第3話ダンジョン【後編】

 まず、冷静に目の前のライオンを観察してみよう。

 ライオンが歩いた所はマグマのようになっており、ライオンの目線には赤色の光が扇型に光っている。

 バレたらアウト的なアレだろう。

 赤色の光がない所から行っても次のライオンのマグマがあって進めない。

 向きを変えるとマグマが消える。

 マグマが消えた瞬間に進めば良いと思ったが、奥の方と手前の方だとほんの少しだけ時間差があるようで奥にはマグマがあり、それは不可能と感じた。

 1番確実なのはライオン達が重なった時に腹の下を走る事だろう。


「私、暗算得意だからね!」


 私はきちんと行けるのか計算してみる事にする。


「ワン?」

「イサちゃんこっち来て」

「ワン」


 イサちゃんを抱きながら考える。


 1時間後


「ふむ、計算上は行けるね。それでも重さが無いのが条件だけど」


 このゲームには素材事に重量感があり、インベントリに入れていても重量はある。

 重すぎると持てないだろうね。

 STRと何かしらの関係があるのだろう。

 そして、初心者用装備の武器や防具にも重さはあるのだ。


「私は素に戻る!そして突破する!」

「ワン!ワンワン!」

「と、止めるなイサちゃん!私はここを突破するのだ!だから止めるなぁあ!」

「ワン!」

「ぐ、そんなつぶらな瞳は辞めてくれ、ぐ、ぐぐ、無理矢理で罪悪感ありますが、私も先に進みたい応召!ごめんねイサちゃん」

「ワン!」


 イサちゃんに抵抗されたので応召して、私は自分の服を脱ぐ。

 完全に裸になった。


「お?全てに重量があると思ったけど下着には無いのか?」


 下着も脱いで完全な裸体にする必要は無いようである。


「服も短剣もここら辺に置けば良いか」


 とりあえず要らない、邪魔になる装備は捨てる。

 あとはタイミングを見て、走るだけ。


「⋯⋯⋯⋯ここだ!」


 全力ダッシュ!走れ走れ!止まるなスピードを落とすな!


「ぬおおお!」


 あとちょっと!あ、少し間に合わない?うんなもんゴリ押しだあああ!


「あ、あぶねぇ」


 本当にギリギリだった。

 後ちょっとマグマにドボンしていましたね。


 さて、目の前に新たな扉があるので開けて入ると、中にはパズルがあった。

 100ピースのパズルがバラバラに配置してあった。


『やぁやぁ良くここまで⋯⋯なんだねその格好は?』

「ただの下着姿です」

『レディーがそんな格好しますか?貴方には羞恥心が無いのですか?』

「ここは誰もいませんから!」

『あ、はい。気を取り直して!ここではこの100ピースのパズルを10分以内で行って貰う。失敗したらゲームオーバーだ』

「ふふふ、私、パズルは得意分野の1つなのだよ」


 それに山積みでは無く、バラバラに置かれているので簡単に作れる。


 三分後


「出来たァ!これは、何も無い絵だね。真っ白だ」

『ピースだけだからね。それでは次に進むが良い!』

「あいあいさー」

『それと、今後は下着姿になってはダメだよ?』

「はい!」


 忠告されてしまった。

 次の部屋には宝箱が沢山あった。


『この部屋では次の部屋の鍵を探して貰う!1つしかないぞ、ハズレはミミック、魔物だ。さあ、クリア出来るかな?』

召喚サモンハムちゃん!」

「ちゅん!」

「可愛い!じゃなかった。ハムちゃん!宝探し!」


 ハムちゃんのスキルは宝探し、宝物を探せるスキルだ。

 宝箱では無い!つまり、ミミックを避けて鍵を探せる!


