第121話第3回イベント 始動

 イベント告知の内容をクランホームロビーで皆で確認していた。


【第3回イベント】

 開催日時:8月31日。

 制限時間:NewWorldFrontier内時間4日

 内容:クラン戦


 詳細はイベントに参加する事を告知に貼られているURLから送り、登録をする。

 イベント開始は現実時間の午後3時からである。

 イベント開始と同時にクランホームが専用マップに飛ぶ。

 競う内容はキル数。

 相手プレイヤーをキルすると1ポイント手に入り、そのポイントで競う。

 やられたプレイヤーは自身のクラン内で復活出来る。

 クランホームは飛ばされると『核玉』と呼ばれる物が出現し、それを壊されると復活出来なく成る。

 壊すと5ポイント手に入る。


 飛ばされる地形は小規模はある程度の選択可能。中規模はそこそこ戦いやすい有利な地形。大規模は草原などの目立つ所に飛ばされるように成っている。


「それでも小規模は人が少ないから稼ぎ難そうだね」

「そうだね。師匠達も一緒に戦えたらな〜」

「そしたらクラン戦からレイド戦に成りそうだね」


 イベント開始までにレベル上げを頑張る事にする。

 SP30はイベント中でも使えるし残しておこう。

 そこそこのステータスはあるしね。


 イベント開始直前。


「お姉ちゃん、どうしたの?」

「うん。とても落ち込んでいる」

「いやね。レベルが一切上がらなかったのよ」


 死霊の帝王と戦ったダンジョンを周回してレベルを上げていた。

 マップを覚えている方が良かったからである。

 レベル差はあるのか無いのか分からないけど、本当にレベルが上がらなかった。

 皆もレベルが上がってないのでステータスに変動は無い。

 あのダンジョンって平均レベル低いし今の私達が行く場所じゃなかったね。はは。

 もっとレベルの高い場所に行けば良かった。

 他には技術の向上の為に師匠達超越者組に手伝って貰った。

 妖術操作や霊符操作が精密妖術操作や精密霊符操作に進化した。

 刀術もレイシアさんから1つ会得した。

 風鳥羅刹流である。他の人にも教えていた。

 皆の全力でレイシアさんに挑んでフルボッコにされたのは良い思い出である。

 グリムちゃんの魔剣作成は終わっている。レーヴァテイン?

 グリムちゃんMPとかINTを多く獲得したかったらしいから魔人を選択したらしい。なのでレーヴァテインは握れなかった。


「さて、そろそろ始まるね」

「レベルは上がらなかったけど、技術は向上した! 皆、頑張ろ!」


『おお!』


 モナも頑張ろうね!


『あいよ』


 わたしの名前はモナに決まった。


 クランホームの床から青いエフェクトが登ってくる。

 私の目の前に青白いウィンドウが出現する。


「これか、ま、これはここだね」


 私は山を選択した。

 速く高度を稼ぐ為である。


 クランが光に包まれて場所が変わる。

 見事な雪山であった。⋯⋯寒くないのはありがたいけど、デバフで移動速度低下と体温低下が付いている。

 低温火傷に成らないように防寒は必要だね。


「スケルトンナイトさん達も居ないね」


 NPCの皆は何処に居るんだろうか?

 取り敢えず世界樹に触れて操縦席に移動する。

 操縦席にはウィンドウで外が見えて操作する用の円盤がある。

 円盤に手を触れると操作するボタンが出るので操作していく。

 高度を上げて、迷彩機能をオンにして、草原に向かって進む。

 あとはオートでオッケ。


 操縦席から出ると皆でハムちゃんやハクちゃん、クロちゃんに埋まって温まっていた。

 ハムちゃんも最大まで大きくなるとイサちゃんを超える。


「私も入れて!」


 私はセカイちゃん、サエちゃんと一緒にハクちゃんに包まれる。

 まずは草原に移動してからが私達の本番である。


 草原に移動してからチームを分けた。

 朝はメルちゃんとグリムちゃん。昼は私とムニンちゃんとオレンちゃん。夜はサエちゃんとセカイちゃんでマップを散策する。

 草原までの移動によって昼なので昼食を食べて空腹を無くして私達姉妹がマップ埋めを兼ねて地上へと降りる。

 マナちゃんに乗って降りる。

 距離関係なく【応召】出来るので他の子はクランホームに残しておく。


「「「行ってきまーす」」」


 下に行くとクランホームが見えなく成る。


「クランがマップに表示されなかったら迷子に成るね」

「「同感」」


 地上に降りたら皆でバラバラに行動する。

 メルちゃんの作ったローブを着込む。仮面は戦闘の時に付ける。視界が悪く成るからね。

 ローブの素材はイサちゃんとマナちゃんの毛である。

 クランホームに何時間も召喚していたらドロップした。

 効果はVITの向上や小さな認識阻害、自己再生がある。


「じゃ、行ってらっしゃい。負けちゃダメだよ」

「お姉ちゃんよりもプレイは上手いから問題無いかな」

「うん」

「た、確かに。心配するだけ無駄かもしれないけど、お姉ちゃん的には心配なんですよ。じゃ、お互い頑張ろ」

「「うん!」」


 瞬間2人は高速移動した。あっちは普通に走っているだけだろうね。

 足音も無く高速で消えたよ。


「ギャラー!」

「あ、マナちゃんは目立っちゃうからイサちゃんで移動するね」

「ギャラー」


 ごめんね。

 マナちゃんにはクランホームに帰って頂いてイサちゃんを召喚した。

 イサちゃんに乗り、イサちゃんがタッタと走って移動して行く。

 このマップではミニマップが常時表示されている。

 タップすると大きく成り拡大や縮小が可能となる。

 3Dマップとして出す事も可能だが、マップがかなり黒い。

 速くマッピングしないとね。山からの移動して来た道が出来ている。

 まずは森に向かって進む。

 相手のクランを見つけたらマップにマーカーを立てておく。

 そして共有したら簡単に場所が分かるからね。


 ◇


「始まったね」


「アル〜まずはどこら辺を狙う?」


「そうだね。草原とか大規模クラン多そうだし、狙うか」


「そう来なくっちゃ!」


「2人は戦闘狂だな」


 アルと話すのはスケルトンとエルフだった。


「出来れば、モフリとは戦いたいな。正々堂々と白黒、犬狼ハッキリ付けたいな」


「モフリ? 前に言っていた俺らの娘と同じ体質の?」


「そうそうそれ。あの子絶対強いよ? 気をつけないとね」


 その会話の中に1人の騎士が入って来る。


「伝令! 複数の軍隊が攻めて来て来ます!」


「速いな。流石にこんな開けた大地ではすぐに見つかるよね〜さて、行こうか皆!」


 数分後、哀れにもヴァルハラに攻めて来た軍隊は全滅した。

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