第60話 第22航空戦隊の残党
「はぁー!、こんな作戦出来るわけがないだろ!司令長官は馬鹿なのか!」
余田がありったけの罵声をあげたので次官の鈴木がなだめる。
「まあ潜水艦との共同作戦ですし我々は敵の護衛艦艇を少々攪乱させるだけでいいんですから、そんなに大変なことではないと思いますが...」
「は!、だってさ敵は巡洋艦や駆逐艦が30隻前後だってよ!その上戦艦も空母も何隻いるかも分かってない、無茶すぎるだろ!」
「はいはい、なので数が分かんないので我々が目視で確かめるんです」
めんどくさいなぁと思いつつ司令のお守をしないと他の部下に八つ当たりして後で艦隊司令から呼出をくらい余計めんどくさくなるので鈴木は仕方なく余田の相手をする。
「てか航空主兵論主義者のくせに駆逐艦と潜水艦で敵空母を撃沈しろだなんて頭とち狂ったのか!?」
「いやいや航空主兵装主義は艦隊決戦の逆ですので我々は『艦隊』規模じゃないんで別にアリですよ」ていうか別に空母を撃沈しろとは言われてないんですが...
余田がブチ切れてこっちに血管が浮き出た額を向けて怒鳴りそうになった時、指令室のドアが開いた。
「機動部隊護衛の駆逐艦も何隻か加勢してくれるそうです。よかったですね司令!」
若い航海長の言葉で余田の怒りが彼に向かった事は言うまでもない。身代わりになってくれた(というよりなってしまった)艦長に心から感謝をする鈴木であった。
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空母ホブカークスヒルの艦橋にある艦隊司令室にレーダー担当員が飛び込んだ時、そこではフランク・J・フレッチャー少将が参謀らや群司令と話している所だった。時刻は深夜であり仮眠を取っている将校も多かった。
「大変です!哨戒中の夜間偵察機が敵のレーダー波を探知しました。第5群から東におよそ40㎞の所です。我が艦隊の方向に向かっているようです」
今回、
空母艦載機の夜間運用は危険が伴うものであり特に単座の戦闘機などは攻撃隊として出したら帰還するのは困難だった。これは目視が効かないのと通常なら攻撃隊の護衛戦闘機は2座や3座の艦攻や艦爆が航法距離と帰還方向に導くのだが夜間ではそれが難しいのだ。
それに着艦の失敗確率も数倍になり、加えてそのような理由で空母艦載機のパイロットは夜間での発着艦訓練をしていないのでそもそも出来ないのだ。そのため夜間は航空機が使えないのだ。
「ヂアミトール大佐、敵との会敵はいつだ?」
フレッチャーが情報参謀に尋ねる。
「1時間後ほどでしょう。第1群に迎撃させますか?」
「冗談を言うな。駆逐艦の相手には
「了解、念の為対戒機による対潜警戒を厳とします」
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