「ちゅん!」


 見つけたようだ。

 付いていくと、そこには1本の柱があった。

 柱があり、宝箱は無い。


「ちゅん!ちゅん!」

「え、ここ?」


 柱の1部を必死に指しているハムちゃんが可愛い。

 と、その1部の所を押すと、カチっと鳴ってから開いた。

 そこには小さな箱があった。

 開けると、鍵がある。


「こんなんハムちゃんのような宝探しのスキル無いと無理やん」


 これは訴えても良いのでは無いでしょうか?あ、私以外に挑んだ人いないから無理か。


『ほう、良く目の前の宝箱に惑わされずに見つける事が出来たな!賞賛しよう!⋯⋯え、まだ2分も経ってないよ?ここに来てから、速くない?』

「ハムちゃんが凄いからです!」

『な、なるほど』


 次の部屋には奥には階段があり、上には赤色の光があるエリアになっていた。

 そして、階段の下には立っている体長5メートルはありそうなドデカ騎士がいた。

 あの赤色の光のエリアは一体?


『説明しよう!あの騎士は一定の距離になると攻撃してくるぞ!HPは無限、倒す事は不可能!そして、挑戦者はあの赤いゾーンに行ってもらう。ゾーンに入れたらあの騎士は止まり、君の勝ち、このダンジョン攻略者に君がなるのだ!』

「おお!よーし!頑張っちゃうよ!」

『まあ、Lv1だと普通は無理なんだけどね。てか、前の部屋は負けゲーの筈だったんだけどね!』

「ハムちゃん応召!再びおいで召喚サモンイサちゃん」

「ワン!」

「痛くないけど精神的に痛い!ごめんなさい!で、でも、ほら!し、下着は脱いで無いよ!」


 甘噛みでは無く本気で指を噛んでくる。

 味方なのでダメージは無いけど、精神的なダメージを食らってしまう。


「イサちゃん!私達で突破するよ!イサちゃんは私がピンチに成ったら挑発で騎士を私から離して、勿論イサちゃんは無理をしてはダメだよ?やられちゃったら悲しいし」


 回復して使った分のMPで今のMPは12である。

 やられたらどうなるのか分からないので気を付けて欲しい。


「ワン!」

「よーし!行くよ!」


 まずは動くまで近づき、動き出したら走る。


「ふむ、動き出すのに少し時間があるようだね。足も遅ければ嬉しいよ!」


 そんなことは無く、普通に速かった。

 かと言って阿呆みたいに速い訳では無い。

 私は階段を登り、イサちゃんは階段の下にいる。


「ワン!ワンワンワン!」


 イサちゃんが吠えて、体から赤色のオーラが飛び出て来る。

 その次に騎士の目線がイサちゃんに行く。

 私はその間にひたすら登っていく。

 1段1段の余裕は無いので2段2段登っていく。


「なぁ!イサちゃんの可愛さに止まりなさいよ!」


 普通に視線をこっちに戻して追ってきた。

 やばいやばい。

 あの騎士階段を4段4段で登ってくる。


「ワン!」


 イサちゃんもそんぐらいのペースで登れるようだ。

 急げ急げ!


「あぁ」


 私の影が飲み込まれる。


「ワン!」

「イサちゃん!」


 イサちゃんが騎士に突進して一緒に落ちる。

 この階段は人用の階段の2倍のサイズであのでかい騎士だと足場が不十分だったようで落ちる。

 今のうちに!イサちゃんが時間を稼いでくれたこの瞬間を大事に!

 ひたすらゾーンに向かって走る。


「ワフ⋯⋯」

「⋯⋯ッ!イサちゃん!」


 イサちゃんのHPバーが消える。


「後ちょっと!」


 騎士が剣を投げる素振りを見せるが、もう遅いのだ!


「到着!」


 到着した瞬間にゾーンの光が消え、騎士の動きが止まった。

 剣を投げる素振りの状態で止まった。





 召喚獣のステータス


───────

ハムスターLv1

名前:ハム

HP:2/2

MP:3/3

STR:1

DEX:1

VIT:1

AGI:10

INT:2

MND:2

スキル:宝探し

内容:宝物を探せる

範囲:極小

───────

子猫Lv1

名前:ネマ

HP:5/5

MP:3/3

STR:5

DEX:1

VIT:1

AGI:10

INT:2

MND:2

スキル:引っ掻く

内容:小さなダメージを与える

───────

子犬Lv1

名前:イサ

HP:10/10

MP:5/5

STR:10

DEX:10

VIT:10

AGI:5

INT:2

MND:2

スキル:挑発

内容:敵の認識を集中させる

───────

 だいたいこんな感じです。覚えなくても問題ありません。

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