第10話 東洋艦隊
開戦前、イギリスはチャーチル首相の提案であるキング・ジョージ5世級戦艦デューク・オブ・ヨーク、レナウン級巡洋戦艦1隻、空母1隻のアジア派遣を検討したが結果的にネルソン級2隻、リヴェンジ級戦艦4隻、レナウン級巡洋戦艦1隻、空母ハーミーズ、アーク・ロイヤル、インドミタブル、その他23隻という旧式ながら戦艦も多数含めた大艦隊を派遣した。
この大戦力の移動は日本も開戦前から無線傍受で把握し、南方作戦に金剛型戦艦の追加を検討していたが、山本長官は
「戦艦なんぞいくらあっても陸攻で撃沈すればよい」
と一蹴し見送られた。
そもそも金剛型はハワイ作戦に機動艦隊の護衛として使う予定であったし、残る長門、陸奥は連合艦隊旗艦のためおいそれと使うわけにはいかなかった。
だが山本は
「司令部なら陸にあげて指揮をするから使い道のない長門と陸奥は好きに使え」
とビック7の内の2艦を惜しみなく南遣艦隊の小沢に差し出し、更に空母龍驤、祥鳳を南遣艦隊に加えた。この時南遣艦隊は戦艦2隻、第三航空艦隊の空母一部4隻(隼鷹、飛鷹、龍驤、祥鳳)と南雲機動部隊に並ぶ戦力だった。また、南方部隊本隊の第二艦隊には空母5隻(瑞鳳、龍鳳、十勝、吉野、筑後)や巡洋艦8隻などが配備されていたが、それらを合わせると南方作戦には空母9隻、護衛空母7隻の航空戦力が投入されていた。そして真珠湾攻撃2時間前、マレーのコタバルに上陸が開始されマレー作戦の第一段階が開始されたのであった。
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