第57話イベント告知
真反対の所まで来ると黒色の霧が私の目の前に来て形を形成する。
そして、出てきたのは骸骨の顔に体はローブに隠れている。
正しくスケルトン。そして武器は大鎌。戦い難そうだ。
『娘よ、最初に一言、これは杖であり斬る事は出来ん』
「ややこしいですね」
『よく言われたわ。さて、少し儂の話に付き合ってくれないかの?儂はここに居て長らく人と会話をしておらなくてな。会話をしたいのだよ』
「あ、はい。私の召喚獣を呼んで良いですか?」
『ああ』
私はハクちゃんネマちゃんにイサちゃんを出した。
何かあった時にも対処出来るように戦闘が出来てある程度のレベルになっている子達を選出した。
『さて、ここに座ってくれ』
1人用のソファーと対面にはスケルトンさんが座り、気前よくハクちゃん達用の椅子も用意されていた。
それと、紅茶にマカロンタワー⋯⋯この骨さん本当に長らく人と会話してないの?
『さて、まずは儂の生い立ちから話そう』
クエストかは出てないね。何かのシナリオかな?でもそれらしいウィンドウ表記も無いし⋯⋯いつフラグが立ったんだろ?
私の黒巫女?祈り?───分かんないし聞こう。
『儂は戦争で活躍を夢見た魔法士だった』
「戦争ですか」
『ああ、帝国に抵抗する為に結成された
「急展開ですね」
『ああ、実は儂の娘にな、ソナタと同じように黒色の巫女服を着て戦って居た。他にも子供は居たがその子は別格でな。次々に帝国兵を屠って行ったのだ』
え、ちょっと待って。整理しよう。いや、もしかしなくてもこの骨さんって師匠のお父さん?えぇ、え、ちょっ、ま、⋯⋯よし、考えるのは後にしよう。そうしよう。
『儂の娘だけでは無く。たったの一振で儂ら魔法士が一斉になって作り出した儀式魔法よりも強力な範囲攻撃を使って居た』
その頃から超越者?そんな訳ないよね?
『儂らの魔法士の中にも別格の魔法を使って居た奴も居たし、他にも数人そんな化け物が居た。自分の娘を化け物呼ばわりしたくないのだが、あれは間違いなく化け物だ』
「そうですか」
『そして、儂らは帝国を乗っ取り新たな政治を初めて元帝国民と帝国に虐げられていた人達の完全調和が取れた。その時も化け物達は活躍してくれた』
師匠達って凄いんだな。でも、なんでこの人はここに居るんだろう?
『そして、儂らは寿命で命を落としてここに墓を建てられ眠った。だが、娘達は何故か不死の体になって居たな。寄生虫のような儂ら、先に死んでなるものかと、そんなくだらん理由でこの世に定着したのだよ。そしてら、まさか墓があった所に地震によって亀裂が入ってこの有様よ。今では儂らはここを出られない』
「そうなんですね」
なんか、悲しいね。色々と私の考えていた事を粉砕された気分になって複雑だけどね。
『色々と話に付き合って貰ってありがとうよ。これはちょっとしたお礼だ』
《
「大鎌?」
『ああ、それは本物の大鎌だ。この杖はやらんぞ』
「いえ、私は魔法使えませんので。それよりあなたの娘さんの名前って⋯⋯」
『あ、出口はここな』
近づいて目を凝らさないと見えない程に透明にされたエレベーターの扉が開いた。うん、親子確定だね。
私は聞くのを辞めて皆と入る。そして、登る。
「⋯⋯て、私の話は!」
まさか一方的に聞くだけのイベントのようだ。
◆
『行きましたか?』
『ああ、そのようだな』
近くまでよってくる鎧を着た骸骨。先程までモフリと会話していたその骨さんは返事をする。
『儂の娘と同じ気配がした⋯⋯久々に娘に会いたいの〜』
『今の貴方が行ったら卒倒されますよ』
『だろうな』
げらららと笑い合う2人。
『にしてもあの人には驚かせましたよ。急に近づいて来て触るもんだから咄嗟に幽体離脱しましたよ』
『がははは、その体にも慣れたモノだな』
『そうですな。我らだけ取り残されましたから』
『はは、我らには我らの役目がある。よく分からないが何となく儂らの役目ももうすぐ終わる気がするんだよ』
『あの子ですか?』
『ああ、娘と同じ気配がするあの子ならきっと⋯⋯』
『ヒントも無しですか?』
『あ、忘れてた』
『本当に我々の役目は終われるのですかね?』
『きっと大丈夫だろう』
『そうだと良いですが』
『⋯⋯娘に会いたいな〜』
もしもこの骨さんが自分の娘は何回も転生を果たして幼女の体で歳が止まった事を知ったら骨さんはどんな反応を示すのか、今はまだ分からない。
◆
「おぉ、相変わらずのハイテクエレベーター。一体どこから動力があるのか全く分からないね」
ちなみに背後を見てもエレベーターの姿は無かった。
戻る方法はあるのだろうか?
巫者の大鎌は翌日確認しようかな?今日は宿に戻ってセーブしてログアウトだ。
ログアウトして私はすぐに眠りに着いた。
「あ、貰い物と言えば運営から⋯⋯」
そんな言葉を漏らしている途中で私は寝た。
翌朝、今日は父が朝ご飯を作る日だ。
父の料理は母よりも美味しいので嬉しい。
父と母のスペックは近いのだが、得意不得意は人それぞれだ。
今日は珍しく皆居る⋯⋯今はまだ8時だ。私の家族ならゲームしている時間だ。夏休みなんだよ?病気かな?
