第115話変化の前触れ


「それでは魔剣作りを開始します」


 メルは現在のレベルは199となっている。進化しているのと表記は99である。

 そこで師匠のNPCからとある神匠の話を聞いた。

 話が終わると現れたのが『シナリオ:戦える鍛冶師へ』である。

 モンスター撃破数0、アイテム制作数1万越え、進化まじかのタイミングで発動する1回きりのシナリオ。ユークシナリオである。

 内容としては神匠、天津麻羅あまつまらの話を聞き、詳しい人に会いに行き再び話を聞く。

 次に師匠NPCから自立の話を切り出されて一人前の資格を得る為に武器等を作成。

 最初は10時間以内に10本の武器を作成。

 次に5時間以内に叙情詩エピッククラスの武器を10本。

 そして最後に魔剣10本の作成である。


「今回はひたすら同じ物を作ります。材料はこれです」

「ふむ?オリハルコンか〜しょぼない?」

「え」

「確かに黒ちゃんと私ならもっと良い物を用意出来るわね。それを使いましょう」

「そうだな!折角なら良い物の方が良いだろう」


 自由奔放な超越者達はメルに渡す鉱石を虚空から取り出す。


「え、これって。【鉱物鑑定】」


 全て純粋の精霊石だった。

 精霊石は精霊の持つ霊力が固まって出来る鉱石であり、精霊が暮らしている所に長年霊力を受けて変化する場合と精霊の霊力の塊の2種類が存在して、『NewWorldFrontier』略してワルフロにおける最高峰の鉱石の1種である。

 それが複数個。

 精霊石の特徴は属性を持った鉱石である事と、純粋の場合は原石が元では無いので加工しやすいのがある。


「え、つ、使って良いんですか?飾りたいんですけど」


 鉱石大好きメルですら持っていない超貴重鉱石である。


「ん?この程度なら沢山あるし全種後であげるよ」

「え」


(あれ?私の常識がおかしいのかな?精霊石って超レアの筈なんだけど⋯⋯しかも純粋なのに拳よりも大きいサイズなんて聞いた事ない)


