第70話お泊まり会行って来ます

 少ししてからログアウトして晩御飯等を済ませて再びもう少しプレイして眠った。両親の帰還は叶わなかった。


 そして翌日、私達は準備していた物を持って貴美ちゃんの所に向かう。


「柑ちゃんが外に出るのって何ヶ月ぶりだっけ?」

「3年だよ」

「そっか」


 両親はこの事を知っているので問題ない。本当は柑ちゃんは行く予定は無かったが、私がゲームを初めて知り合った事から親睦を深める事を意味して今回のお泊まり会に柑ちゃんも参加だ。

 両親は会社に居ると思われる。


 貴美ちゃんの家に向かう為に歩いて居ると柑ちゃんがバテて近くのファミレスに避難した。

 私は御手洗に向かった時の話。


「オーオーべっぴんが揃ってますね〜お隣良いですかぁ?」


 見るからにDQNの3人の男性が桃、柑に話しかける。


「げふー」

「柑ーー!」


 急に話し掛けられた柑は泡を吹いて気絶。


「ちょっ!どうしてくれるんですか!」

「へぇ、威勢が良いね〜。俺達と遊びたいのかな〜」

「あ」


 桃は察した。こいつら何言ってもダメなタイプだと。

 そこに現れるのは姉と言う名のヒーロー⋯⋯では無く赤毛のヤンキーだった。


「こんな所で何して⋯⋯」


 喋ったヤンキーに顔を向けたDQNは一斉に逃げ出した。


「あ、ありがとうございます」

「いえいえ、お気をつけて」


 なかなかに礼儀正しいヤンキーだなぁと桃は思った。

 そこに現れるのは姉であった。



 私が御手洗から帰ると泡を吹いた柑ちゃんと桃ちゃんが唖然と見ている赤毛のゴツゴツとした服越しからも分かる筋肉質の男が居た。


「あれ?鬼龍きりゅう君?」

「⋯⋯萌波さんじゃないですか!」

「これまたお姉ちゃんの変わった知り合いでしたか」


 と、よく分からない流れで鬼龍君も一緒の席になった。

 私の隣に柑ちゃんが移動して今は落ち着いてる。


「お兄ちゃんここに居たの?」

「ああ、彩月さつきお兄ちゃんの友達に会ってな」

「へ〜強面のお兄ちゃんに友達が居たんだね。私嬉しいよ。それが頭の良さそうな男なら尚良」

「あはは、よく言うな」


 そこに現れたのは赤毛の小学生でイアホンを付けていた。

 皆で話したり飲み物を飲んだりしていた。

 柑ちゃんは驚きな事に彩月ちゃんとすぐに仲良く慣れたのは驚いた。


「俺の妹フレンドリーだからな〜」

「それ学校で124回聞いたよ?後、良いところとか」

「お兄ちゃん私の事そんなに話してたの!」


 ポカポカ叩く彩月ちゃんは可愛い。

 この兄妹を見ると微笑ましい。鬼龍のニマニマ顔さえ無ければ。

 学校でも有名なヤンキーでありシスコンの鬼龍君。

 強さ故に沙苗ちゃん同様の理由で孤立していた人だ。


 あ、沙苗ちゃんと喧嘩した時に速攻で鬼龍君は負けていた。


「そっか、これからお泊まり会ですか。楽しんでくださいね」

「ありがとうね」

「鬼龍先輩って強面なのにどうしてそんなに敬語口調なんですか?」

「バイトの掛け持ちで慣れたんだよ」

「そうですか」


 桃ちゃん、ズカズカ聞かないの。

 そして桃ちゃんが頼んだパフェが来た。いつの間に頼んで居たんだろ?


「あ、スプーンに気をつけろよ?」

「分かってるよ」

「彩月ちゃんは何かあるの?」

「ああ、ちょっとした金属アレルギーがあるから⋯⋯」

「そっか、実は私の知り合いにも金属アレルギーって居るんだよね。その子ね金属がぶつかり合う音なども好きらしいんだよね」

「へ〜私にそっくりな人ですね。私は金属も好きですよ」

「その子もだよ〜」

「「⋯⋯」」


 察したかも知れない柑ちゃんが話を切り出す。


「お姉ちゃん、NewWorldFrontierってゲームしているんだけど、そこでモフリって名前なの?後、黒巫女の服」

「え、実はそれに全く同じ条件の人が私のフレに居ます!凄い偶然ですね」

「だね〜ここまで一致するって〜」

「⋯⋯え?」


 柑ちゃんが唖然として桃ちゃんにコソコソ話を始めた。

 そして数回会話をして私達に衝撃な事実を告げた。


「えぇぇ!萌波さんってモフリさんだったんですか!それにオレンさんも!」

「まさか鬼龍君の妹ちゃんがメルちゃんってびっくりだよ!」

「まさかゲームプレイヤーアバターをリアルに近づける人が居るとは⋯⋯」


 そこから会話をして、そして別れた。

 途中まで鬼龍君が柑ちゃんを背負ってくれて予定よりも速く着いた。


「きゃああ!お兄ちゃんがロリコンに目覚めたよぉ!」

「ばっか!辞めろ変な誤解が立つだろ!」


 そんな1悶着もあったり。



 そして貴美ちゃんの道場に着いた私達はチャイムを鳴らして呼び出す。


「はーい」


 ドアを開けて出て来たのは銀髪で片目に眼帯を付けたイケメン風の女性だった。

 私の外国に居た友達だ。


「あぁ萌波、それに柑さんに桃さんかな?ようこそ」

「確か居候しているんだっけ?」

「そうだね。2人ともよろしく。私は三条さんじょう愛梨あいりだ」

「「よろしくお願いします」」


 ぺこりと挨拶をする私の妹達。


「あ、どっちで来たの?空間転移ディメンションワープ?飛行機?」

「お姉ちゃん!」

「情報的問題が生じる可能性があるから飛行機で飛んで来たよ。空の旅はなかなかな有意義だった」


 そして中に入ると既に部屋の準備がされていた。

 中には沙苗ちゃんと貴美ちゃんが既に居た。


「いらっしゃい」

「お邪魔します」

「「お邪魔します。貴美お姉さん」」

「ハロー」

「沙苗の姉御こんにちは」

「その呼び方辞めて?」


 それから自己紹介等をしてから私達は昼食の準備をした。



 ◆



 この道場を守って来た。儂の孫娘の貴美は武術の才に溢れていた。儂よりも速く基本的な武術を覚えた。

 空手ではもう敵無しと言って良い程までの成長を果たしている。

 最近では飛歩行を覚えて来ている。気候の操りも上手い。

 だが、儂は昔それよりも恐ろしい存在を見ている。

 そう、今儂の隣で野菜を切っている平凡な女の子だ。

 昔に見様見真似で行っていた武術、確かに型は成って居なかったが形には成って居た。

 とんでもない才能だ。見様見真似でも形になる程度には出来る時点で馬鹿げている。

 だが、武術には興味を示さず成長もない。色々と教えてやったが何も習得しなかった。

 だが、儂の目は誤魔化せん。

 日々成長しているのだろう。隠せて居ないそのオーラは正しく至高。寝ている間でも修練をして、年中無休の修練を積んだ歴戦の戦士、さらにそれが数十年と毎日24時間続けて居たのだろう。

 人間業では無い。今回の娘達のお泊まり会でこの娘の秘密を暴く!


「あ、これはこの時間までやる方が良いですよ。あ、これは⋯⋯あ、これは──」

「お主、貴美の嫁に来ます?」

「考えておきますね?」

「お爺ちゃん、萌波さん⋯⋯⋯⋯」

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