第123話一時帰還と交代

 今現在私は森の中をイサちゃんに乗って走っている。


「ここら辺ってクラン無いのかな?」


 人の気配が無いので心配になる。

 イサちゃんを沢山走らせてしまったので休ませる事にする。


『ん? 殺気か。後ろの木の枝に乗れ』


「私には分かんないや。ネマちゃんよろしくね」


 ネマちゃんはずっと私の背中に張り付いていた。

 技術を高める時の特訓で1番ネマちゃんが活躍しており、その時にネマちゃんが試した1つの戦闘スタイル。

 巫女服の繊維の隙間からネマちゃんの細胞が出て来て触手を後ろの木の枝に伸ばす。

 そして触手の先端を手にして私を木の枝の上に乗せてくれる。

 攻撃にもサポートにも利用出来る。

 ネマちゃんの体ってどうなっているんだろか?


 次に私の居た所に向かって矢が飛んで来る。

 イサちゃんの背中を通り過ぎる。


「あれ? ここら辺で索敵に引っ掛かったんだけど」

「狼しか居ねぇやん」

「つか、でかくね?」

「そもそもモンスターなんて居ない筈だろ? て、事は召喚獣か使役獣だろ? 倒すか」

「寝てるしな」


 5人の人が草むらから出て来た。

 索敵に私は引っ掛かっていたようだ。

 全く分からなかったけど、モナのお陰で躱せた。


「イサちゃん。ダークナーゲル!」

「ガルがあああ!」


「なんだ! 起きたぞ!」

「ちっ、バフも間に合わないか。【スラッシュ】」


 振るわれる大剣を外皮で跳ね返した。


「あれ?」


「ガルがあ!」


 イサちゃんが反撃とばかりに爪を振るう。

 プレイヤーに爪痕が大きく出来てHPを7割くらい減らした。


「や、やばい。強いぞ!」

「に、逃げろ!」


 数秒後、「いぎゃああ!」「ふんぎゃああ!」「ちくしょう!」「なんで逃げて来た先に!」「もうゲームオーバーかよ!」など叫んでいた。


「5ポイントゲットだね」


 その後も森の中を散策した。

 ネマちゃんの霊体分身を大量生産して散策に当たらせた。

 霊体は体力も防御力も無いので、木にぶつかってしまうだけで消えてしまう。

 ま、無限に量産出来てしまうので仕方ないけどね。

 にしても、もう夜なのになんの成果も得られなかった。


 クランホームに戻って来ました。


「一気に稼ぎましたね。何があったんですか?」

「ん〜〜クランを2個潰して数十人程度漁夫りました」

「私も山の上に陣取っていた小規模ギルドをリスキルしてから潰したよ」


 オレンちゃんの情報では復活すると2分間の無敵時間があるようだ。

 ただし、無敵時間中は攻撃も意味無いらしい。

 それを利用したオレンちゃんは復活と同時に糸でグルグル巻にして山から落とせるように準備して、効果が切れたら落とすを繰り返したようだ。


「なんか、哀れだったね。プレイヤーさん。南無阿弥陀仏」


 取り敢えず皆で晩御飯を食べる事にする。

 メルちゃんはDEXが高いので料理も美味しい。素材は生物以外はここで取れた物らしい。


 ◇


 とあるチームチャットにて。

 このチャットはワルフロ運営が作った専用メッセージ諸々のアプリである。

 そこで考察大好きの人達が数人集まりイベントを鑑賞して考察を繰り広げていた。

 このに居る人達は別々のクランに所属しており、イベント参加している人もいる。

 そんな人はこのチャットには居ない。


 ・とある旅人その1さん

『なんか思って居た以上に脱落するクラン多いな』


 ・とある剣士さん

『確かにな。数個脱落しているし。確か総合ポイントのランキングって2日目からだよな? めっちゃ気になる』


 ・とある⋯⋯さん

『いや〜最初の方だからまだなんとも言えんな。大規模クランの行方が気になる』


 ・とある旅人その2さん

