第89話 タスマン海航空戦4

「サウスダコタ級戦艦」


〈諸元〉

基準排水量:38,664トン 

全長:207.3m 

全幅:32.9m

速力:28.9ノット


〈武装〉

短砲身5インチ連装砲61基

40㎜4連装機銃22基、連装54基

20㎜連装機銃60基


〈同型艦〉

サウスダコタ、マサチューセッツ、アラバマ、インディアナ


(説明)

建造中止になり空母の建造に邪魔になるのでドックから強制的に退去された使い道のないサウスダコタ級の船体に浮きドックで5インチ砲を大量に装備させたもの。空母への改装案も挙がったが、完成する頃にはより大型のエセックス級が大量就役するはずであり、そのような時にわざわざ戦艦を改装してまで空母にする意味が失われ、改装でドックを占拠するぐらいだったらせめて使い道のある艦にしようということでこうなった。海軍内では変態戦艦ヴァヴェージョン・バトルシップの異名を持ち、デカブツとして扱われているが、案外ハルゼーなどは空母の頼もしい護衛が出来たので喜んでいる。一隻だけで小艦隊の対空砲火に匹敵する能力を持っている。戦艦として設計された船体自体は集中防御方式を取るべく全長を縮めており、そのコンセプトは大和型戦艦に酷似している。5インチ砲の隙間を埋めるように機銃が無数に配備されており、特に日本にはない高角砲と機銃の間を埋める役割を果たす40㎜機関砲は通常艦の比ではないほど搭載されている。5インチ砲は新規開発の短砲身で、射程に劣るものの砲塔が小型化された他、毎分20発の速射速度を持っている。


https://kakuyomu.jp/users/3710minat/news/16818093090542535688


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





一航艦上空では最初は零戦も奮戦していたが波状攻撃をされたことによって弾が切れたのだろう、一方的に撃墜される零戦が現れ始めた。


そうして零戦は駆逐されたかに見えたが、少しして二航艦から増援の零戦が、護衛の阿賀野型、最上型の一式水偵が加勢し形勢は日本側に傾いた。またF4Fは零戦に比べて航続距離が3分の2程であり、攻撃隊として往復分の燃料を考えないといけないF4Fに対し、常に補給ができる零戦は制空権さえ確保できれば有利だった。


米攻撃隊はこちらの迎撃機をある程度削ったためか、あるいは相当なっ損害を出したためか、しばらくして撤退していった。一時的に制空権を取り戻した艦隊は待機していた第二次攻撃隊を上空退避させた。結果的に150機以上の迎撃機を出した日本側は100機以上の零戦や一式水偵を失った。対する米側も100機以上のF4Fを失っていた。しかし、それはまだ序の口であったことを小沢は思い知らされることになる。


「敵、爆撃機50機前後が高度6000mから進入してきます!」


艦橋から戦闘の行く末を見守っていた小沢に届いた報告。結局爆撃機がくるのかい、戦闘機だけじゃないんかい、と内心で悪態をつきつつも冷静に命令をくだす。


「零戦隊に迎撃させろ、第七戦隊及び第五戦隊は迎撃を開始」


残存零戦がF4Fと戦いを繰り広げつつ敵爆撃機に襲いかかる。最上型の第七戦隊と改古鷹型の第五戦隊が再び猛烈な対空砲火の弾幕を形成する。それらの艦は先ほどまでの戦闘機同士の戦闘が射程外で行われていたため十分な砲身命数と弾薬を保持していた。8隻だけで毎秒数十の10センチ砲弾、15.5センチ砲弾が上空に穿たれ、敵編隊を襲う。電探と対空砲火と迎撃機を立体的に機動戦闘させ、敵機は一機、また一機と堕ちていく。それでも、50機以上の敵爆撃機を防ぎ切ることはできなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る