第19話 フィリップス1
『ネルソン級戦艦』
〈諸元〉
基準排水量:33,333トン
全長:216.4m
全幅:32.3m
速力:23.9ノット
〈武装〉
40.6cm3連装砲3基
15.2 cm連装速射砲6基
13㎜6連装機銃20基
(同型艦)
ネルソン、ロドニー
(概要)
ワシントン軍縮下で建造された
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駆逐艦も巡洋艦もネルソンを守るべくありったけの対空砲、機銃を撃ちまくる。後に分かったことだがある駆逐艦の機銃は冷却水が足りず熱で銃身がぽっきりと曲がったそうだ。この対空砲火は直掩の戦闘機と合わせて一式陸攻などには効果的だった。だが一五試爆の防弾、消火装置は一式陸攻とは比べ物にならないぐらい向上していた。フィリップスは敵機が黒いものを投下するのをはっきりと見た。それが落ちてくるまではとてつも長くスローモーションのように感じられた。その黒いものが着水し水柱の水飛沫が艦橋の窓に叩きつけられて彼はやっと我に戻る。敵の爆弾が艦の周囲に水柱を立たせるのが永遠に感じられる。突如船体が唸るように振動し、フィリップスも倒れた。そして炸裂音が遅れて響く。だが恐れるように炎が上がることは無かった。
「1番砲塔に被弾も損害なし!」
砲術から電話が入る。主砲の厚い天蓋が爆弾を弾き返し空中で爆発したのだ。思わず安堵する。2発目が命中したのはその2分後だった。衝撃波で艦橋の窓ガラスが割れフィリップスの右腕に突き刺さる。滴り落ちる血を啞然と見つめるフィリップスに参謀の一人が近寄る。
「司令官!副官が!...」
フィリップスは横を向いた。先程まで参謀長と話していた副官の額にはガラス片が突き刺さり脳髄が垂れ出ている。まだ中尉だったころの第一次世界大戦で自分が乗る駆逐艦に砲弾が直撃したことがよぎる。あの時、相棒だった機関員を俺は助けられなかった.....。立ち尽くすフィリップスを前に一五試爆隊は反転し、急降下爆撃を行なおうとしていた。
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