第117話そ、その声は!

 そうだ、わたしの名前を付けないとね。


『なんでもどうぞ』


 ベルゼブブとの戦いでこう成ったから⋯⋯ベルゼブブから取って『ベルゼ』で行きましょう。或いは『モナ』か『ナミ』で。


『わたしに決定権はあるのな⋯⋯てか、萌南もなみだか、モナとかナミって安直では? ベルゼもだけど』


 あはは、好きなのにしてね。

 覚えやすいしね。


『傍から見たら頭のおかしい人だな。⋯⋯今更か?』


「え、それは酷ない?」


 ◇


「ヒャッハーー!」


『テンション高いな』


「まぁね」


 今現在は金金鉱山と言うダンジョンに来ている。

 洞窟型のダンジョンだが、中は金ピカで横はそこまで広くないが天井が凄く高い。

 鉱石も金、金、金である。

 モンスターも全部ゴールデンモンスターとなっている。

 通常モンスターとゴールデンモンスターの違いは素材にある。

 通常モンスターの素材は量によって物価が変わる。需要と供給、中学公民だ。

 一方ゴールデンモンスターが落とす素材は鑑賞のみ特化して物価の変動が無いのが特徴である。

 安定的な収入を得るにはゴールデンモンスターを倒すに限る。ゴールド自体も落とすようだしね。


 しかし、金金鉱山に現れるのはゴーレムだけである。

 ゴールデンゴーレムは打撃系の攻撃以外は九十パーセントカットと言う私にとって最悪の特性がある。

 鎌は斬撃、やりようでは打撃にもなるが横が狭いので振るい難い。

 召喚獣に合った物じゃない打撃攻撃は威力が低いので【絆結晶リアン・アイテム】も使えない。

 お祓い棒も大してダメージは出ない。

 ならば何が1番良いのか?

 コレである。

 カルちゃんのバイクである。

 突進も打撃の1部に成るのでゴーレムにダメージは通るし壁にぶつければ確殺である。

 階層移動ダンジョンのボスとは違い外皮の鎧では無く、金の塊なので隙間を攻撃するなんて事も出来ない。


 風を感じながら金色の空間を直線上に爆走するなんて最高である。

 テンション上がっても仕方ないでしょ。

 ちなみに金を掘るなんて効率悪いので却下する。

 今更だが金金鉱山は2階層にある。

 人口が3層に集中しているので誰一人居ない。


「お? ゴールデンゴーレム発見! カルちゃんレッツゴー!」

「フォーン!」

「⋯⋯!」


 カルちゃんが後ろの筒から水を噴射、噴射の勢いで急加速。

 加速してゴーレムに突撃。

 横が広く無いのでゴーレムは為す術なく衝突されてそのまま壁まで突っ込む。


 道は狭いけど入り組んでいるのですぐに壁に着くだろう。


「風弾、展開」


 バイクに押されながらも拳を振るいそうだったので【風弾】で飛ばして妨害する。

 壁に衝突してゴーレムは大量のダメージエフェクトを散らして消える。


《経験値を獲得しました》

《1300G獲得しました》

《魔物素材:【金鉱石】×3を獲得しました》


 金鉱石1つで1000ゴールド、ゴーレムから落ちる金鉱石は鑑賞用なので1000ゴールド、掘って手に入れる金鉱石は使える素材で、確か今は3000ゴールドはある筈だ。


「だいぶ溜まったねカルちゃん」

「フォーン!」


 カルちゃんと長く居るなんて初めてかもしれない。

 カルちゃんもテンション高めで嬉しい。


「にしても、結構倒したのにレベル上がらなかったね」


 階層移動ダンジョンのボス討伐でレベルは上がった。

 その時にカルちゃん、ハクちゃん、クロちゃんはレベルが上がっていた。


「6次進化はレベルが上がりませんな〜」


 私の方がレベルが上がりやすい。

 プレイヤーと召喚獣とでは必要経験値は違うのかもしれない。


「お、メールだ」


 おぉ、メルちゃん見事クエスト終了したみたいだ。

 よし、帰ろう!

 なんか他の人も報告したいらしいして。

 さて⋯⋯迷子になったけどどうしようかな?


『直線的に進み過ぎだ』


「だ、だって楽しいんだもん」

「フォン!」

「カルちゃんだって楽しいって言ってるよ?」


『だけどな、少しは考えて進めよ』


地図マップで確認出来ると思ったもん」


『もんって、行ってない場所でも周囲を自動的にマッピングするんだから分かるでしょ』


 私は行った所しかマップに映されないと思ったけど、周囲もマップに映るので元来た道を戻る事が出来ない。

 この仕様、すっかり忘れていたよ。あんまり使わないから。


「フォン!」

「カルちゃん分かるの?では頼みます!」

「フォン!」


 カルちゃんは四輪車、スポーツカーのような形になり天井は無い。

 横に成り、金の天井を長めながらカルちゃんが元来た道を戻る。



 国に戻って転移ポータルで移動。


「おまたせ〜結構深く潜っていたみたい」


『と、言いながらもカルの運転に任せて熟睡して国に着いても寝ていたよな』


 あははは、はは。面目無い。


「モフリさんも来たようですし、お披露目しますね。超越者さんの2人と協力してもらい何とか完成した魔剣です!」


 そう言った瞬間、鍛冶場から剣が10本飛翔して来てメルちゃんの背後の空に浮かぶ。


『はい?』


 この場にいる皆で唖然。

 剣が飛んでるよ。


『それは前に見た事あるだろ?』


 大きさが違うよ!


「えっと、メルちゃん、どうしたのコレ?」

「作りました」

「メル、魔剣が飛ばせるって話は聞いた事あるけど、MP大丈夫?」

「勝手に飛ぶのでMPは消費されません」

「いやーー私も見た時びっくりしたよ。あ、ちなみにメル以外には操れないし装備出来ないから⋯⋯装備しているよね?」

「一応装備扱い⋯⋯みたいです」


 10本の剣を同時に装備⋯⋯何それ意味わかんない〜。

 凄いと思います!


「ちなみにそれぞれ能力が違います」

「おぉ! それは気になりますな!」

「最後に見せますね。次はセカイさんお願いします」

「ま、見せれるような物は特に無いですけどね」


 服が変わっている!


 セカイちゃんは深呼吸をした後に右手を前に突き出す。

 右手に青いオーラが集まり空中に出て行き、形を成して行く。

 剣のように成って、それをセカイちゃんは掴む。

 次にちょっとジャンプすると空中で停止する。


「何それカッコイイ!」

「純粋に便利だな」


 グリムちゃん、サエちゃんの順に言う。


「ま、空中を歩くにはMP使いますけどね」


 セカイちゃんは地面に着地する。

 次にサエちゃんだけど、⋯⋯凄く変わっている。

 まずは肌が凄く黒い。


「転生したの?」

「ある意味転生⋯⋯てか、それ言ったら皆進化系列から外れているやん」

「私は違いますよ!」

「私はそもそも皆と違ってユニークな進化はしてないよ」


 メルちゃんも進化したのかな?

 後で聞こうかな。


「さて、まずは私に付いて教えたいけど、モフリに話がある⋯⋯物体? 霊体? よく分からん奴だが、のがいる」

「誰かな?」

「コイツ」

『久しいの!』

「そ、その声は!」

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