『激しく同意。てか、君らサブ職業の行方どう?』


 ・とある剣士さん

『あぁ、鬼姫の使者だろ?』


 ・とある旅人その2さん

『そそ。あのワルプルギスの夜の時に鬼に殺られた人限定に配られた導き書を使ってクエストを熟すと成れるやつ。ま、「使者」って面で成らない人も多いけど』


 ・とある旅人その1さん

『ま、鬼姫に逆らえないデメリットあるからな』


 ・とある⋯⋯さん

『AGIかなり上がるけどな』


 ・とある旅人その2さん

『ま、今の所関係ないからな』


 ・とある剣士さん

『そんな事よりランキング見たい』


 ・とある旅人その1さん ・とある旅人その2さん ・とある⋯⋯さん

『激しく同意』


 ◇


「じゃあ。私達行ってきます」

「レッラゴーー!」

「行ってらっしゃいセカイちゃん。サエちゃん」


 夜なのでサエちゃんの闇は最大限に近い性能を発揮する。

 結果として、ここから降りる事も自身の力で可能である。

 闇であるサエちゃんは朝でも落下ダメージなんて物はそもそも存在しなく成ったらしいけど。

 セカイちゃんを抱えて飛び降りるサエちゃん。


「この高度から紐なしバンジーって怖いでしょうに」


 オレンちゃんがなんか遠い目をしている気がするけど、気にしないでおこう。

 私はあんまり成果を得られなかったけど、ムニンちゃんとオレンちゃんが埋めたマップを共有して、私のマップにもムニンちゃん達が付けたマーキングが見えるようになった。

 それをチェックしている。


「あれ? ここなら射程範囲内じゃん」


 と、言うわけでカルちゃんを近くに呼びました。


「メルちゃんお願いしていいかな?」

「はーーい」


 メルちゃんがインベントリから王冠のような物を取り出す。

 メルちゃんが出した王冠はメルちゃんの近くでのみ効果が発揮される代物であり、装備した人のMPを100上昇させる。

 カルちゃんのMPは120。合計220となる。

 これによりカルちゃんと【絆結晶リアン・アイテム】が可能となる。


「私達の絆を形に! 【絆結晶リアン・アイテム】!」


 カルちゃんの適正アイテムは銃類である。

 ファンタジーには似つかわしくないけど、銃器である。

 用意するのはスナイパーライフル。


「カルちゃんよろしくね」

「フォーン!」


 標準魔法で射線が見えるようになる。

 そして、絆の弾の設定は周囲の魔力を吸収して弾を形成して放つである。

 MPの関係上メルちゃんと居ないと使えないけど。


「方角はこの辺で、狙いはこのくらいかな? 発射!」


 引き金を引いて周囲の魔力を溜めて水の弾を形成、そして放つ。

 1発放つ事に再使用可能時間リキャストタイムが必要である。

 放つ度にリキャストタイムは増える。


 ◇


 一方、無慈悲にも天から放たれた水の弾を受ける羽目に成ったクラン。


「魔力感知に反応がありました! 空から高速で接近しております!」

「飛行系のモンスターにでも乗っているのかしら? シールド展開!」


『【プロテクトシールド】』


 クランホームの上に結界の盾が出現する。

 高速で落下して来た弾と衝突して、火花を散らし、凍り付く。

 パリン、と音を立ててシールドが壊れた。


「なんだって?」

「⋯⋯これは宣戦布告だね。調査隊を今すぐに編成! 出処を探り魔法を放った愚か者を探し出せ! このツケ、払って貰うぞ」


 1分後、もう1発。5分後、2発目。10分後、3発目。


「なんでこんなに放って来るんだ!」

「分かんないわよ!」

「速めに対策しないとな。防御魔法舞台のMPが無くなる」

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