第108話階層移動迷宮攻略 前編
ハクちゃん達のバフでステータス、HPとMPを除いたステータスが倍近くまで上がっている。
それでも流石にタイマンで勝てる自信は無い。
巨人に接近して分かったけど、思っていた以上に大きい。
「ふごおおおん」
ゆっくりだが、振り下ろされる拳。わたしが中にいるお陰か知らないけど身体の扱いが上手に成っている。わたし程じゃないけど。
と、言っても昔の私でもここまでゆっくりなら躱せる。
「【ロケットパンチ】」
拳が外れて加速して私に向かって飛んで来る。
「いや、それはズルい。風足、展開」
高く跳躍して躱し体を捻り体制を建て直して巨人の上に乗る。
「電走、展開」
MPもかなり増えているので気にせず使える訳じゃないけどかなり使える。
⋯⋯やばい。霊符作成忘れてた。
今思い出したよ。攻撃系の霊符作成するの忘れてた。
MPは600近く残っているし問題無いかな?【竜巻】20回分か、【漆黒炎】も同じMPだね。
右手を前に突き出す。左手にはお祓い棒が握られている。
「深淵弾、展開」
「え!今、深淵って何それかっこいい!」
グリムちゃんの叫びが聞こえたが気のせいかもしれない。
黒色の弾丸が4個程生成されて巨人の顔に向かって放たれた。
あの図体なので躱す事は不可能のようで諸に受けた。
煙が現れるがあまりダメージは無いようだ。HPもあんまり減ってない。
「ん?」
私の足元の腕の1つが異様に丸い。
絶対なんかあるよね!
「いきなりですね」
少し盛り上がった所で下がると丸い部分が伸びた。
しかもかなりの長さであり先端は鋭く成っている。
『後ろ』
「え?」
後ろを見ると無理矢理こちらに向けたようにする為か、外皮の岩が少し出て来て、そこには9個の規則正しい並びの丸いのがこちらを見ていた。
同時に伸びる9本の針。
「イサちゃん」
離れているイサちゃんを【応召】瞬時にこの場に【召喚】する。
「ガオ!」
1つ、鳴いてイサちゃんの目の前に、針の前に盾が出現する。
何とか耐えれているようだ。
イサちゃんが乗れる程度にはこの腕は太い。
「ありがとうイサちゃん」
「ガルル〜」
喜んでいるのだろうか?尻尾が蛇で意思があり動かないので分かり難い。尻尾はだるそうにしているよは伝わるけどね。
「イサちゃんお願いね!」
イサちゃんの上に乗ってそのまま登る。私の肩にはネマちゃんがいる。
「前方左右にあるね」
伸びてくる針を躱しながら登って行く。何だろうか、こう高ぶる気持ちがある。
「イサちゃん、あの顔面に向かってダークブレス!」
「ガル!」
イサちゃんの口の中に黒紫の光が溜まり、口を開いて放つ。
そこそこのダメージはあると思う。
「深淵の渦」
深淵と言う名の黒色の球体が出現して相手に向かって飛翔して行く、ある程度の場所で止まり、光をも吸い取る渦となる。
ブラックホールの小さい版と覚えている。規模は小さいけどね。
「う〜ん。モンスターに使った事無かったけど普通に使えないかも」
相手が大きい過ぎて意味なかった。MP20返して。
ある程度近づいたのでイサちゃんを1度【応召】して走ってさらに接近する。
インベントリにお祓い棒をしまって大鎌を取り出す。
【飛翔】の練習で色々と調べていたら熟練度が溜まり風断流が2レベになった。
「ネマちゃん行くよ!」
「ニャ!」
私は巨人の金色に光る目を切り、体を削りながら地面に向かって落ちて行く。
外皮が硬いのであまり奥に入らなかった。
目玉も硬いって意味分かんないよ。
ネマちゃんは回転して2本の尻尾を大剣に変えて斬り裂いている。
ネマちゃんの体は細胞一つ一つを様々な物質に変える事が出来、金属にも変えられる。
本来なら1度触れないとダメなのだが、仲間には金属コレクターが居た。コレクターさんの師匠の鍛冶場のズラリと鉱石が並んでいる部屋があった。このゲームかなりの金属があった。
現在のネマちゃんの尻尾の剣は【
今回の敵である巨人にはうってつけである。
「行きます!」
ネマちゃんは空中で人型になり、両手を剣にして高速で振るい目玉を高速で斬るが金色の目が光る。
「はい絶対目からビーム。応召!」
ネマちゃんを回収するとほぼ同時に目からレーザーが放たれて天井に穴を開ける。
エグいて。
「てっ!」
顔をゆっくりと倒し、合わせて目からレーザーが下がって行く。
後ろにはメルちゃんとその他NPCやサエちゃん、グリムちゃんが居る。
傭兵NPC達が前に立って盾を構えているけど、ここは私が頑張るよ!任されたからにはやり切る!
「マナちゃん!」
マナちゃんが私の下に来て私は着地する。
マナちゃんが巨人の顔に向かって【加速】を使って突っ込む。
「こう言う時に使うんだろうね。深淵の渦!」
黒色の球体を巨人の上に設置して光をも吸い取る引力を生み出した。
それでもまだ当たりない。
「マナちゃん近距離攻撃だよ!オーロラブレス!」
レベルが上がって事によって新たに使えるように成った魔法。
MPを300消費するブレス系の攻撃だ。
マナちゃんの口から放たれるオーロラは直線上で巨人の顎に命中する。折角増えた技術系のスキルは使いたいよね。
「風断流大鎌術、断ち車」
大鎌の先端を上に向けて回転して攻撃する。
少し時間を遅らせる事は出来たがこのままでは意味が無い。
「イサちゃん!」
イサちゃんを呼び出して盾を展開する。
そしてネマちゃんを呼び出して勝手に呼んでいる領域系スキルを使って貰い、イサちゃんの盾自体にもバフを掛けれるようにする。
数秒の激突の結果何とか耐える事に成功した。
皆の元へと着地する。
「HPはまだまだ残っているね」
それでもベルゼブブよりも脆く感じる。既にHPが1割減っているのだから。
「カルちゃん!
「フォーン!」
カルちゃんの背中が開いて中から大砲が出て来て、カルちゃんが足をしまい地面に固定される。
【
「およ?」
私の目の前に魔法陣が展開されて中を覗くと望遠鏡のように遠くが見やすく成っている。
【照準魔法】ってこんな感じなのか。と、言うか私が狙いを定めるのね。
「狙いは相手の左目」
左目はネマちゃんが攻撃していたのでかなりのダメージが蓄積されている筈だ。
「カルちゃん!【
「ふぉゴーン!」
大砲の中に水のような液体や冷たい空気が漏れ出て、形を形成して放たれた。
水が高速で噴射されて伸びて行き、螺旋階段を作るかのように氷が伸びて行く。
巨人の左目に上達して火花と水を撒き散らしながらダメージエフェクトを出して行く。
砲と言う名のレーザーである。
カルちゃんのレーザーが終わると巨人の左目は赤色に成っていた。
HPは2割減っていない。
「何か来るのかな?それともそう言う仕様?」
次の瞬間、私の周りに数体のゴーレムが現れた。
一瞬で、だ。
『ここは一旦チェンジだな!』
頭の中(?)でわたしの声が響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます