第18話 猛攻の陸攻隊2

一五試爆は元々陸上急降下爆撃機として開発された機体だが、魚雷の搭載もでき、戦闘機並みの速度を兼ね備えた高性能機だ。今は500㎏爆弾2発を搭載していたが急降下爆撃を行なうにはそれでは重すぎる。なのでまず一発を緩降下爆撃で投下した後、もう一発を急降下爆撃で投弾する。緩降下爆撃は命中精度が悪いがそれでも13発も投弾すればでかい的なんだから一発ぐらいは当たるだろう。英戦艦の対空砲火は訓練の相手だった古鷹型のそれに比べれば少なかった。この時、その英戦艦ネルソンには対空レーダーが搭載されていたが対空砲と連動しているわけでもなく、12㎝単装高角砲6基と4㎝8連装砲(ポンポン砲)8基は確かに貧弱であった。だが途端に一機が火を噴いて四散した。後方から機影が迫る。フルマーだ!。爆撃機は降下中速度が低下する、そこをやられたのだ。フルマーは一機だけだ。また1機ジュラルミンの塵になる。


「投弾!」

「てっ」


敵艦の周囲に水柱が立つ。そこでもう一機フルマーにやられた。機体を引き起こしているときは低速だが、それは敵も同じだ。フルマーも火を噴いて墜落した。そもそもこの高度で攻撃とは戦艦の対空砲火に巻き込まれるのだが、フルマーのパイロットはよほど馬鹿か勇敢だったのだろう。もちろん他のフルマーは一五試爆が爆撃をし終えて低空から離脱しようとするところを狙って攻撃してくる。




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Z1が敵空母艦載機の攻撃を受けていると報告されたのは、フィリップスがZ3の2隻の空母艦載機が出撃完了との報告を受けた直後だった。

「なんだと!、攻撃隊の戦闘機を直掩に向かわせろ!」フィリップスは怒鳴る「ですが攻撃隊の防備が手薄になりますが」

「あの日本人の戦闘機など恐れるに足りん!だがZ1は旧式戦艦だ。黙って見ていたら全滅だぞ!」

「はっ!」

「新たにペディー多数接近!」

(第一次攻撃隊)

アークロイヤル フェアリーソードフィッシュ18機

インドミタブル シーハリケーン12機 フェアリー アルバコア12機

(Z1の支援隊)

インドミタブル マートレット10機

アークロイヤル フェアリーフルマーⅡ3機

(Z3上空直掩)

アークロイヤル フェアリーフルマーⅡ12機


マートレットはF4Fのイギリス名称であり、フェアリーアルバコアはソードフィッシュの後続機(ただし性能は低下)である。フィリップスの指示で発艦した戦闘機がZ1へ向かった時、日本軍の陸攻隊が飛来した。艦が転舵し対空砲が火を噴く。この時、上空には直掩のフルマー6機とシンガポールの空軍基地からちょうど到着したところだったF2Aバッファロー9機がいた。だが一五試爆はその速度にものを言わせて防空網を振り切ってしまった。

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