第128話黒巫女召喚士と謎の騎士
交代と成り私は再び森の探索する事にした。
イサちゃんに乗って風を感じながら森の中を爆走しているとイサちゃんが急に吠えた。
「ガル!」
私の横に盾が出現して矢を弾いた。
「え」
モナ感じた?
『悪い。全くない』
つまり、殺気が無いと。
『上級者なら自分を害す物全てに殺気を感じれるかもしれんが、わたしは相手の意思が乗って無いと感じれんからな』
感じれるだけでも凄いと評価しておくよ。
「イサちゃん矢が飛んで来た所に向かって」
ガル、と鳴いてからその方向に行く。
さて、何が出るか。
何回か矢が飛んで来たが
森の中だと大鎌は使えないし、皆を出して戦うには不便なので私も近接で戦う。
そうなるとやはりネマちゃんとの武器が1番良い。
ネマちゃんは今の所相手から見えない筈だしね。
「ふむ。確かに情報通りの紫色の犬? だな」
私の背後からジャラジャラと足音を立ててフルプレートアーマの人が出て来た。
背中の体験を抜くと私に先端を向ける。
「さぁ。お手並み拝見と行こうか」
他にも1人は居そうだけど、やるしか無いね。
仮面を着けて、話方敵にアルさんの仲間だろうしローブを取っておく。
「本当に巫女服に狐の仮面なんだな」
モナ、チェンジ。
『早っ! 何時もなら自分で少し戦ってピンチに成ったら変わっているやん! レイシアとの訓練でだいぶ技術の上がっただろう? 早ない? まじ』
「だ、だって。相手めっちゃ強キャラ感出てるし」
「何を言って?」
『ん〜〜よし。矢をしっかり探してくれよ。右目は任せた』
「了解」
私が扱える部位は口と右目だけに成った。
片目だけ動かすのを皆に見せたは純粋に引かれたので皆の前ではあんまりしないけど、今は居ない。
「イサちゃんも周りの警戒。それと、私を守って」
「ガル!」
イサちゃんが防御空間を広げる。
それでも私は躱す事を重視するけどね。
「俺の名前はリクだ」
「私の名前はモフリ。よろしくね!」
イサちゃんから飛び降りて地を蹴り騎士に接近する。
振り下ろす刀を体験で防がれた。
刀に力を込めて弾き後ろに下がる。
ここは森だ。
大きな体験の方が不利だと思う。
だけど、アルさんのクランって大規模だった筈だ。
こんな強キャラ感出している人だし、敢えて不利に成る状況は選ばないだろう。
『風鳥羅刹流、風爪』
騎士に接近して刀を斜めに振り下ろす。
騎士は見た目に反して軽やかな動きでバックステップして躱し、大剣を振り下ろして来る。
全く無駄の無い動き。だけど、レイシアさんの剣撃を3桁レベルで受けて来た私に取っては遅すぎる。
軽くステップしてバク転。
振り下ろされた大剣を中心に回転するように躱し、地面に手を着いて回し蹴りを放つ。
騎士は屈んでそれを躱し、奥から矢が飛んで来た。
「クッ」
右目太ももに刺さった。
左手に力を加えて後ろに下がる。
矢を引っこ抜き捨てる。
HPバーの方に電気のようなマークが出て来ている。
「麻痺、か」
ダメージはイサちゃんのお陰であんまり無いけど、それでも体の動き難さを感じる。
麻痺の解毒薬はあるけど、それを飲ましてくれる隙は無いよね。
騎士はゆっくりと立ち接近して来る。
イサちゃんが黒紫のブレスを放つが大剣を盾のようにして防いだ。
互いにスキルは1度も使っていない。
技術は多分あっちの方が上。
と、言うか場馴れしている感がある。
歴戦の猛者的な。
形代を使った妖術でも形代を出すにはインベントリを操作するしかない。全く不便だ。
刀を右側に振るう。
矢が地面にカランと落ちる。
弓兵は移動しながら私を狙って攻撃しているみたいだ。
騎士の方を向くとブレスが収まり平然と立って居た。
『兜と鎧の隙間、首を狙う』
オーケイ。
「風足、電走、展開」
風と電気が私の足に宿る。
足に力を込めて騎士に高速で接近する。
言葉にする必要無いけど、折角レイシアさんから教えて貰っているんだ。言いたいよね。
モナもよろしく。
『わたしの声はあんたにしか聞こえんだろうに』
「『風鳥羅刹流、風鳥月』」
「え、何その声」
なんかモナの声と私の声が同じ口から同時に発せられた。
私、普通に気持ち悪いって思ってしまったよ!
首を狙って高速で突き出す。
だけど、突きならまだ終わらない。
「巫女の舞、第二節、【水神の寸撃】」
刀身が青くなり、多少の風を纏う。
流れるように、何かを縫うように、一直線に首を狙って突き出す。
「⋯⋯ッ!」
相手がバックステップをしようとする。
だけどね。遅い。
兜と鎧の隙間を通り見事に首に命中した。
した筈だった。
「⋯⋯」
私は驚愕に目を開きながら相手を見る。
確かに首に刀は通っている。
なのに、何かを刺している感覚が無いのだ。
「仮面で見えんが驚いているようだな」
私は念の為バックステップで距離をとる。
時々矢が飛んで来ていたがイサちゃんが防いでくれていた。
騎士、いやリクさんは大剣を地面に刺して両手で兜をゆっくりと外す。
「そう言う事ですか」
『こりゃあ予想外にも程がある』
◇
「全く私の矢が当たって無いわね」
とある巫女と騎士が近接戦闘を繰り広げている所から100メートルは離れている所に耳が長い弓を持った女性が立っていた。
戦闘が始まる少し前からずっと同じ場所に居る。
「私の矢ってそんなに分かり易いかな? フェン以外のモンスターに防がれたの初めてだよ。全く。さっきからずっと私の方を見てさ。私はスキル無いと見えないのに。【千里眼】」
彼女の視界が大きく広がる。
戦闘を繰り広げる巫女と騎士、何故か巫女は刀を振るっている。
その近くでは大きな紫色の狼。情報では犬らしいが狼にしか見えない。
尻尾は蛇のように成っているが一切動いてない。
しかし、異常なのはその目がずっと彼女に向いている事だった。
「風の精霊よ。我が矢を導きたまえ」
彼女は矢を3本セットして空に向かって放った。
矢が空中で急停止した後に方向転換。
戦闘を繰り広げる2人に向かって高速で放たれた。
しかし、毎回同じように盾で防がれるのだ。
まるで全てを見通しているかのように。
「全く怖いね」
目指不可能な距離に居る彼女。彼女自身見られて居ない自負がある。
だが、それでもあの犬は彼女をじっと見詰めていた。
その目には強い意思が見える。
「あはは。いいね面白い。その目、誰かを守ると言う目。なら、守ってみなよ。私の矢は特別性だよ」
そんな独り言が多い彼女を見る薄い小さな猫が居た。
じっと、薄い金色の目でじっとみつめている、そんな猫が居た。
それはこの森全体に居る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます