第4話

二航艦の四隻の空母の甲板上では忙しく帰還した攻撃隊に再び対地兵装を取り付ける作業を行なっていた。

「第二次攻撃隊が40分後には帰還してきますが、それまでに発艦は終了しそうです」もともと2つの機動部隊は第二次攻撃隊を発艦させた時点でハワイから急速に遠ざかっていた。いまは二航艦のみがハワイに向かい、一航艦は第二次攻撃隊を収容したら離れる手筈になっていた。「了解した。敵空母は未だに行方知らずか...」山口は自問した「はい、各巡洋艦の索敵機や艦攻も出してますが報告はありません」その時、司令室のドアがいきなり開いた「報告します、三隈2号機からの入電。『敵らしきもの10隻見ゆ、オアフ島より方位260度、81浬 」「なんだと!?」山口は驚いた。ハワイ近海だったからだ。なぜ今まで見つからなかったのだ「艦種確認を命じておりますが返信はまだありません」日は既に高く上り、日本時間の6時を上回ろうとしていた。「仕方がない。空母がいたとしても攻撃は3時間以上後だ。第三次攻撃隊を発艦させろ」「至急作戦司令部にも送ります」その後、第三次攻撃隊が発艦してから10分後、第二次攻撃隊が帰還し、甲板では収容作業に追われる整備員であふれていた。三隈機からの続報は来ず、撃墜されたかもしれないので別の機に捜索を命じた。「敵は空母を伴うのでしょうか?もしそうであれば一航艦に叩いてもらう必要がありますが」参謀が言った「いや、どちらにせよこの距離じゃ攻撃は無理だ。もう少し距離を詰めてからだろうな」戦務参謀が返す「念のためだ。第二次攻撃隊の帰還機を対艦攻撃兵装で待機させた方がいいだろう」山口はそう決めた。その時だった。「一航艦旗艦赤城より入電、『ワレ空襲ヲウク テッキハB17』以上」。司令部の一同は驚愕した。


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