「皆早いね。運営のPVまではまだ時間があると思うけど?」
「あ、お姉ちゃんおはよう。それがね、アップデートを急に行ってログイン出来なくなったんだよ」
「前までそんなのあったけ?」
「無いよ。今回のイベントの為の準備に必要だったんじゃない?」
「かもな〜」
桃ちゃんの発言に父が賛成。母は何やらノートに書いている。
「萌南、母さんが書いているのはスキルコンボだ。覗き見禁止だ」
「はーい」
母はそう言うのが好きだから慣れている。
一日中スキルコンボをノートに書いている時もあった。
朝ご飯は和食だった。煮込み魚にご飯、味噌汁だった。
シンプルだけど美味しい。その後グループに別れて時間になるまで待機となった。
簡単に言えば情報交流の時間だ。ただ、両親と別れてやっているので情報漏洩防止として分ける。
私達娘チームは部屋の広さの関係状私の部屋になった。
私はミルクココアを人数分用意して部屋に戻った。勿論アイスだ。
「さて、色々と情報整理をしますか」
この時は桃ちゃんが仕切る。そうでないと困る。
「まずは私から、今私はユニークシナリオを行っております。クエストに近いかな?今の種族でAGI2000越えくらいしか条件が分からなかった。柑ごめん」
「ううん。もう十分良い物貰った。それにもう私半分人間辞めてる」
私は元々人じゃないね。
柑ちゃんが桃ちゃんにアラクネとの事を話した。
「そんな事が、私が大会やってる時ずっと戦って居たんだね」
「優勝おめ」
「ありがと。お姉ちゃんは?」
「大鎌貰った」
「何があった?!大鎌はゲームだと使っている人は居るには居るね。鎌の刃でそこ刃じゃないだろって所でも斬る判定になるし刃だと相手の体を真っ二つに出来たり⋯⋯ステータスによるけど。後は見た目が良い?デメリットは使い難いかな?」
「なるほど」
「柑は何かある?」
「私はイベント終了後のギルドかな?お姉ちゃんがギルマスだから⋯⋯」
「ちょっと待とうかマイシスター」
「はいなんでしょうかマイシスター」
「何故私?桃ちゃんじゃない?」
「大抵の人がお姉ちゃん経由で知り合っているから」
「確かに」
「否定出来ぬ」
「お姉ちゃんの周りの人って個性あるよね」
「我ら双子を含めてね」
「自分で言う?私達は普通でしょ」
そうかな?そうだろう。私は動物嫌われ体質がある。貴美ちゃんは問題と良く出くわす体質だし、沙苗ちゃんは無痛症、メルちゃんは軽微の金属アレルギーだ。
「他にも友達居るよね?」
「うん、まあねぇ。ゲームやってるか分からないけど」
寧ろ私の親友全員ゲームしている事実に今更驚きだよ。
「と、話を戻すね。そこで私は自分のコミュ障が出たらどうしようかと心配なんだよね。貴美お姉さんやメルはもう問題ないけど沙苗さんは知らないし」
「沙苗の姉御なら問題ないよ。とっても優しい人だよ」
「うん、お姉ちゃんの友達の時点でそれは疑ってない」
「そっか」
「私は自分の友達が褒められているようで嬉しいよ」
それからも情報交流をした後時間になったので運営PVを見る。
今回もマスコットだ。
『皆さん楽しんでおられますか?突然のアップデート強制ログアウトにご協力頂き感謝致します。少し私の話にお付き合いください。まず、集団でのグループコンテンツはNPCが運営するギルドと差別化する為にクランの名前にします。なので何何クランとなります。クランマスターがリーダーとなります。略語はクラマスです。クランホームに関しては今後のパッチノートをご覧下さい。さて、次の第2回イベントは今日の12時から0時まで行われます。つまり、あっちでは丸一日です』
「ん?ゲームログイン出来るのも12時からだよね?」
「そうだな」
『疑問に思った方も居るでしょう。実は、今回の第2回イベントは宝探しイベント!宝を見つけてスキルを手に入れろ!がキャッチャーコピーです。ルールは簡単。ログインからいべんはスタートしており、期間中マップ全域に散らばる宝を見つけ出して獲得するだけの簡単なイベント!だけど、宝にもレア度があります。今回はPvPは禁止、更にはイベント期間中は平等に楽しめるようにダンジョンに入る事の制限、モンスターを一時的に消滅させます。尚、範囲は2階層のみとなっております。ゲーム中はプレイヤーさんのリアルの体はスリープモードになりますのでご安心ください。イベント終了後はスリープモードは解除します。イベント説明はこの辺で!後はイベントを楽しんだ後に説明します!』
スリープモードはゲーム中に意識だけを持って行くがリアルの体の脳は寝ている状態になる。
長時間使用は政府から禁止されている。何故なら永久的にVRゲームをやれるからだ。
体を休めながらゲームをすると言う事を実現させたのがスリープモード。尚、プレイヤーの任意ではON/OFFの切り替えは出来ない。
「よし、時間までまた分かれるか。イベント終了後にリビングで食事だからちゃんと来いよ」
「「はーい」」
あ、私は途中で切り上げて普通に寝る⋯⋯つもりは無い。私も楽しむよ!
「街中を散策しようかな?」
「萌南!」
「はい、お父さん!」
「そんなのはダメだぞ!ライバルプレイヤーが多い!こう言うのは誰も来ないような場所であったり特別な場所だったり見つかりにくい場所の方がレアな宝があるものなんだよ!」
「そうよ萌南!」
「「そうだよ!お姉ちゃん!」」
「はい、頑張ります」
私の両親が私に対して怒る時って大抵ゲーム絡み。
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