 まじである。

 プレイヤーに認知されている精霊石の最大の大きさは拳サイズである。500万ゴールドは軽く超えたとか超えなかったとか。


「あ、後これもだな」

「これは?」


 球体の宝玉がゴロゴロと転がる。【鉱物鑑定】では見抜けない。


「ん?これは『神魔の宝珠』だよ」

「⋯⋯」


 神魔の宝珠、メルは名前だけ聞いた事のある適正属性を大幅に強化するアイテム。

 とある魔法士の杖に使用された形跡が歴史にあり、通常の威力の2倍にまで上がったと言い伝えられている。

 魔剣の素材には打って付けだが、簡単には手に入らない。

 そもそも入手方法は未だに発見されてない。


「こんな貴重な⋯⋯」

「え?これって私がお遊び感覚で量産した奴だから精霊石よりも貴重じゃないよ」

「はい?」

「まずは『精霊の宝珠』を用意して、そこに神聖力と魔力を加えて錬成すれば出来るからね」

「1人では出来ない!」


 神聖力は教徒、魔力は魔法士、錬成は錬金術師か錬成師の分野である。

 メルは常識であり、プレイヤー全員の意見である。

 しかし、ここはプレイヤーとは別格の公式チーター、そんなのは知らない。


「さて、作ろうか。作り方知らないけど付与なら出来るよ!」


 神魔の宝珠にはとある付与呪文が刻めれている。


 鍛冶屋に移動して作成を開始する。

 ここまでしてくれたんだから1から設計図を作り直して色々な魔剣を作る事に決めた。

 スケルトンナイトも手伝うようだ。


「頑張ります!」


 クエストスタートのウィンドウを押すと開始される。


「ふぅぅぅ」


 深く、深呼吸をする。


「ちなみに種族はドワーフだよな?」

「はい。現在はハイドワーフです」

「なら良し」

「ん?」


 ドワーフ系列種族の隠し特性『森羅作成』神器以外なら作る事を可能にしてくれる特性である。

 故に、ドワーフ以外の種族は特別な方法やスキル、称号が無いと魔剣は作れない。


 ちなみに自由奔放超越者の2人はこう見えても手加減している。

 他にもっと良質な素材を持っているが今のメルでは扱えないと判断して渡していない。

 2人は自由奔放でも列記とした古人である。


「では、始めます」

「「おー!」」


 スタートを押してメルは精霊石を火で1度溶かして加工出来るようにする。


「あれ?もう出来る?」


 疑問に思っても考える暇なんてないと思い、疑問を捨てて作成を進める。


 ◆


 一方セカイは洗濯物を着々と片付けていた。


「あれ?」


 その1つが水に付けてチャクラを流すと一瞬で汚れが落ちたのだ。

 その事に疑問を持つセカイ。


「ふむ。それがお主の適正の装備と言う事じゃな」

「師匠様?」

「自分のチャクラと適合する装備を身に着けなくてはならんだろ?自分のかたもあるようだし、儂から教える事は無い。あ、この耳は要らんな」

「え」


 設定でカンガルーの耳や尻尾は消している。

 理由は感覚があると気味が悪いのが1ミリ程度で他はゲーム内でも他の人に耳を付けた姿を見られたく無かったからだ。羞恥心には勝てなかった。

 セカイは現実に近い体(感覚を同じにする為)顔の形やパーツ(目を除き)も同じである。

 そしてセカイの師匠である超越者のおじさんは右手で尻尾と耳を引きちぎった。


《種族:仙人に変化します》

《称号:超越者の弟子から超越者の後継者に進化します》

《職業:武神に進化します》

《称号:武闘を極める者を獲得しました》


「おぉ、かなり⋯⋯あれ?師匠様?」


《スキル:【天龍至点LvMAX】【透視LvMAX】【弱点察知LvMAX】【拳舞】【空中歩行LvMAX】を獲得しました》


「⋯⋯教えられる事、まだまだ沢山ありそうでしたのに⋯⋯これからも精進します」


 胴体、足、靴、拳の装備をセカイは手に入れた。手袋のようなナックルだった。


 ───────

 名前:セカイLv1

 種族:仙人

 職業:武神Lv1

 称号:【メテオ】【武道家】【超越者の後継者】【武闘を極める者】

 HP:190/190(+60)

 MP:110/110(+60)

 STR:358

 DEX:110(+60)

 VIT:150(+60)

 AGI:330(+160)

 INT:20

 MND:80(+60)

 SP:0

 スキル:【チャクラ】【チャクラ操作】【天龍至点LvMAX】【高武術Lv5】【武道の心得Lv9】【俊足Lv5】【加速Lv5】【パワーLv3】【パワーナックルLv2】【パリーLv2】【冷静Lv3】【精神統一Lv2】【超力】【縮地Lv9】【メテオスタンプ】【透視LvMAX】【弱点察知LvMAX】【拳舞】【空中歩行LvMAX】【火属性耐性Lv2】【水属性耐性Lv2】

 特性:【不老】

 ───────

 武道の袴(碧)

 装備必要条件:STR100以上

 特性:【チャクラ強化】【チャクラ操作向上】【譲渡不可/破壊不可】

 HP+60、VIT+60、MND+60

 説明:チャクラに馴染み、自分と共鳴するチャクラの持ち主に懐く

 ───────

 武道のズボン(碧)

 装備必要条件:STR100以上

 特性:【チャクラ強化】【身体柔軟】【譲渡不可/破壊不可】

 MP+60、AGI+60

 説明:チャクラに馴染み、自分と共鳴するチャクラの持ち主に懐く

 ───────

 武道の靴(碧)

 装備必要条件:STR100以上

 特性:【チャクラ強化】【落下無効】【譲渡不可/破壊不可】

 AGI+100

 説明:チャクラに馴染み、自分と共鳴するチャクラの持ち主に懐く

 ───────

 武道の軍手(碧)

 装備必要条件:STR100以上

 特性:【チャクラ強化】【チャクラ錬成】【譲渡不可/破壊不可】

 STR+120 INT+60

 説明:チャクラに馴染み、自分と共鳴するチャクラの持ち主に懐く


 チャクラ錬成─チャクラを具現化出来る

 ───────


 スキルや称号自体は少ないがスキルや称号はあくまでゲーム内であり、技術は反映されない。


 ◆


 一方沙苗事、サエは何時ものレベル上げように使っている洞窟へと来ていた。

 毎度の如く倒されるモンスター達。


「さて、洞窟のモンスターはこれで全部だし一旦出てもう1回入るか」


 種類が少しあるので経験値稼ぎには持って来いなのだが、モンスターが弱くあまり経験値を得られないので見つかってもすぐに違い場所に行くのが普通と成っている初期のレベリング用の洞窟、そこを今でも愛用しているサエ。

 そんなサエは変化に気づく。

 何時も通っているからこそ道も風景も覚えている自負がある。

 だが、そこには記憶に無かった扉があった。

 そして、その扉の上には石像があった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る