笑ましいね。


「能力は?」

「はい。クナイから粘着質の高い個体を噴射出来ます。ムニンさんを元にして作った刃は純粋に火力が高く速い飛行が可能です。球は打撃攻撃となり相手の攻撃をピンポイントで防ぐ事が可能です。大きな刃は闇属性を活性化して闇属性の威力を上げて攻撃出来ます。真ん中の刀は攻撃用と支援用で切り替え可能です。攻撃用は地属性、支援用は回復が可能です」


 斬るのに、回復するのですね。


「そして、【加速成長】のスキルを持っています。以上です」

「おつかれ」


 その後、談笑してから各々解散。メルちゃんは師匠の所に行くようだ。

 私は本格的に第三層に突入する事にした。

 霊符を作ってからだけどね。

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